船舶検査申請書とは
船舶検査申請書とは、船舶安全法に基づく船舶検査を受けるために提出する申請書です。
小型船舶の場合は、主に日本小型船舶検査機構(JCI)へ提出します。
船舶検査申請書は、定期検査・中間検査・臨時検査などを受ける際に使用します。
申請書には、船舶所有者の情報、船舶検査済票番号、船名、船の長さ、用途、航行区域、最大搭載人員、検査希望日、検査場所などを記入します。
記入内容の多くは船舶検査証書や船舶検査手帳に記載されているため、これらの書類を手元に用意してから作成すると間違いを防ぎやすくなります。
船舶検査申請書を書く前に準備するもの
船舶検査証書と船舶検査手帳を確認する
すでに船舶検査を受けている船の場合は、船舶検査証書と船舶検査手帳を確認しながら申請書を作成するのが基本です。
船舶検査済票番号、船名、船の長さ、用途、航行区域、最大搭載人員などを確認できます。
メーカーのカタログや船体に記載されている情報と、船舶検査上の正式な情報が必ずしも一致するとは限りません。
そのため、原則として船舶検査証書や船舶検査手帳の内容を基準に記入しましょう。
受ける検査の種類を確認する
船舶検査申請書を作成する際は、最初に受検する検査の種類を確認します。
主な検査には、定期検査、中間検査、臨時検査があります。
現在どの検査を受ける必要があるのか分からない場合は、船舶検査手帳に記載されている次回検査の内容を確認します。
船舶検査申請書の基本的な書き方
申請年月日を記入する
申請書上部には、申請書を提出する年月日を記入します。
例えば、2026年9月26日に提出する場合は「令和8年9月26日」と記入します。
ここに記載するのは検査日ではなく、申請日です。
後述する「検査を受けようとする期日」と混同しないようにしましょう。
申請者の氏名・名称と住所を記入する
「申請者の氏名又は名称及び住所」の欄には、検査を申請する人の情報を記入します。
船舶所有者本人が申請する場合は、本人の氏名と住所を記入します。
法人の場合は、法人名だけではなく代表者名まで記入するのが基本です。
例えば「株式会社○○ 代表取締役○○○○」のように記載します。
代理人が申請する場合は委任状を用意する
マリーナ、船舶販売店、行政書士などが船舶所有者の代わりに申請する場合は、代理人が申請者になります。
申請者と船舶所有者が異なる場合には、原則として船舶所有者からの委任状が必要です。
代理申請を予定している場合は、申請書とあわせて委任状についても確認しておきましょう。
検査の種類を記入する
定期検査
定期検査は、一定期間ごとに行われる船舶検査です。
一般の小型船舶で旅客船以外のものについては、通常6年ごとに定期検査が行われ、その途中に中間検査が設定されます。
ただし、船舶の用途や種類によって検査周期が異なる場合があるため、実際の受検時期は船舶検査手帳で確認することが重要です。
中間検査
中間検査は、定期検査と次回の定期検査との間に行われる検査です。
船舶検査証書の有効期間が残っていても、中間検査の指定期間に入っている場合は受検する必要があります。
「検査証書の有効期限がまだ残っているから検査は不要」と判断しないよう注意しましょう。
臨時検査
臨時検査は、船体、機関、設備などに一定の変更があった場合などに必要となる検査です。
エンジンの換装、大きな構造変更、設備変更などが該当する場合があります。
なお、「臨時航行検査」は通常の臨時検査とは異なり、専用の申請書を使用します。
船舶所有者の情報を記入する
所有者の氏名または名称
船舶所有者の欄には、現在の所有者の氏名または法人名を記入します。
申請者と所有者が同じ場合は、現行の申請書では所定の「申請者に同じ」の欄を利用して、一部の記載を省略できます。
ただし、郵便番号や電話番号などは必要に応じて記入します。
住所は正確に記載する
住所は、都道府県、市区町村、番地だけではなく、必要に応じて建物名や部屋番号まで正確に記載します。
電話番号についても、検査日程の調整などに使用されるため、日中に連絡を取りやすい番号を記載するとよいでしょう。
住所変更がある場合
以前の登録内容から船舶所有者の住所が変わっている場合は、申請書の「変更 有」に該当する箇所を確認します。
現行のJCI様式では「変更 有・無」から選択する形式ではなく、変更がある場合に「変更 有」を示す形式になっています。
また、登録対象の船舶では、住所変更に伴って変更登録申請が必要になる場合があります。
単に新しい住所を申請書へ記載するだけで手続きが完了するとは限らないため注意が必要です。
船種を記入する
船種の正式な区分を確認する
現行の船舶検査申請書では、船種として主に次の区分があります。
汽船、帆船、ろかい舟、被曳船、被押船などです。
一般的なエンジン付きプレジャーボートであれば、通常は「汽船」に該当します。
ただし、船種は自己判断ではなく、既存の船舶検査証書などと照合して記入するのが確実です。
船名を記入する
「船名」の欄には、船舶検査上登録されている正式な船名を記入します。
船体に表示している愛称や通称ではなく、船舶検査証書などに記載されている船名と一致させることが重要です。
英字の船名の場合も、登録されている表記に合わせましょう。
船舶検査済票番号を記入する
すでに船舶検査を受けている船では、船舶検査済票の番号を記入します。
例えば「200-12345」のような番号です。
数字を推測して記載するのではなく、船舶検査証書や船舶検査手帳などで確認してください。
船舶検査済票番号は、船を特定するための重要な情報なので、特に記載ミスに注意する必要があります。
漁船登録番号を記入する
漁船登録船の場合
漁船登録されている船の場合は、漁船登録票を確認し、漁船登録番号も記入します。
漁船登録番号と船舶検査済票番号は別の番号です。
そのため、漁船登録船では両方の番号を確認して記載することが重要です。
プレジャーボートなど、漁船登録されていない船については通常この項目は該当しません。
船籍港または定係港を記入する
「船籍港又は定係港」には、船籍港または通常船を係留している場所を記入します。
既存の船舶検査証書などに記載されている情報と照合して記入すると間違いを防ぎやすくなります。
総トン数を記入する
総トン数が設定されている船では、その数値を記入します。
ここでいう総トン数は、単純な船体の重量を意味するものではありません。
そのため、船の重量から自分で計算せず、船舶検査証書などに記載された正式な数値を使用しましょう。
船の長さを記入する
「船の長さ」には、船舶検査上の長さを記入します。
例えば「7.47m」のように記載します。
メーカーのカタログに記載されている全長と、検査上の船の長さが異なる場合もあります。
カタログ値ではなく、船舶検査証書や船舶検査手帳の数値を確認することが重要です。
用途を記入する
用途の区分を確認する
現行の申請書では、用途としてプレジャーモーターボート、釣船、プレジャーヨット、水上オートバイ、旅客船、遊漁船、小型兼用船、漁船、その他などの区分があります。
現在認められている用途を、船舶検査証書などと照合して記入します。
用途を変更する場合
以前の検査内容から用途を変更する場合は、該当欄の「変更 有」を確認します。
用途の変更によって必要な設備や検査内容が変わる可能性もあります。
単純に申請書の用途だけを書き換えればよいとは限らないため、変更を予定している場合は事前にJCIへ確認しておくと安心です。
船質を記入する
船質とは、船体の主な材質を表します。
現行の申請書では、鋼、軽合金、FRP、木、合成ゴム、その他などから選択します。
一般的なFRP製プレジャーボートであれば「FRP」を選択します。
航行区域を記入する
航行区域の種類
現行の申請書には、主に次の航行区域があります。
限定平水、平水、限定沿海、沿岸小型、沿海、限定近海、近海、遠洋です。
航行区域は「普段どこを航行しているか」を記入する欄ではありません。
船舶検査上認められている正式な航行区域を、船舶検査証書などから確認して記入します。
航行区域を変更する場合
航行区域を変更する場合は、該当する「変更 有」を確認します。
航行区域が広がると、救命設備、消防設備、航海用具などの追加や変更が必要になる場合があります。
そのため、航行区域の変更を予定している場合は、申請前にJCIへ相談した方が確実です。
漁船の場合は従業制限にも注意する
漁船については、一般のプレジャーボートなどとは記入内容が異なる場合があります。
漁ろうに使用する船については、12海里以内、20海里以内、100海里以内、100海里をこえる区域などの区分や、小型第一種、小型第二種といった従業制限が関係します。
漁船の場合は、漁船登録票などの正式な情報と照合して記入しましょう。
最大搭載人員を記入する
人員区分ごとに記入する
最大搭載人員は、単純に「6人」などと記載するだけではありません。
一般の小型船舶では、旅客、船員、その他の乗船者、合計という区分で記入します。
例えば、旅客5人、船員1人、その他の乗船者0人、合計6人といった形です。
現在実際に何人乗せているかではなく、船舶検査上認められている最大搭載人員を記入します。
最大搭載人員を変更する場合
最大搭載人員を変更する場合は、「変更 有」に該当します。
定員変更によって救命設備などの必要数が変わる場合もあるため、単なる数字の変更とは考えない方がよいでしょう。
また、中間検査と同時に定員変更を行う場合などは、船舶検査証書の書換手続きや手数料が必要になる場合があります。
国際航海や無線設備に関する項目を確認する
申請書には、国際航海に従事する船舶かどうか、無線電信などの施設を必要とする船舶かどうかを確認する項目があります。
一般的な国内向けプレジャーボートでは該当しないことも多いですが、該当の有無を自己判断だけで決めず、船舶検査証書や現在の設備条件などを確認しましょう。
検査を受けようとする期日を記入する
「検査を受けようとする期日」は、実質的には検査希望日を記入する欄です。
例えば「令和8年10月15日」と記載します。
ただし、ここに記載した日が必ず検査日として確定するわけではありません。
地域によってJCIの検査スケジュールが設定されているほか、JCI側から検査日を指定される場合もあります。
マリーナでの上架などが必要な場合は、JCIの日程とあわせて調整するとよいでしょう。
検査を受けようとする場所を記入する
検査員が特定できるよう具体的に記載する
検査場所には、実際に船舶検査を行う場所を記入します。
例えば「○○マリーナ」「○○港○○係留場」「○○造船所」などです。
市町村名だけではなく、検査員が場所を特定できる程度に具体的に記載しましょう。
場所が分かりにくい場合は、地図などを添付するとスムーズです。
備考欄の書き方
検査立会人を記入する
所有者本人ではなく、マリーナの担当者などが検査に立ち会う場合は、立会人の氏名と連絡先を備考欄などに記載しておくとよいでしょう。
検査担当者から日程や場所について連絡が入る可能性があるため、日中連絡できる電話番号を記入します。
エンジンを交換した場合
前回の船舶検査以降にエンジンを交換している場合は、その旨を申告します。
現行の記入例では「機関の取替」にチェックし、新しく搭載した機関の出力をPSで記載する形式が示されています。
ただし、エンジン交換の内容によっては臨時検査など別の手続きが必要になる場合があります。
エンジンを換装した場合は、通常の定期検査や中間検査だけで処理できると決めつけず、事前にJCIへ確認することが重要です。
事業船や遊漁船の場合に確認する項目
現行の申請書には、「海上運送法の事業船」または「遊漁船」に該当するかを確認する欄があります。
該当する場合は、安全設備等に関する追加資料の提出が必要になる場合があります。
また、ダイビングに使用される船舶についても確認欄が設けられています。
通常のプレジャーボートとは必要となる安全設備や手続きが異なる場合があるため、該当する船では注意が必要です。
船舶検査手数料を納付する
検査の種類と船の長さによって手数料が異なる
船舶検査には手数料が必要です。
金額は、定期検査、中間検査などの検査区分、船の長さ、旅客定員などによって異なります。
例えば、旅客定員12人までの船舶の定期検査では、船の長さに応じて手数料が設定されています。
申請する際は、必ず最新のJCI手数料表を確認しましょう。
振込方法によって必要な証明が異なる
検査手数料は、原則として申請書を提出する前に銀行や郵便局などから振り込みます。
ただし、申請書に添付・記載する内容は支払方法によって異なります。
ATMや窓口で振り込んだ場合は、利用明細票や受領証などを使用します。
ネットバンキングの場合は、振込年月日、振込金額、振込人名などを申請書の備考欄または別紙に記載する方式があります。
そのため、「必ず手数料払込証明書という名称の書類を添付する」と理解するのではなく、利用した振込方法に応じた証明書類または振込情報を用意すると考えるのが適切です。
必要書類は検査内容によって異なる
船舶検査申請書のほかに必要となる書類は、検査内容や船舶の状況によって異なります。
船舶検査証書や船舶検査手帳が必要になるほか、所有者変更を伴う中古船では譲渡証明書や書換関係書類などが必要になる場合があります。
また、船舶検査証書や船舶検査手帳については、手続きによって検査時の提出でも差し支えない場合があります。
そのため、「船舶検査申請書と一緒に必ずすべて提出する」と一律に考えず、該当するJCIの手続案内を確認しましょう。
初めて船舶検査を受ける場合
これまで一度も船舶検査を受けていない船が第1回定期検査を受ける場合は、通常の継続検査とは手続きが異なります。
原則として船舶の登録申請も必要です。
ただし、漁船登録船など登録対象外となる船もあります。
新艇、輸入艇、長期間未検査だった船などについては、既存船の中間検査と同じ感覚で申請せず、必要な登録手続きを含めて確認しましょう。
船舶検査申請書は郵送でも提出できる
船舶検査の申請手続きは、JCI窓口だけではなく郵送でも行えます。
ただし、記載漏れ、必要書類の不足、手数料不足などがあると、補正が必要になり手続きに時間がかかる可能性があります。
郵送する場合は、提出前に申請書全体を十分に確認しておくことが重要です。
船舶検査申請書を書くときに間違えやすいポイント
船の長さをカタログから転記しない
メーカーのカタログに記載されている全長と、船舶検査上の「船の長さ」が異なる場合があります。
必ず船舶検査証書などに記載されている数値を確認しましょう。
航行区域を自己判断で決めない
普段沿岸しか走らないから「限定沿海」といったように、自分で区分を判断して記入するものではありません。
現在認められている航行区域を船舶検査証書から転記するのが基本です。
現在乗っている人数を書かない
最大搭載人員は、普段何人で乗っているかを記載する欄ではありません。
船舶検査上認められている最大搭載人員を記入します。
変更事項をそのままにしない
住所、用途、航行区域、最大搭載人員などが以前の検査時から変更されている場合は、変更手続きが必要になることがあります。
古い船舶検査証書の情報をそのまま転記して提出しないよう注意しましょう。
船舶検査申請書の記入例
例えば、すでに船舶検査を取得している一般的なFRP製プレジャーボートの中間検査であれば、次のような形で記入します。
申請日
令和8年9月26日。
検査の種類
中間検査。
申請者
山田太郎。
大阪府大阪市○○区○○1丁目2番3号。
船舶所有者
申請者に同じ。
電話番号
090-1234-5678。
船種
汽船。
船名
SEA DREAM。
船舶検査済票番号
200-12345。
定係港
大阪府大阪市。
船の長さ
7.47m。
用途
船舶検査証書に記載されている用途を記入。
船質
FRP。
航行区域
船舶検査証書に記載されている区域を記入。
最大搭載人員
旅客5人、船員1人、その他の乗船者0人、合計6人。
検査希望日
令和8年10月15日。
検査場所
○○マリーナ。
実際には、所有している船の船舶検査証書や船舶検査手帳を確認しながら記入してください。
船舶検査申請書を提出する前のチェックポイント
申請書を提出する前には、次の項目を確認すると記入ミスを防ぎやすくなります。
申請年月日は正しいか。
定期検査、中間検査、臨時検査の区分を間違えていないか。
申請者の氏名、住所、郵便番号、電話番号を記入したか。
船名が船舶検査証書と一致しているか。
船舶検査済票番号を正しく記入したか。
漁船登録船の場合は漁船登録番号も確認したか。
船の長さを船舶検査証書などから確認したか。
用途が正しいか。
航行区域が正しいか。
最大搭載人員が正しいか。
住所、用途、航行区域、定員などに変更がないか。
エンジンを交換している場合は必要な記載をしたか。
検査希望日と検査場所を記入したか。
検査手数料の金額を確認したか。
支払方法に応じた払込証明や振込情報を用意したか。
必要な添付書類を確認したか。
船舶検査申請書は船舶検査証書と照合しながら書くことが重要
船舶検査申請書は、一見すると項目の多い書類ですが、既存の船舶検査証書や船舶検査手帳を確認しながら進めれば、それほど難しいものではありません。
特に重要なのは、船舶検査済票番号、船の長さ、用途、航行区域、最大搭載人員などを自己判断で記入しないことです。
また、住所、用途、航行区域、定員、エンジンなどに変更がある場合は、通常の検査申請とは別の手続きが必要になることがあります。
変更事項がある場合や記入方法に迷う場合は、申請前にJCIの担当支部へ確認すると安心です。
以上、船舶検査申請書の書き方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








