「錨(いかり)の正しい使い方がわからない」「どうやって海底に固定しているの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
錨は、船を海底に固定して流されないようにするための重要な装備です。
しかし、投げ方・鎖の長さ・引き上げ方を誤ると、船が流される「走錨(そうびょう)」などの危険もあります。
この記事では、
- 錨の基本構造と役割
- 錨の正しい使い方(投錨・固定・引き上げ)
- 安全に使うためのポイントと注意事項
をわかりやすく解説します。
錨の使い方を知る前に:まずは基本構造を理解しよう
錨の使い方を正しく覚えるには、まず構造と役割を理解しておくことが大切です。
錨の基本構造
| 部位名 | 役割 |
|---|---|
| フルーク(爪) | 海底を掘り、船を固定する要。 |
| シャンク(軸) | 錨全体の中心。鎖とつながる部分。 |
| クラウン | 爪と軸をつなぐ。力を分散させる。 |
| ストック(横棒) | 錨が寝ないよう姿勢を安定させる。 |
| リング/シャックル | 鎖をつなぐ金具。 |
この構造によって、錨は「掘る」「引っかかる」「寝る」という動きを組み合わせ、海底で船を安定させます。
錨の使い方①|正しい投錨(とうびょう)の手順
錨の使い方で最も重要なのが「投錨(とうびょう)」=錨を下ろす操作です。
手順を間違えると、錨が効かずに船が流されてしまいます。
投錨の基本手順
- 停泊する場所を選ぶ
岩場やサンゴ地帯を避け、砂地や泥地を選びましょう。 - 風上・潮上に船を向ける
流される方向を考慮して、船を風や潮に正対させます。 - 錨をゆっくり下ろす
勢いよく投げるのではなく、鎖の重さで自然に沈めるのがポイント。 - 鎖の長さを十分に出す
水深の5〜7倍の長さを目安に鎖を出すことで、
錨が寝てしっかり海底に食い込みます。 - 船を少し後退させて固定する
エンジンを軽く後進に入れて錨を引き、爪が食い込む感触を確認。
注意点
- 錨を投げ入れると鎖が絡まり、効かなくなる場合があります。
- 風速や潮流が強いときは、より長く鎖を出す(7〜10倍)のが安全です。
錨の使い方②|停泊中に安定させるコツ
錨を下ろした後も、船が安定しているか常に確認する必要があります。
停泊時のチェックポイント
- 錨鎖がピンと張っていないか(ゆるみが必要)
- GPSや魚探で船の位置が動いていないか
- 周囲の船や障害物との距離を十分に取れているか
特に風向きや潮の変化がある場合は、船が回転して鎖が絡むことも。
夜間停泊では、アンカーライト(白灯)を点灯するのを忘れないようにしましょう。
錨の使い方③|正しい引き上げ(起錨/きびょう)の手順
錨を引き上げる操作を「起錨(きびょう)」といいます。
強引に引くと、錨や鎖が破損するおそれがあるため、落ち着いて行いましょう。
起錨の手順
- エンジンを前進に入れて、錨の真上に移動する
錨を真上から引くことで、抜けやすくなります。 - 錨鎖をゆっくり巻き上げる
角度を保ちながら、テンションを一定にして巻き上げます。 - 抵抗を感じたら一度停止し、角度を変える
抜けない場合は、船を少し横方向に動かして角度を変えると外れることがあります。 - 錨が上がったら洗浄する
錆や海藻、泥が付着しているので、海水で洗い流して乾燥させます。
錨の使い方④|抜けない・流されるときの対処法
錨が抜けないとき
- 無理に引っ張らず、船を反対方向に回す
- それでもダメなら、トリップライン(補助ロープ)を活用
錨が効かない(走錨)とき
- 鎖の長さが足りない可能性 → 水深の7倍を目安に延長
- 海底が岩やサンゴ → 砂地に移動して再投錨
- 風が強い → 予備錨を併用(ダブルアンカー)
錨の使い方⑤|初心者でも失敗しない3つのコツ
| コツ | 内容 |
|---|---|
| “投げる”ではなく“下ろす” | 錨は勢いで落とさない。鎖の重さで自然に沈める。 |
| 鎖の長さ=水深の5〜7倍 | 短いと効かず、長すぎると絡む。 |
| 海底の状態を事前に確認 | 砂地・泥地を選ぶと効きやすい。 |
この3つを意識するだけで、初心者でも安全に停泊できる確率が大幅に上がります。
錨の使い方に関するよくある質問(FAQ)
Q. 錨を使うとき、どんな海底が理想ですか?
A. 砂地や泥地が理想です。
爪がしっかり食い込み、固定力が高くなります。
Q. 錨をどのくらいの時間で引き上げるべきですか?
A. 短時間停泊なら数十分〜数時間ごとに位置を確認。
長時間停泊では潮の変化のたびに確認が必要です。
Q. 錨は陸地でも使えますか?
A. 小型の折りたたみ式(グラップネルアンカー)なら、SUPやカヤックでの陸近く停泊にも利用可能です。
まとめ:錨の使い方は「下ろし方」と「鎖の長さ」がポイント
ポイントをまとめると、
- 錨は“投げる”のではなく“ゆっくり下ろす”
- 鎖の長さは水深の5〜7倍を目安に出す
- 砂地や泥地など、錨が効きやすい場所を選ぶ
- 抜けない・効かない場合は角度を変える・鎖を延ばす
正しい使い方を知っておけば、錨はあなたの船を確実に守る“命綱”になります。
安全な航海を楽しむためにも、ぜひ今日から実践してみてください。
以上、錨の使い方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










