「船の錨(いかり)って、どのくらいの重さがあるの?」「どのサイズの船にどれくらい必要?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
錨の重さは、船の大きさ・用途・使用環境によって大きく異なります。
小型ボートなら数キロ程度ですが、クルーズ船やタンカーでは数トン〜数十トンにもなることがあります。
この記事では、
- 錨の重さの一般的な目安
- 船の種類別の適正重量
- 重さの決め方と安全に使うポイント
をわかりやすく解説します。
錨の重さは船の「サイズ」と「排水量」で決まる
錨の重さは、船がどれだけの力で引っ張られても海底に留まれるようにする力(保持力)で決まります。
つまり、船が大きく、風や潮流の影響を受けやすいほど重い錨が必要になります。
| 船の種類 | 錨の重さの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 小型ボート(3〜5m) | 約2〜5kg | 湖・湾内など静水域向け |
| プレジャーボート(6〜8m) | 約5〜10kg | 軽量アルミやステンレス製が主流 |
| ヨット(8〜12m) | 約10〜20kg | デルタ型・ブルース型など保持力重視 |
| 漁船・作業船(12〜15m) | 約20〜50kg | 鋼製で重量確保が重要 |
| フェリー・タグボート | 数百kg〜数トン | 専用ウインチで運用 |
| 商船・タンカー・クルーズ船 | 5〜30トン以上 | 鋼製大型アンカーを2基装備 |
たとえば、大型クルーズ船の錨は片側だけで10トン以上もあり、鎖(アンカーチェーン)を含めると総重量が100トン以上に達することもあります。
錨の重さを決める「3つの基準」
錨は単純に「重ければよい」わけではありません。
効率よく海底に食い込むためには、重さと形状のバランスが重要です。
船の全長・排水量
船が大きくなるほど、風や波の影響で引っ張る力(張力)が大きくなるため、比例して錨の重さを増やす必要があります。
海底の地質
- 砂地や泥地 → 爪が食い込みやすく、軽くても効きやすい
- 岩場やサンゴ → 重くても滑りやすく、効きにくい
風速・潮流の条件
風速10m/sを超えると、船体にかかる力は一気に増加。
通常より1.5〜2倍の重さの錨を使うのが安全です。
船の長さ別|錨の重さの目安表
| 船の長さ | 錨の重さの目安 | おすすめアンカータイプ |
|---|---|---|
| 3〜5m | 2〜4kg | フォールディングアンカー(折り畳み式) |
| 5〜7m | 5〜7kg | ダンフォースアンカー |
| 7〜9m | 8〜10kg | プラウアンカー(デルタ型) |
| 9〜12m | 12〜15kg | ブルースアンカー(クロー型) |
| 12〜15m | 20〜25kg | ストックレスアンカー |
| 15m以上 | 30kg〜 | 鋼製・高保持力タイプ |
この表はプレジャーボートやヨットを基準とした一般的な目安です。
実際には、船の材質(FRP・鉄・アルミなど)によっても若干の差があります。
クルーズ船や大型船の錨の重さは「トン」単位
クルーズ船や貨物船などの大型船では、錨の重さが10トンを超えるのが一般的です。
さらに、錨を支える鎖(アンカーチェーン)も非常に重く、1本あたり100トン近い総重量になることもあります。
| 船種 | 錨の重さ | 鎖の長さ | 備考 |
|---|---|---|---|
| 中型フェリー | 約2〜5トン | 約150〜200m | 港湾航行用 |
| 大型クルーズ船 | 約10〜15トン | 約300m | 国際航路クラス |
| 大型タンカー | 約20〜30トン | 約400〜500m | 外洋航行用 |
これは、風速30m/s以上や波高10mを超える環境でも耐えられるように設計されています。
錨の重さが「効き」にどう影響するか
錨は“重さだけ”で船を止めているわけではありません。
実際には、次の3つの要素がバランスよく働くことで船を固定します。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 錨の重さ | 錨が沈み、海底で安定するための基本要素 |
| 錨鎖の重さ | 鎖の自重で角度を低く保ち、錨を立たせない |
| 錨の形状 | 爪(フルーク)の形で掘り込みやすさが変わる |
このため、軽くても形状が優れた錨(高保持力タイプ)なら、重い従来型よりも安定するケースもあります。
錨の重さを選ぶときの注意点
- 軽すぎると効かない
→ 風や潮流で簡単に流される(走錨の危険)。 - 重すぎると扱いづらい
→ 引き上げが大変で、船体やウインチに負担がかかる。 - 形状と素材も考慮する
→ たとえば、アルミ製は軽くても効きが良く、錆びにくい。
理想は「扱いやすく、海底でしっかり効く重さ」を選ぶことです。
まとめ:錨の重さは「船の大きさ×環境」で決まる
ポイントをまとめると、
- 錨の重さは船の大きさ・海底の地質・環境で決まる
- 小型船は数kg、大型船は数トン〜数十トンが一般的
- 重ければ良いわけではなく、保持力(食い込み力)とのバランスが大切
安全に停泊するためには、「自分の船に合った錨の重さ」を理解し、正しく使うことが何より重要です。
以上、錨の重さについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









