ゴムボートで夜間航行する方法について

ゴムボートで夜間航行する場合は、昼間以上に慎重な準備と操船が必要です。

特に小型のゴムボートやミニボートは船体が低く、他船から発見されにくいうえ、乗船者側も漂流物や漁具などを発見しにくくなります。

また、夜間航行では単にライトを取り付ければよいわけではありません。

船の大きさや速力などに応じた灯火を表示し、適切な見張りや安全な速力での航行を行う必要があります。

ここでは、ゴムボートで夜間航行する際に知っておきたいルールや必要な装備、安全対策について詳しく解説します。

目次

ゴムボートで夜間航行することはできる?

ゴムボートだからという理由だけで、すべての船が一律に夜間航行を禁止されているわけではありません。

ただし、実際に夜間航行できるかどうかは、船の大きさや速力、船舶検査の条件などによって異なります。

船舶検査対象のゴムボートでは、船舶検査証書などに夜間航行に関する制限が付けられていないか確認することが重要です。

また、船舶検査の対象外となる小型のミニボートであっても、海上衝突予防法などの航行ルールが適用されなくなるわけではありません。

ミニボートの夜間航行は基本的に避けた方がよい

特に全長3m前後の小型ミニボートでは、夜間航行そのものを避けることが安全です。

海上保安庁も、ミニボートについては夜間になると他船から見えにくくなり、乗船者側からも周囲の状況を把握しにくくなることから、夜間航行を避けるよう注意喚起しています。

法律上航行できる条件を満たしていることと、安全に航行できることは別問題として考える必要があります。

夜間航行では日没から灯火を表示する

夜間航行でまず理解しておきたいのが、灯火を表示する時間です。

海上衝突予防法では、原則として日没から日出まで必要な灯火を表示することになっています。

完全に暗くなってから点灯すればよいわけではありません。

夕まずめの釣りでも注意が必要

夕方から釣りをする場合、出航時には明るくても、帰港するころには日没を過ぎていることがあります。

そのため、日没後まで海上にいる可能性がある場合は、出航時から夜間航行に必要な灯火や装備を準備しておく必要があります。

「少し暗くなるだけだから大丈夫」と考えず、日没時刻を基準に航行計画を立てることが重要です。

ゴムボートの夜間航行に必要な灯火

夜間航行では、自船の存在や進行方向などを周囲の船に知らせるために灯火を表示します。

ただし、必要となる灯火はすべてのゴムボートで同じではありません。

船の全長や最大速力などによって異なるため、自船がどの条件に該当するのか確認する必要があります。

全長7m未満・最大速力7ノット以下の動力船

全長7m未満で、最大速力が7ノットを超えない動力船では、一定の条件のもとで白色全周灯1個を表示して航行できます。

また、可能な限り舷灯を表示することとされています。

小型のゴムボートやミニボートでは、この条件に該当するケースがあります。

ただし、「ゴムボートなら必ず白色全周灯1個だけでよい」という意味ではありません。

自船の全長や最大速力を確認して判断する必要があります。

全長12m未満の動力船

全長12m未満の動力船では、通常のマスト灯と船尾灯の代わりに白色全周灯を使用できる場合があります。

ただし、この場合は原則として舷灯または両色灯も必要です。

したがって、全長12m未満だからといって、すべての船が白色全周灯1個だけで航行できるわけではありません。

舷灯は左舷が紅、右舷が緑

舷灯は船の進行方向を周囲に知らせるための灯火です。

船首方向を向いた場合、左舷側が紅色、右舷側が緑色になります。

左右の灯火を一つにまとめた「両色灯」が使用されることもあります。

夜間に他船の紅色・緑色の灯火を見ることで、その船がどの方向を向いているのか判断できます。

普通のLEDランタンを船灯代わりにしない

夜釣りで使用するキャンプ用LEDランタンや作業灯を、そのまま航海用の船灯として使用できるとは限りません。

船灯には、光の色や照射範囲、光の届く距離などに一定の基準があります。

そのため、単純に「白く光っていればよい」というものではありません。

自船の条件に適合した船灯を使用する

船舶検査対象のゴムボートでは、自船に適用される法令や検査基準に適合した船灯を使用することが重要です。

また、船舶検査対象外のミニボートであっても、夜間に航行する場合の灯火表示義務がなくなるわけではありません。

「船検不要だから航海灯も不要」という考え方は誤りです。

船灯は周囲から見える位置に設置する

ゴムボートでは、灯火の取り付け位置にも注意が必要です。

一般的なFRPボートと比較して船体が低いため、灯火を低い位置に設置すると乗員や船外機、荷物などによって光が遮られることがあります。

白色全周灯は遮られないようにする

白色全周灯は、文字どおり周囲から見えることが重要です。

専用ポールなどを利用し、乗員や荷物によって光が遮られない位置に設置します。

ただし、具体的な設置位置については、自船に適用される基準を確認してください。

船灯の電源切れに備える

夜間航行では、航行中に船灯が消えてしまうことも大きな危険になります。

特に乾電池式や小型バッテリー式の船灯を使用する場合は、出航前の電源確認が重要です。

出航前に確認しておきたいポイント

出航前には、電池やバッテリー残量を確認します。

充電式であれば満充電にし、乾電池式なら十分な容量が残っているか確認します。

さらに、予備電池や予備のライトを用意しておくと安心です。

海水による端子の腐食や接触不良なども考えられるため、点灯確認だけでなく本体の状態も確認しておきましょう。

船灯と作業用ライトは分けて考える

夜釣りでは、ヘッドライトやデッキライトなどを使用することがあります。

しかし、航海用の船灯と作業用ライトでは役割が異なります。

船灯は他船に自船の存在や状態を知らせるためのものです。

一方、ヘッドライトや懐中電灯は手元の作業を行うために使用します。

強い光を常時点灯しない

強力な白色ライトを目の前で点灯すると、暗さに慣れた目が一時的に見えにくくなることがあります。

その結果、海面や他船の灯火を確認しにくくなる可能性があります。

また、法定灯火と誤認されるような灯火や、法定灯火の視認を妨げる灯火の使用にも注意が必要です。

ヘッドライトなどは、必要な作業をするときに必要最小限使用するのが基本です。

夜間航行ではGPSを活用する

夜間になると、昼間に目印としていた地形や建物が見えにくくなります。

そのため、GPSやGPS機能付き魚群探知機は位置確認に役立ちます。

出航地点を登録しておく

出航直後に、スロープや港、出航地点などをウェイポイントとして登録しておくと、帰港時の位置確認に役立ちます。

港の入口なども事前に登録しておくと便利です。

航跡だけを頼りに航行しない

GPSには往路の航跡を記録できる機種があります。

帰港時に航跡を参考にすることはできますが、そのラインをそのままたどれば安全とは限りません。

漁船、漂流物、漁具などは移動したり、新たに現れたりする可能性があります。

GPSはあくまで位置確認を補助する装置として使用し、周囲の見張りを続けることが必要です。

夜間は常時適切な見張りを行う

海上衝突予防法では、周囲の状況や他船との衝突のおそれを十分に判断できるよう、常時適切な見張りを行うことが求められています。

夜間は昼間以上に見張りが重要になります。

GPS画面ばかり見ない

GPS魚探の画面を見続けていると、正面の船や漂流物などの発見が遅れる可能性があります。

夜間は周囲が暗いため、他船の灯火や音なども重要な情報になります。

視覚だけでなく、エンジン音や汽笛などにも注意しながら航行します。

夜間は安全な速力で航行する

夜間航行では、昼間と同じ感覚で速度を出さないことが重要です。

海上衝突予防法では、周囲の状況に応じた「安全な速力」で航行することが求められています。

障害物を発見して停止できる速度にする

夜間は、流木やロープ、漁具などを発見できる距離が短くなります。

そのため、障害物を発見してから回避したり停止したりできる速度まで十分に減速する必要があります。

特に港内、防波堤周辺、岩礁帯、漁具が多い場所では、慎重な速度で航行します。

大型船が多い海域はできるだけ避ける

小型のゴムボートは、大型船から非常に発見されにくい存在です。

大型船は船体が大きいため、ゴムボートを発見しても短距離ですぐに停止したり方向を変えたりすることはできません。

相手が避けてくれると考えない

「小さい船だから大型船が避けてくれる」と考えるのは危険です。

可能であれば、大型船や商船が頻繁に航行する海域は避けます。

やむを得ず航路や船舶交通の多い海域を航行する場合は、その海域に適用される交通ルールを事前に確認しておくことが重要です。

定置網や漁具に注意する

夜間航行では、他船だけでなく漁具も大きな危険要因になります。

昼間なら簡単に発見できるブイやロープでも、夜になると非常に見えにくくなることがあります。

ロープのプロペラ巻き込みに注意する

特に危険なのが、水面付近に張られたロープです。

船外機のプロペラにロープを巻き込むと、エンジンが使用できなくなる可能性があります。

ゴムボートは風や潮流に流されやすいため、海上で推進力を失うと大きな事故につながることがあります。

定置網や養殖施設、刺し網などが多い海域では、夜間航行自体を避けることも検討しましょう。

港や防波堤の位置を事前に確認する

夜になると、昼間なら簡単に分かる港の入口でも見つけにくくなることがあります。

防波堤やテトラポッドも暗闇では非常に見えにくくなります。

初めての海域で夜間航行しない

初めて利用する場所では、まず昼間に航行して周囲の状況を確認しておくことが重要です。

港入口、防波堤、浅瀬、岩礁、スロープなどを事前に確認しておきます。

可能であればGPSにも登録しておきましょう。

夜間航行ではライフジャケットを確実に着用する

ゴムボートでは、乗船中に適切なライフジャケットを着用することが重要です。

特に夜間は、落水すると昼間以上に発見が困難になります。

反射材のある装備も有効

夜間の安全性を高めるためには、反射材が付いたライフジャケットや衣服なども役立ちます。

捜索時にライトの光を反射するため、発見につながる可能性があります。

ただし、反射材の有無だけで法定要件を満たすわけではありません。

自船に必要な救命設備についても、事前に確認しておきましょう。

スマートフォンだけに頼らない

スマートフォンは、GPSや気象情報の確認、緊急時の連絡などに便利です。

しかし、海上ではスマートフォンが使用できなくなることもあります。

防水対策と予備電源を準備する

スマートフォンは防水ケースなどに入れ、海水や落水から保護します。

また、長時間のGPS利用ではバッテリー消費が増えるため、モバイルバッテリーなどを準備しておくと安心です。

ただし、通信圏外になる可能性もあるため、スマートフォンだけを唯一の位置確認手段や安全装備にしないことが重要です。

夜間航行では天候判断をより慎重に行う

ゴムボートは軽く、水面からの高さも低いため、風や波の影響を受けやすい船です。

夜間は海面の状態そのものも把握しにくくなるため、昼間以上に慎重な出航判断が必要になります。

出航前に風や波を確認する

出航前には、少なくとも以下の情報を確認します。

  • 風向
  • 風速
  • 波の高さ
  • 潮汐
  • 潮流
  • 降雨
  • 視程

現在の状況だけでなく、帰港予定時刻までの予報を確認することが重要です。

一律の安全基準はない

「風速○m/s以下なら安全」「波高○cm以下なら安全」と一律に判断することはできません。

同じ風や波でも、船体サイズ、乗船人数、エンジン出力、海域などによって危険度は大きく異なります。

少しでも不安がある場合は出航を取りやめる判断が必要です。

夜釣りでアンカーを使用するときの注意点

夜釣りではアンカーを入れて釣りをするケースがあります。

アンカーを入れて船をとどめている状態は「錨泊」です。

夜間の錨泊中には、その状態に応じた灯火を表示する必要があります。

錨泊中でも見張りを続ける

アンカーを入れているからといって、安全が確保されるわけではありません。

アンカーが外れたり、ロープが切れたりすると、気付かないうちに船が流される可能性があります。

GPSなどを使って自船の位置を定期的に確認しましょう。

漂泊と錨泊は異なる

アンカーを使用して停船している「錨泊」と、アンカーを使用せず海上を漂っている「漂泊」は異なります。

単にエンジンを停止しているだけで、すべて錨泊になるわけではありません。

夜釣りでは自船がどの状態にあるのかを把握し、その状態に応じたルールを確認することが重要です。

夜間航行前に準備しておきたい装備

夜間航行では、昼間よりも装備に余裕を持たせる必要があります。

自船に必要な法定備品を確認したうえで、緊急時に備えた装備も準備しておきましょう。

主な装備

夜間航行を予定する場合は、次のような装備を確認しておくと安心です。

  • 自船の条件に適合した船灯
  • 船灯用の予備電池や予備電源
  • 適切なライフジャケット
  • GPSやGPS魚群探知機
  • 防水対策をしたスマートフォン
  • モバイルバッテリー
  • ヘッドライト
  • 予備ライト
  • 音響信号器具
  • アンカー
  • パドルやオール
  • 基本的な工具
  • 十分な燃料
  • 応急手当用品

実際に必要となる法定備品は、船舶の大きさや航行区域などによって異なります。

自船に必要な装備は、日本小型船舶検査機構などの最新情報で確認してください。

できるだけ明るいうちに出航する

夜釣りを行う場合でも、完全に暗くなってから初めて海へ出るより、明るいうちに出航した方が周囲の状況を確認しやすくなります。

防波堤や港入口、漁具、浅瀬などを明るいうちに確認できます。

最も安全なのは日没前に帰港すること

ただし、明るいうちに出航したからといって、夜間航行の危険性がなくなるわけではありません。

特に小型のミニボートでは、可能な限り日没前に帰港できる計画を立てるのが安全です。

夜間に航行する可能性が少しでもある場合は、必要な灯火や安全装備を事前に準備しておきましょう。

ゴムボートの夜間航行は灯火だけでなく安全対策が重要

ゴムボートで夜間航行する場合は、単にライトを付ければ安全に航行できるわけではありません。

船の大きさや速力に応じた適切な灯火を表示し、常時見張りを行いながら、安全な速力で航行する必要があります。

また、GPS、ライフジャケット、予備電源などを準備し、天候や海況についても昼間以上に慎重に判断することが重要です。

特にミニボートは船体が小さく、夜間には他船から発見されにくいという大きな弱点があります。

海上保安庁もミニボートの夜間航行を避けるよう注意喚起しているため、基本的には日中の航行を中心に計画し、可能な限り日没前に帰港することをおすすめします。

以上、ゴムボートで夜間航行する方法についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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