ライフジャケットの着用義務とは?
日本では、小型船舶に乗る際にライフジャケットの着用が法律で義務付けられる場合があります。
特にプレジャーボートや釣り船などでは、原則として船室の外にいる乗船者に対して、国の安全基準に適合したライフジャケットを着用させなければなりません。
ライフジャケットの着用義務を負うのは、基本的に小型船舶を操縦する船長です。
そのため、船長本人だけでなく、同乗している家族や友人、釣り客などについても、対象となる場合は適切なライフジャケットを着用させる必要があります。
ライフジャケットの着用義務は2018年に拡大された
小型船舶におけるライフジャケットの着用義務は、2018年2月1日から対象範囲が拡大されました。
それ以前から、水上オートバイの乗船者や12歳未満の子どもなどには着用義務がありました。
現在では、原則として小型船舶の船室外にいる乗船者が着用義務の対象となっています。
たとえば、プレジャーボートのデッキで釣りをしている場合や、船室の外で景色を見ている場合などは、原則としてライフジャケットを着用する必要があります。
「泳げるから大丈夫」「波が穏やかだから必要ない」といった理由だけで着用義務がなくなるわけではありません。
ライフジャケットの着用義務がある人
ライフジャケットの着用義務は、乗船する船舶や状況によって異なります。
小型船舶の船室外にいる乗船者
プレジャーボートなどの小型船舶では、原則として船室外の暴露甲板にいる乗船者にライフジャケットを着用させる必要があります。
船長だけでなく、同乗者も対象です。
たとえば、家族4人でプレジャーボートに乗り、全員が船室外のデッキにいる場合は、原則として4人ともライフジャケットを着用する必要があります。
12歳未満の子ども
12歳未満の子どもが小型船舶に乗船する場合も、ライフジャケットの着用義務があります。
子ども用のライフジャケットを選ぶ際は、体格や体重に合った製品を使用することが重要です。
大人用のライフジャケットを子どもに着せると、落水した際に体から抜けてしまう可能性があります。
そのため、子どもの体格に合ったサイズを選び、ベルトなどを正しく調整する必要があります。
水上オートバイの乗船者
ジェットスキーなどの水上オートバイでは、乗船者全員にライフジャケットの着用が義務付けられています。
運転者だけでなく、後部座席に乗る同乗者も対象です。
水上オートバイは転落する可能性が比較的高いため、必ず適切なライフジャケットを着用しましょう。
一人乗りで漁ろうを行う小型漁船
小型漁船に一人で乗船し、漁ろうを行う場合にもライフジャケットの着用義務があります。
ただし、漁船であればすべて同じ条件になるわけではないため、船舶の種類や乗船状況を確認することが重要です。
船長には乗船者へ着用させる義務がある
小型船舶では、ライフジャケットの着用義務を負うのは基本的に船長です。
つまり、同乗者が「着たくない」と言った場合でも、対象となる状況であれば船長は着用させなければなりません。
船にライフジャケットを積んでいるだけでは十分ではありません。
法律上の対象となる場合は、実際に乗船者が正しく着用している必要があります。
そのため、出航前に全員が適切に着用しているか確認することが大切です。
ライフジャケットは桜マーク付きならよい?
小型船舶で法令上の着用義務を満たすためには、国の安全基準への適合が確認されたライフジャケットを使用する必要があります。
その代表的な目印として知られているのが、いわゆる「桜マーク」です。
桜マークとは?
桜マークは、国が定めた安全基準への適合が確認されたライフジャケットに表示されるマークです。
型式承認などによって一定の性能基準を満たしていることを確認できます。
小型船舶用としてライフジャケットを購入する場合は、桜マークの有無を確認することが重要です。
フローティングベストなら何でもよいわけではない
釣具店やアウトドアショップでは、さまざまなフローティングベストが販売されています。
しかし、一定の浮力がある製品であっても、小型船舶の法定備品として使用できるとは限りません。
「ライフジャケット」「フローティングベスト」と表示されているだけで判断せず、国の安全基準への適合が確認されている製品かどうかをチェックしましょう。
ライフジャケットにはTYPEの違いがある
桜マーク付きのライフジャケットには、TYPE AやTYPE B、TYPE Cなど複数の種類があります。
どのタイプでも自由に使用できるわけではありません。
船舶の種類や航行区域などによって、使用できるタイプが異なります。
TYPE A
TYPE Aは、一般的な小型船舶用ライフジャケットの中でも対応範囲が広いタイプです。
原則としてすべての海域に対応しているため、プレジャーボートなどで幅広く使用されています。
どのタイプを選べばよいかわからない場合は、まず船舶の航行区域や用途を確認したうえで適切なものを選ぶことが大切です。
TYPE BやTYPE Cなど
TYPE BやTYPE Cなどは、航行区域や船舶の構造などによって使用できる条件が異なります。
桜マークが付いていても、すべての船舶や海域で使用できるとは限りません。
ライフジャケットを購入する際は、桜マークだけでなくTYPEも確認しましょう。
自分で持ち込んだライフジャケットでも使用できる
船に備え付けられているライフジャケットだけを使用しなければならないわけではありません。
自分で購入したライフジャケットでも、必要な安全基準を満たし、船舶や航行区域に適した製品であれば使用できます。
船釣りを頻繁にする人などは、自分の体格に合ったライフジャケットを用意しておくとよいでしょう。
ただし、購入時には次のような点を確認することが大切です。
・国の安全基準に適合しているか
・桜マークが付いているか
・TYPEが航行区域に適しているか
・体格に合ったサイズか
・破損や劣化がないか
・膨張式の場合はボンベや作動装置に問題がないか
ライフジャケットを着用しなくてもよい場合はある?
小型船舶に乗っているからといって、すべての状況で例外なくライフジャケットを着用しなければならないわけではありません。
一定の条件を満たす場合には、着用義務の適用外になることがあります。
船室内にいる場合
一般的な小型船舶では、船室外の暴露甲板にいる乗船者が着用義務の主な対象です。
そのため、一定の条件を満たす船室内にいる場合は、着用義務の対象外となることがあります。
ただし、船舶の構造や状況によって扱いが異なる可能性があるため、個別に確認することが重要です。
転落防止措置が取られている場合
命綱など適切な転落防止措置が取られている場合には、一定の条件でライフジャケットの着用義務が適用されないことがあります。
単に「安全そうだから」という理由で外せるわけではありません。
法令上定められた条件を満たす必要があります。
防波堤内で係留している場合
防波堤内で係留している小型船舶などでは、一定の条件を満たす場合に着用義務ではなく努力義務となることがあります。
ただし、「港の中ならライフジャケットを着用しなくてもよい」という意味ではありません。
状況によって判断が異なるため注意しましょう。
ライフジャケット着用義務に違反するとどうなる?
ライフジャケットの着用義務違反には、小型船舶操縦者に対する違反点数制度があります。
違反すると2点が付される
対象となる乗船者にライフジャケットを着用させなかった場合、原則として船長に2点の違反点数が付されます。
また、違反に関連して死傷事故が発生した場合には、より重い扱いになることがあります。
行政処分を受ける可能性がある
違反点数が一定の基準に達すると、戒告や業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。
行政処分歴があるかどうかによって基準が異なるため、単純に「何点で必ず免許停止になる」とは限りません。
ライフジャケットの着用義務は、安全上のマナーではなく、法律上のルールであることを理解しておきましょう。
ミニボートはライフジャケット着用義務の対象外になる場合がある
すべての小型ボートに同じ着用義務が適用されるわけではありません。
一定の条件を満たす免許不要のミニボートなどは、小型船舶操縦者に対する法律上のライフジャケット着用義務の対象外となる場合があります。
ただし、法律上の義務がないからといって、安全であるとは限りません。
ミニボートは船体が小さく、波や風の影響を受けやすいため、転落や転覆に備えてライフジャケットを着用することが強く推奨されます。
船釣りではライフジャケットの着用義務がある
船釣りをする場合、小型船舶の船室外で釣りをするのであれば、原則としてライフジャケットの着用義務の対象になります。
釣りをしている最中は魚や仕掛けに意識が集中しやすく、不意の揺れでバランスを崩す可能性があります。
法律上の義務を守ることはもちろん、安全のためにも常に正しく着用することが重要です。
堤防釣りや磯釣りでは扱いが異なる
堤防や磯など、船に乗らずに釣りをする場合は、小型船舶操縦者に対するライフジャケット着用義務とは別の扱いになります。
そのため、小型船舶と同じ法律によって全国一律に着用が義務付けられているわけではありません。
ただし、自治体や施設管理者、釣り施設などが独自にライフジャケットの着用を義務付けている場合があります。
また、磯や防波堤は落水事故の危険があるため、法律上の義務がない場所でも安全のために着用することが重要です。
SUPやカヤックでもライフジャケットは必要?
SUPやカヌー、カヤックなどは、一般的な小型船舶とは法令上の扱いが異なる場合があります。
そのため、「SUPに乗る場合は必ず桜マーク付きTYPE Aのライフジャケットを着用しなければならない」と一律に判断することはできません。
利用する水域や施設、自治体、事業者などが独自のルールを設けている場合もあります。
SUPやカヤックを利用する際は、その場所のルールを事前に確認しましょう。
法律上の着用義務がない場合でも、落水事故に備えてライフジャケットを着用することが安全につながります。
ライフジャケットは正しく着用することが重要
ライフジャケットは、ただ身につけていればよいわけではありません。
落水した際に脱げたり、正常に作動しなかったりすると、本来の安全性能を発揮できません。
固型式ライフジャケットの場合
固型式では、ファスナーやバックルをしっかり閉め、ベルトを体格に合わせて調整しましょう。
前を開けたまま羽織るだけでは、落水時にライフジャケットが脱げる可能性があります。
膨張式ライフジャケットの場合
膨張式では、ガスボンベや作動装置の点検が重要です。
使用済みのボンベが付いたままになっていないか、部品に異常がないか、生地に破損がないかなどを定期的に確認しましょう。
長期間使用していない場合も、出航前に状態を確認することが大切です。
ライフジャケットの着用義務について覚えておきたいポイント
小型船舶におけるライフジャケットのルールは、すべての状況で一律というわけではありません。
ただし、一般的なプレジャーボートなどでは、原則として船室外にいる乗船者に適切なライフジャケットを着用させる必要があります。
特に覚えておきたいポイントは、次のとおりです。
・小型船舶では原則として船室外の乗船者が着用対象になる
・船長には対象となる乗船者へ着用させる義務がある
・12歳未満の子どもや水上オートバイの乗船者にも着用義務がある
・国の安全基準に適合したライフジャケットを使用する
・桜マークだけでなくTYPEも確認する
・違反すると船長に違反点数が付される可能性がある
・一定のミニボートなどは法律上の着用義務の対象外になる場合がある
・法律上の義務がない場合でも、水辺では安全のため着用することが望ましい
ライフジャケットは、万が一落水した際に命を守る重要な安全装備です。
法律上の着用義務だけを基準に考えるのではなく、水上や水辺で活動する際は積極的に着用することが大切です。
以上、ライフジャケットの着用義務についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




