船のモールス信号(Morse code for ships)は、視覚的・聴覚的手段を用いて、船舶間や船と陸上局との間で情報を伝達するための通信方法です。
国際的に共通の通信手段として、特に緊急時の連絡や無線が使えない場合などに今なお重要な役割を果たします。
目次
モールス信号とは
モールス信号は、「短点(・)」と「長点(-)」の組み合わせでアルファベットや数字を表現する符号化方式です。
元々は電信通信(テレグラフ)で使用されていましたが、後に無線通信や光信号、音響信号(笛、サイレン)、旗の動作など様々な手段で使われるようになりました。
船舶におけるモールス信号の使い方
光信号(発光による通信)
- 夜間や視界が良い昼間に、信号灯(シグナルランプ)や懐中電灯、探照灯などを使用し、点滅によってモールス信号を送信。
- 代表的な例が「アルデスランプ通信(Aldis Lamp Communication)」。
- 視認できる距離にいる他船に対して、指向性を持ってメッセージを伝えることが可能です。
音響信号(ホーン・ベル・笛)
- 霧の中や視界不良時に有効。
- 長音や短音を組み合わせて、モールス信号の「・」と「-」を表現。
- ただし、距離や風の影響を受けやすいため、限定的な範囲での使用。
旗旒信号との併用
- 視覚的に旗を上下に動かして、モールス符号を表現することもあります。
- これは「手旗信号(Semaphore)」とは異なり、あくまでモールス符号としての運用です。
代表的なモールス信号(海事で重要なもの)
意味 | モールス信号 | 備考 |
---|---|---|
SOS(遭難信号) | ・・・---・・・ | 海上で最も有名・重要な信号。現在も非常用通信に使用。 |
OK | -・--・- | 合図として使用。確認や了解の意。 |
A(確認) | ・- | 多目的に使われる。短い応答の一つ。 |
C(了解) | -・-・ | “Correct”や“Copy”の略意で、受信成功の意味。 |
海上でのモールス信号の利用シーン
- 非常時の通信(無線が使えないとき)
- 無線機が故障している場合や、沈没寸前で限られた通信手段しかないとき、光や音でモールス信号が使用されます。
- 例:「救助を求む(SOS)」をライトで送信。
- 軍用艦での秘匿通信
- 電波傍受を避けるため、可視光や短距離の光通信によるモールス使用。
- 訓練や模擬演習
- 航海士や通信士の訓練で、モールス信号は基本技能の一つとされている場合があります。
モールス信号の学習ポイント
国際モールス符号(International Morse Code)を覚える
アルファベットと数字、それぞれのモールス表記を暗記することが第一歩です。
符号の聞き分け・見分けの訓練
実際に聞いて、あるいはライトの点滅で理解できるようにします。
アプリやオンラインツールの活用
スマホアプリやウェブサイトでのモールス訓練が可能です。
例:「Morse Trainer」「CWops」「Learn CW Online (LCWO)」
現代での実際の使用状況
- 船舶同士の通信は、VHF無線(国際VHF)や衛星通信(GMDSS)が主流です。
- しかしモールス信号は、緊急時の最終手段として国際海事機関(IMO)でも一部で重要視されています。
- 一部の無線愛好家(アマチュア無線)や海軍の特定部隊では今なお積極的に使用されています。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
モールス信号とは | 短点と長点の組み合わせで情報を伝える方法。 |
船での使い方 | 光、音、旗を使って送信可能。 |
主な用途 | 非常時通信、秘匿通信、訓練など。 |
代表例 | SOS、OK、C、Aなど。 |
現代との関係 | 使用頻度は減ったが、緊急時の代替手段として健在。 |
以上、船のモールス信号についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。