「錨って何でできているの?」「鉄以外の素材もあるの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
錨(いかり)は、船を海底に固定して流されないようにするための重要な装備です。
素材によって強度・重さ・耐久性・用途が異なり、船の大きさや海の環境によって最適な材質が選ばれます。
この記事では、
- 錨の主要な素材と特徴
- 素材ごとのメリット・デメリット
- 現代の船で使われる最新の錨素材
をわかりやすく解説します。
目次
錨に使われる主な素材一覧
錨は、重さ・耐食性・加工性などのバランスを考慮して製造されます。
現在では、次のような素材が一般的です。
| 素材 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 鋳鉄(ちゅうてつ) | 重くて丈夫。安価だが割れやすい。 | 古いタイプの錨・固定錨 |
| 鋼(こう)/スチール | 強度・耐久性に優れ、主流の素材。 | 商船・大型船の錨 |
| ステンレス鋼 | 錆びにくく美観に優れるが高価。 | ヨット・プレジャーボート |
| アルミニウム合金 | 軽量で扱いやすいが保持力は弱い。 | 小型船・携帯用アンカー |
| 鉛・コンクリート | 一部の固定用途や養殖施設など。 | 海底固定・養殖施設用 |
素材によって「強度」「重さ」「コスト」「錆びやすさ」が変わります。
錨の代表的な素材①:鋳鉄(ちゅうてつ)
特徴
鋳鉄は古くから錨に使われてきた伝統的な素材です。
比重が高く、沈みやすく、安価という利点があります。
しかし、衝撃に弱く割れやすいという欠点があり、近年では補助的な用途が中心です。
メリット
- 重量があり、固定力が高い
- 加工コストが低く、量産しやすい
デメリット
- 錆びやすく、メンテナンスが必要
- 衝撃や曲げに弱く、破損しやすい
錨の代表的な素材②:鋼(スチール)
特徴
現在のクルーズ船や商船の多くは、鋼製(スチール製)錨を採用しています。
強度と耐久性のバランスがよく、世界中で最も一般的な錨素材です。
メリット
- 高強度で変形しにくい
- 比較的錆びにくい(防錆処理が施される)
- 溶接・鍛造が可能で大型化しやすい
デメリット
- 重量があり、小型船には扱いにくい
- 塩害環境では防錆塗装が必須
錨の代表的な素材③:ステンレス鋼
特徴
ステンレス鋼は錆びにくく見た目も美しいため、プレジャーボートやヨットなどのデザイン性を重視する船舶に使われます。
メリット
- 耐食性が非常に高く、長持ちする
- 光沢があり、装飾的にも人気
デメリット
- 鋼よりも高価
- 強度はやや低めで、大型船には不向き
錨の代表的な素材④:アルミニウム合金
特徴
アルミニウム合金は軽くて扱いやすいため、小型ボートやカヌー・持ち運び用アンカーとして広く利用されています。
メリット
- 圧倒的に軽量で取り扱いやすい
- 錆びにくく、メンテナンスが楽
デメリット
- 保持力が低く、風や潮流で流されやすい
- 大型船舶には不向き
錨の代表的な素材⑤:鉛・コンクリート系
特徴
重量を稼ぐ目的で、鉛やコンクリート製の固定錨が使われることもあります。
動かさない前提の構造物(浮標・ブイ・養殖いけすなど)で利用されます。
メリット
- 低コストで重さを確保できる
- メンテナンスがほとんど不要
デメリット
- 錆や浸食に弱い(特に金属部分)
- 持ち運びや設置変更が困難
錨素材の選び方|目的別おすすめ
| 用途 | おすすめ素材 | 理由 |
|---|---|---|
| 商船・貨物船 | 鋼(スチール) | 強度・コスパ・安全性のバランスが最適 |
| クルーズ船・フェリー | 鋼 or ステンレス鋼 | 見た目と耐久性を両立 |
| ヨット・レジャーボート | ステンレス鋼・アルミ合金 | 軽くて錆びにくく美観も良い |
| 養殖施設・ブイ固定 | コンクリート・鉛 | 一定場所での固定用に最適 |
| 非常用・携帯用アンカー | アルミ合金 | 小型・軽量で持ち運びやすい |
錨の素材選びで重要な3つのポイント
- 船のサイズと重さに合う素材を選ぶ
大型船ほど高強度素材(鋼)を採用。 - 使用環境(海水・淡水)に適した耐食性を重視する
海水ならステンレスや防錆塗装が必須。 - 設置・メンテナンスのしやすさ
固定用なら重量重視、移動用なら軽量素材が便利。
まとめ:錨の素材は「用途×環境」で選ぶのが基本
錨の素材についてまとめると、
- 一般的な素材は 鋼(スチール)。最も汎用的で高強度。
- 美観や錆びにくさ重視なら ステンレス鋼。
- 軽量で扱いやすいのは アルミニウム合金。
- 固定設備用には 鉛やコンクリート も使われる。
つまり、船の用途と環境に合った素材を選ぶことが、安全で長持ちする錨選びのポイントです。
以上、錨の素材についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。







