船長の給料はいくら?
船長の給料は、勤務する船会社や船の種類、航海区域、船舶の大きさ、保有している海技免状、経験年数などによって大きく異なります。
そのため、「船長の平均年収は一律で○万円」と断定するのは適切ではありません。
国土交通省の「船員労働統計調査」でも、船員の報酬は内航船・外航船、船種、職種、船舶のトン数階層などに分けて集計されています。
船長は船舶全体の安全な運航を指揮する責任の大きな役職であるため、一般的には船員の中でも比較的高い給与水準になる傾向があります。
船長だけの全国一律の平均年収はない
船長の給与を調べる際に注意したいのが、「船長だけを対象とした全国一律の平均年収」を単純に示すことが難しい点です。
船長といっても、次のように働く環境はさまざまです。
- 内航貨物船の船長
- 外航貨物船の船長
- タンカーの船長
- フェリーの船長
- 旅客船の船長
- 小型船の船長
- 漁船の船長
同じ船長でも、船舶の規模や航行区域、会社の給与体系によって収入には大きな差が生じます。
したがって、具体的な給与を知りたい場合は、「船長」という職種だけでなく、どのような船に乗るのかまで確認することが重要です。
船員全体の平均年収はどのくらい?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、2025年の賃金構造基本統計調査をもとにした「船員」の全国平均年収は470.1万円です。
ただし、この金額は船長だけを対象にしたものではありません。
航海士や甲板員などを含む職業分類としての「船員」のデータであるため、470.1万円をそのまま「船長の平均年収」と考えることはできません。
船長は船員の中でも給与が高くなりやすい
船長は船員を統括し、航海や船舶の安全について大きな責任を負う職位です。
そのため、一般的には若手の船員や甲板部員などより高い給与が設定される傾向があります。
ただし、実際の給与水準は勤務先や船舶によって異なるため、「船長になれば必ず年収○万円以上になる」とは限りません。
船長の給料は内航船と外航船で異なる
船長の給与を考えるうえで重要なのが、「内航船」と「外航船」の違いです。
国土交通省の船員労働統計調査でも、内航船と外航船は分けて報酬が集計されています。
内航船とは?
内航船とは、基本的に日本国内の港と港の間を航行する船です。
代表的なものとして、次のような船があります。
- 貨物船
- タンカー
- セメント運搬船
- フェリー
- 旅客船
内航船の船長の給料も、船舶の規模や船種、勤務会社などによって異なります。
そのため、「内航船の船長なら年収○万円」と一律に示すことはできません。
外航船とは?
外航船は、日本と海外の港の間や、海外の港同士を航行する船です。
代表例としては、次のような大型船があります。
- コンテナ船
- ばら積み貨物船
- 原油タンカー
- LNG船
- 自動車運搬船
外航船では長期間の航海や国際的な運航管理が求められる場合があり、勤務条件によっては高額な給与や手当が支給されるケースがあります。
ただし、「外航船なら必ず内航船より給料が高い」とは限りません。
船会社や船種、船舶の規模、給与制度などによって条件は変わります。
船長の給料を左右する主な要因
船長の収入は、さまざまな条件によって決まります。
特に影響が大きいのが、船会社、船種、航行区域、船舶の規模、資格、経験です。
勤務する船会社
給与水準は船会社によって異なります。
大手海運会社と中小規模の船会社では、基本給だけでなく、賞与や乗船時の手当、福利厚生などにも違いがあります。
同じ規模の船で船長を務めていても、勤務先が違えば年収に差が出ることがあります。
内航か外航か
国内航路を中心とする内航船と、海外航路を航行する外航船では勤務形態が異なります。
外航船の場合は、数週間から数か月単位で乗船するケースもあり、海外航海などに対応した給与制度や手当が設けられている場合があります。
船舶の大きさ
船舶の大きさも給与に影響する要因です。
大型船では多数の乗組員や大量の貨物を扱うケースがあり、運航管理に求められる責任も大きくなります。
また、船舶の大きさや航行区域に応じて、船長に必要とされる海技免状の資格要件も異なります。
船の種類
船長の給与は船種によっても異なります。
例えば、貨物船、タンカー、旅客船、フェリーなどでは、それぞれ仕事内容や運航形態が異なります。
危険物などを輸送する船では高度な安全管理が求められるため、勤務条件や手当が一般的な貨物船と異なる場合もあります。
海技免状
大型船などで船長として乗り組むには、船舶の大きさや航行区域などに応じた海技免状が必要です。
一般に「船長免許」と呼ばれることがありますが、大型船の船長になるためだけの単独資格が存在するわけではありません。
船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づく「○級海技士(航海)」などの海技免状を取得し、乗船する船に応じた要件を満たす必要があります。
経験年数
船長は、資格を取得した直後に誰でも就ける役職ではありません。
航海士として乗船経験を積み、知識や操船能力、判断力などを身につけてから船長に昇進するのが一般的です。
例えば、三等航海士、二等航海士、一等航海士などとして経験を積み、その後船長になるケースがあります。
ただし、実際のキャリアは会社や船舶によって異なります。
船長にはどのような手当がある?
船員の給与は、基本給だけで決まるとは限りません。
船会社によっては、乗船や職務内容に応じた各種手当が支給されます。
乗船手当や航海手当が支給される場合がある
会社によって名称や制度は異なりますが、例えば次のような手当が設けられている場合があります。
- 乗船手当
- 航海手当
- 職務手当
- 時間外手当
- 深夜勤務に関する手当
- 特殊な作業に関する手当
- 海外航海などに関連する手当
ただし、すべての船会社で同じ手当が支給されるわけではありません。
求人情報を見る際は、基本給だけでなく、手当や賞与を含めた給与条件を確認することが大切です。
船の種類によって船長の給料はどう変わる?
船長の仕事内容は、乗船する船によって異なります。
その違いが給与体系にも影響する場合があります。
貨物船の船長
貨物船の船長は、安全な航海だけでなく、貨物の輸送や船舶全体の運航管理にも関わります。
船舶が大型化するほど扱う貨物量も増え、責任が大きくなる傾向があります。
内航貨物船と外航貨物船でも勤務形態は異なるため、給与条件も同じではありません。
タンカーの船長
タンカーは、原油や石油製品、化学品などを輸送する船です。
積荷の性質によっては高度な安全管理が求められます。
そのため、船種や勤務条件によっては専門性を考慮した給与や手当が設定される場合があります。
フェリーや旅客船の船長
フェリーや旅客船では、多数の乗客の安全を預かります。
大型フェリーから地域の小型旅客船まで規模は幅広いため、同じ旅客船の船長でも給与には大きな差があります。
運航会社の規模や航路によっても給与条件が変わります。
漁船の船長
漁船の給与体系は、一般的な商船とは異なる場合があります。
固定給を中心とするケースだけでなく、漁業の種類や勤務先によっては漁獲実績などが収入に影響する場合もあります。
そのため、漁船の船長の収入は一律には示せません。
国土交通省の船員労働統計調査でも、一般船舶と漁船は別の区分で調査されています。
船長なら年収1,000万円を超える?
船長になれば必ず年収1,000万円を超えるわけではありません。
船長という職種は勤務条件の幅が大きく、小型船の船長と大手海運会社の大型外航船の船長では、給与体系が大きく異なります。
一方で、勤務先や船舶、職務条件などによっては、年収1,000万円を超える船長もいます。
重要なのは、「船長=年収1,000万円」というように一律に考えないことです。
高収入になりやすい条件
一般的には、次のような条件が重なるほど高い収入につながる可能性があります。
- 大型船に乗船する
- 外航船で勤務する
- 大手海運会社に勤務する
- 上位の海技免状を保有する
- 長い乗船経験がある
- 責任の大きい船舶を担当する
- 各種手当が充実している
ただし、これらはあくまで給与を左右する要因であり、必ず高収入になることを保証するものではありません。
船長の給料を調べるときの注意点
船長の給与についてインターネットで調べると、「平均年収800万円」「年収1,000万円以上」といった数字を目にすることがあります。
しかし、その数字がどのような船長を対象としているのかを確認することが重要です。
「船員の平均年収」と「船長の平均年収」を混同しない
厚生労働省などで公表されている「船員」の平均給与には、船長以外の職種も含まれている場合があります。
したがって、船員全体の平均年収をそのまま船長の年収として紹介するのは適切ではありません。
月給だけでなく報酬全体を見る
船員の場合、基本給に加えて各種手当や賞与が支払われることがあります。
そのため、求人票を見る際には月給だけではなく、
- 基本給
- 乗船中の手当
- 賞与
- 昇給
- 休暇制度
- 退職金
- 福利厚生
なども含めて確認すると、実際の待遇を比較しやすくなります。
船長の給料は勤務条件によって大きく異なる
船長は、船舶や乗組員の安全を預かる責任の大きな仕事です。
そのため、船員の中では比較的高い給与が設定される傾向があります。
ただし、船長の給与には全国一律の金額があるわけではありません。
内航船か外航船か、貨物船か旅客船か、船舶の大きさ、勤務する会社、保有資格、経験年数などによって収入は大きく変わります。
厚生労働省の統計では船員全体の平均年収として470.1万円というデータがありますが、これは船長だけの平均年収ではありません。
また、条件によっては年収1,000万円を超える船長もいますが、すべての船長がその水準に達するわけではありません。
船長の給料を正確に把握するには、「船長」という職種名だけを見るのではなく、船種・内航か外航か・船舶規模・勤務先・資格・手当などを含めて確認することが重要です。
以上、船長の給料はいくら程なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。














