船の無線について

フェリー,イメージ

船の無線通信は、海上での安全確保や連絡手段として非常に重要な役割を果たしています。

以下では、船舶における無線通信の基本的な仕組み、種類、使用方法、法的規制、免許制度などを包括的に解説します。

目次

船舶の無線通信とは

船の無線とは、船舶同士陸上局(港湾・海上保安庁など)との通信を行うための無線設備のことです。

船は海の上で他の交通機関と隔絶されるため、無線は命綱とも言えるほど重要です。

主な無線通信の種類

VHF(超短波)無線

  • 30MHz〜300MHz帯の電波を使用。
  • 主に沿岸航行や港湾での連絡に使われる。
  • 通話距離:通常30〜50km程度
  • 例:海上VHF無線電話(マリンVHF)

MF/HF(中波・短波)無線

  • より長距離通信が可能。
  • 国際通信や遠洋航行船に使用。
  • 短波帯では反射通信(スカイウェーブ)で数千kmの通信も可。

GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System/世界海上遭難安全システム)

  • 国際海事機関(IMO)が導入した、遭難時の自動通報・救助体制
  • 自動位置通報装置、衛星通信(Inmarsat)、デジタル選択呼出(DSC)などを含む。
  • 国際航海に従事する船舶には搭載義務あり。

AIS(Automatic Identification System)

  • 船の位置、速度、航行情報を自動的に発信・受信。
  • 他船や陸上局との情報共有に使用。
  • 船舶レーダーと合わせて衝突防止にも貢献。

使用目的

使用目的通信内容例
遭難時の救助通信SOS、緊急事態通報
航行中の安全通信他船との位置確認、進路協議など
港湾との連絡入出港の許可、停泊場所の案内など
日常の業務連絡船員同士の連絡、漁船の漁場情報交換
天気・航行情報受信気象通報、航行警報など

無線設備の例

無線機器用途・備考
マリンVHF無線機小型船舶にも搭載。チャンネル16は緊急用
HF無線機長距離航行船舶に使用。通話も可
EPIRB遭難信号を衛星経由で発信する装置
SARTレーダー応答装置。遭難時にレーダー反応で自位置を知らせる
NAVTEX受信機気象・航行警報などの自動受信装置

無線通信の法律と免許(日本)

日本では、電波法および船舶安全法に基づき、無線の使用に関する厳しい規制があります。

船舶局免許

  • 船に無線機を設置する場合、「船舶局」としての免許が必要。
  • 総務省からの取得。

操作資格(無線従事者免許)

  • 無線機の操作には資格保有者が必要。
資格名操作可能な無線設備対象船舶
第1級海上特殊無線技士GMDSS機器、VHF、MF/HF等外航船、大型船舶
第2級海上特殊無線技士VHF、DSC付き無線機小型船舶、漁船など
第3級海上特殊無線技士VHF限定レジャーボート、小型漁船等

※国家試験あり。ただし、小型船舶免許とセットで取得できる制度もあります。

通信のマナーと国際的取り決め

海上無線では、「ITU(国際電気通信連合)」による国際規則が定められています。

● 主なルール

  • チャンネル16(VHF)は常時受信が義務(緊急・安全・呼出用)
  • 通信中は呼出→応答→内容→終了という明確な流れがある
  • コールサイン(船の無線呼出符号)を必ず使用
  • 不必要な通信・ふざけた内容は禁止(法的罰則あり)

無線通信の最新トレンド

  • 衛星インターネット(Starlinkなど)を搭載する船が増加中。
  • デジタル無線機の普及により、音質や通信の安定性が向上。
  • AISの拡張により、より多くの航行データを取得可能に。
  • スマートフォンと連携するマリン無線なども登場。

まとめ

船の無線通信は、航行の安全、遭難時の救助、船員同士の業務連絡などに欠かせないインフラです。

通信には電波法に基づく厳しいルールと免許制度があり、正確な操作とマナーが命を守る鍵になります。

特に航海士や船長を目指す方、船で釣りやレジャーをする方は、海上無線の基本をしっかりと理解しておくことが必須です。

以上、船の無線についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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