プレジャーボートの船検費用はいくらかかる?
プレジャーボートを所有する場合、定期的に船舶検査、いわゆる「船検」を受ける必要があります。
船検にかかる費用は、船の大きさや検査の種類によって異なります。
また、実際に支払う金額は、日本小型船舶検査機構(JCI)へ支払う検査手数料だけではありません。
法定備品の交換費用や整備費、マリーナへの代行料などが発生する場合もあります。
そのため、船検費用を考える際は、「JCIへ支払う検査手数料」と「船検に伴って発生する周辺費用」を分けて考えることが大切です。
この記事では、プレジャーボートの船検費用について詳しく解説します。
プレジャーボートの船検には定期検査と中間検査がある
一般的なプレジャーボートでは、主に「定期検査」と「中間検査」が行われます。
旅客船ではない一般的な小型船舶の場合、基本的には6年ごとに定期検査を受け、その中間の時期に中間検査を受けます。
そのため、実質的には約3年ごとに何らかの船舶検査を受けることになります。
定期検査とは
定期検査は、船舶検査証書の有効期間に合わせて行われる検査です。
船体や機関、設備、安全装備などが、法令で定められた基準を満たしているか確認されます。
一般的なプレジャーボートでは、原則として6年ごとに実施されます。
中間検査とは
中間検査は、定期検査と次の定期検査の間に行われる検査です。
一般的な小型船舶の場合、定期検査からおおむね3年後に受けることになります。
船舶検査証書の有効期間が残っていても、中間検査の受検時期を過ぎたまま航行することはできません。
そのため、船舶検査手帳などで次回の検査時期を確認しておくことが重要です。
プレジャーボートの船検手数料
船検を受ける際には、日本小型船舶検査機構へ検査手数料を支払います。
旅客定員12人以下の小型船舶の場合、2026年7月1日以降の主な手数料は以下のとおりです。
定期検査と中間検査の料金
| 船の長さ | 定期検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 13,100円 | 5,900円 |
| 3m以上5m未満 | 19,000円 | 9,500円 |
| 5m以上10m未満 | 27,800円 | 17,200円 |
| 10m以上20m未満 | 35,200円 | 22,200円 |
| 20m以上の該当船舶 | 49,800円 | 32,300円 |
これらは、旅客定員12人以下の船舶に適用される料金です。
旅客定員13人以上の場合は料金体系が異なります。
また、JCIへ支払う船舶検査関係の手数料は非課税です。
20〜30フィート程度のプレジャーボートの船検費用
プレジャーボートでは、20〜30フィート前後の艇が多く利用されています。
ただし、船検料金を判断する際は、メーカーが表示している「全長」ではなく、JCI上の「船舶の長さ」を確認する必要があります。
5m以上10m未満の場合
船舶検査証書などに記載された船舶の長さが5m以上10m未満であれば、
定期検査は27,800円、
中間検査は17,200円です。
6年間で考えると、
27,800円+17,200円=45,000円
となります。
これを6年間で単純平均すると、JCIの検査手数料だけなら年間7,500円相当です。
ただし、実際に毎年7,500円支払うわけではありません。
定期検査と中間検査のタイミングで、それぞれ所定の検査手数料を支払います。
フィート数だけでは船検料金を判断できない
プレジャーボートでは「25フィート」「30フィート」といった表記が一般的です。
しかし、フィート表記から船検料金を単純に判断するのは適切ではありません。
全長と船舶の長さは異なる場合がある
メーカーのカタログなどに記載されている「全長」と、船舶検査や登録で使用される「船舶の長さ」は、必ずしも同じではありません。
そのため、
「30フィートだから約9mなので、必ず5m以上10m未満」
とは限りません。
正確な料金を知りたい場合は、船舶検査証書などに記載されている船舶の長さを確認しましょう。
船検で実際にかかる費用は検査手数料だけではない
プレジャーボートの船検費用を考える際に注意したいのが、JCIへ支払う検査手数料と、実際に船検時に支払う総額は異なるという点です。
船の状態によっては、さまざまな追加費用が発生します。
法定備品の交換費用
船舶には、航行区域や船の仕様などに応じて一定の安全設備を備える必要があります。
代表的な法定備品には、
救命胴衣、
救命浮環、
信号紅炎、
消火器、
アンカー、
航海灯、
汽笛や笛、
黒色球形形象物
などがあります。
ただし、すべての船にすべての備品が必要になるわけではありません。
必要な装備は、船の大きさや航行区域、設備などによって異なります。
また、信号紅炎などのように有効期限が設定されているものもあります。
有効期限が切れている場合や、設備に不具合がある場合は交換が必要になるため、その分の費用が追加されます。
船検と同時に整備費が発生する場合がある
船検そのものとは別に、船の状態によって整備費が発生することもあります。
エンジン整備などを同時に行うケース
船検のタイミングに合わせて、
エンジンオイル交換、
インペラ交換、
バッテリー交換、
燃料系統の点検、
航海灯の修理、
ビルジポンプの修理、
ステアリングの点検
などを行うケースがあります。
ただし、これらは船検を受けるから必ず必要になる整備ではありません。
船舶を安全な状態に維持するために必要な整備を、船検のタイミングに合わせて実施することが多いという位置づけです。
そのため、艇の状態によって実際の船検時の支払額には大きな差が出ます。
マリーナや販売店に依頼すると代行料がかかることがある
船検は、必ずマリーナや販売店に依頼しなければならないわけではありません。
オーナー自身でJCIへ申請し、検査に立ち会うことも可能です。
自分で申請すれば代行料を抑えられる
オーナー自身で手続きすれば、原則としてJCIの検査手数料と必要な整備・備品代が主な負担になります。
一方で、
申請書類の作成、
JCIとの日程調整、
船検への立会い、
不足備品の確認
などをマリーナや販売店に任せる場合、代行手数料が発生することがあります。
代行料はJCIが定めている料金ではありません。
業者によって料金が異なるため、依頼する前に見積もりを確認しておくと安心です。
船検のたびに上架が必要とは限らない
船検費用を調べていると、「上架費用」について目にすることがあります。
しかし、船検を受けるたびに必ず上架しなければならないわけではありません。
船底整備などを行う場合に上架費用が発生する
船検と同時に、
船底の点検、
船底清掃、
船底塗装、
プロペラの点検、
ドライブの整備、
防食亜鉛の交換
などを行う場合は、船を陸上に上げる必要があります。
この場合、マリーナや造船所などで上架・下架費用が発生します。
船底塗装や部品交換まで行えば、船検手数料とは別に数万円以上の費用がかかることもあります。
そのため、上架費は「船検料金」というより、船検の時期に合わせて行う整備費として考えると分かりやすいでしょう。
臨時検査が必要になる場合もある
プレジャーボートでは、定期検査や中間検査のほかに「臨時検査」が必要になる場合があります。
臨時検査が必要になる主なケース
船体や機関、設備などに大きな変更を加えた場合、臨時検査の対象になることがあります。
例えば、
エンジンを載せ替えた場合、
船体を大きく改造した場合、
航行区域の変更に伴って設備を変更した場合
などです。
変更内容によって検査の必要性は異なるため、改造などを行う場合は事前にJCIへ確認するのが安心です。
臨時検査の手数料
臨時検査・臨時航行検査の手数料は、以下のようになっています。
| 船の長さ | 臨時検査・臨時航行検査 |
|---|---|
| 5m未満 | 5,600円 |
| 5m以上10m未満 | 6,400円 |
| 10m以上20m未満 | 7,600円 |
| 20m以上 | 9,500円 |
定期検査や中間検査とは料金区分が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
船舶検査証書の書換えや再交付にも費用がかかる
船検そのもの以外にも、船舶検査証書や船舶検査手帳などの手続きで手数料が発生することがあります。
主な書換え・再交付手数料
主な手数料は以下のとおりです。
船舶検査証書の書換えは4,350円です。
船舶検査証書の再交付は4,350円です。
船舶検査手帳の再交付は5,500円です。
船舶検査済票の再交付は4,100円です。
書類を紛失した場合や記載内容の変更が必要な場合などに発生する可能性があります。
中古プレジャーボートを購入するときは次回船検を確認する
中古艇を購入するときは、販売価格だけでなく次回の船検時期も確認しておくことが重要です。
購入直後に定期検査が必要になる艇の場合、予想外の費用が発生する可能性があります。
確認しておきたい項目
中古プレジャーボートを購入する場合は、
船舶検査証書の有効期限、
船舶検査手帳に記載された検査時期、
次回が定期検査か中間検査か、
法定備品の有効期限、
エンジンや船体の整備履歴
などを確認しておきましょう。
特に、船舶検査証書の有効期間が残っていても、中間検査の受検期間を過ぎていれば航行できない場合があります。
「船検付き」と書かれている中古艇であっても、次回の検査時期まで確認することが重要です。
プレジャーボートの船検費用はどのくらい見ておけばよい?
一般的なプレジャーボートでは、JCIへ支払う法定検査手数料そのものは数万円程度です。
例えば、船舶の長さが5m以上10m未満、旅客定員12人以下であれば、
定期検査は27,800円、
中間検査は17,200円です。
しかし、実際の支払額は船の状態によって大きく異なります。
状態が良ければ数万円程度で済むこともある
船の状態が良く、法定備品にも問題がなく、オーナー自身で申請する場合は、JCIの検査手数料を中心とした比較的少ない費用で済む可能性があります。
一方で、
法定備品の交換、
エンジンや電装設備の整備、
マリーナへの代行依頼、
上架や船底整備
などが必要になれば、総額はさらに増えます。
場合によっては10万円以上になることもあります。
船検費用は法定検査料と整備費を分けて考えよう
プレジャーボートの船検費用を正しく把握するためには、「船検料」という言葉だけで判断しないことが重要です。
JCIへ支払う検査手数料は公定料金ですが、実際にはそれ以外の費用が発生する場合があります。
そのため、
JCIの検査手数料、
法定備品の交換費、
整備・修理費、
上架・下架費、
船検代行料
を分けて確認するのがおすすめです。
特に中古プレジャーボートを購入する場合は、次回の検査時期や法定備品の状態、整備履歴まで確認しておくことで、購入後の予想外の出費を抑えやすくなります。
船検そのものの費用だけでなく、係留費や保険料、燃料代、定期整備費なども含めて年間の維持費を考えることで、プレジャーボート所有に必要な予算をより正確に把握できます。
以上、プレジャーボートの船検費用についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










