錨の種類について

「錨(いかり)って種類があるの?」「どんな形の錨がどんな船に向いているの?」

そんな疑問を持つ方も多いでしょう。

錨は、船を海底に固定して流されないようにするための装備です。

しかし一口に“錨”といっても、形状・重さ・用途によって多くの種類があり、船の大きさや航行する海域によって最適なタイプが異なります。

この記事では、

  • 錨の代表的な種類と特徴
  • それぞれの長所・短所
  • 船のタイプ別おすすめ錨

をわかりやすく解説します。

目次

錨の種類は大きく分けて「ストック付き」と「ストックなし」

錨には構造の違いによって大きく2種類の系統があります。

分類特徴主な用途
ストック付き錨横棒(ストック)で安定性を確保古典的なタイプ。装飾・小型船など
ストックレス錨横棒がなく、収納性が高い現代の大型船・商船の主流

この分類をもとに、具体的な錨の種類を見ていきましょう。

ストック付きタイプの錨の種類と特徴

ホールアンカー(Hall Anchor)

最も伝統的な形状の錨で、“THE・いかり”の代表格。

横棒(ストック)があり、海底で倒れずに爪(フルーク)が確実に食い込みます。

  • 特徴:安定感が高く、初心者にも扱いやすい
  • メリット:砂地・泥地でも効きやすい
  • デメリット:収納しにくく、船体にぶつかりやすい
  • 主な用途:ヨット・装飾用・伝統船

ダンフォースアンカー(Danforth Anchor)

フラットな形状の爪(フルーク)が大きく開く軽量型。

レジャーボートや小型ヨットに最も人気のあるタイプです。

  • 特徴:軽量で保持力が高い
  • メリット:砂地や泥地に深く食い込む
  • デメリット:岩場や海藻の多い場所では効きにくい
  • 主な用途:小型船・プレジャーボート

ストックなしタイプの錨の種類と特徴

ストックレスアンカー(Stockless Anchor)

現代の大型船で主流の錨。

ストックがなく、自動的に正しい姿勢で沈む構造です。

港湾船や商船、クルーズ船などに使われます。

  • 特徴:大型で高保持力。ウインチで自動収納可能。
  • メリット:海底条件を選ばず万能
  • デメリット:小型船では扱いが難しい
  • 主な用途:商船・クルーズ船・フェリー

プラウアンカー(Plough Anchor/デルタアンカー)

シャベル(すき)型の形状で、海底を掘りながら固定するタイプ。

ヨットやクルーザーで人気の「デルタアンカー」もこの分類です。

  • 特徴:安定した掘り込みと保持力
  • メリット:砂地・泥地・砂利底に対応
  • デメリット:岩場では滑りやすい
  • 主な用途:中型ヨット・プレジャーボート

ブルースアンカー(Bruce Anchor/クローアンカー)

三つ爪の形をした錨で、「クロー(爪)」とも呼ばれるタイプ。

岩場や海藻が多い場所でも、安定した食い込みを発揮します。

  • 特徴:爪が3本でバランスが良い
  • メリット:海底の地形を選ばず万能型
  • デメリット:大型化すると収納しづらい
  • 主な用途:ヨット・漁船・レジャーボート

マッシュルームアンカー(Mushroom Anchor)

傘のような形状で、海底の泥に沈み込むことで固定されます。

一度沈むと高い保持力を発揮します。

  • 特徴:傘状で沈み込みやすい
  • メリット:泥底・湖底で強い固定力
  • デメリット:岩場や砂地では効きにくい
  • 主な用途:ブイ・養殖施設・固定構造物

グラップネルアンカー(Grapnel Anchor)

折りたためる「爪型アンカー」。軽量で収納性が高く、携帯用として人気です。

カヌー・SUP・小型ボートなどで使われます。

  • 特徴:折りたたみ可能で軽い
  • メリット:持ち運びやすく安価
  • デメリット:保持力は低め
  • 主な用途:簡易停泊・非常用アンカー

錨の種類別・海底との相性一覧表

海底の種類向いている錨の種類効きやすさ
砂地ダンフォース/プラウ/デルタ★★★★★
泥地ダンフォース/マッシュルーム★★★★☆
岩場ブルース/グラップネル★★★☆☆
サンゴ・藻場ブルース/ストックレス★★☆☆☆
湖底(淡水)マッシュルーム★★★★★

錨は、海底の地質と船の用途に合わせて選ぶことが大切です。

万能型を求めるならブルース、軽量重視ならダンフォースが定番です。

船のタイプ別おすすめの錨の種類

船のタイプおすすめの錨理由
カヌー・SUPグラップネルアンカー軽くて携帯性抜群
小型ボートダンフォースアンカー軽量で砂地に強い
中型ヨットプラウアンカー/ブルースアンカー保持力とバランスが良い
大型船・商船ストックレスアンカー自動収納・高保持力
固定ブイ・養殖施設マッシュルームアンカー長期固定に最適

まとめ:錨の種類を知れば、安全な停泊ができる

ポイントをまとめると、

  • 錨は「ストック付き」と「ストックレス」に大別される
  • ダンフォース、ブルース、プラウ、マッシュルームなど多様な種類がある
  • それぞれ海底・船種・環境によって向き・不向きがある
  • 用途に合った錨を選ぶことで、安全性と効率が大きく向上する

錨は船の「命綱」です。

種類を理解して正しく選ぶことで、どんな海でも安心して停泊できます。

以上、錨の種類についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

船の塗装や修理のご依頼は、東備ヤンマー株式会社にお任せください。

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