ゴムボートを駐車場から海岸やスロープまで運ぶ際、船体や船外機を持ち上げて移動するのは大きな負担になります。
そこで便利なのが、トランサム付近にタイヤを取り付けてボートを転がせるようにする「ドーリー」です。
ゴムボート用ドーリーは市販されていますが、構造自体は比較的シンプルなため、金属製のブラケットやアーム、タイヤなどを組み合わせて自作することもできます。
ただし、ドーリーには船体だけでなく船外機や燃料、荷物などを含めた重量が掛かります。
強度不足や取り付けミスがあると、アームの変形やタイヤの脱落だけでなく、トランサムを損傷する原因にもなります。
自作する場合は、材料費を抑えることよりも、安全性と強度を十分に確保することが重要です。
ここでは、トランサム付きゴムボートに取り付ける一般的な跳ね上げ式ドーリーを想定し、構造や必要な材料、作り方、タイヤの選び方、注意点まで詳しく解説します。
ゴムボート用ドーリーとは
ゴムボート用ドーリーとは、ボートの船尾付近に左右1輪ずつタイヤを取り付け、陸上でボートを転がして運搬できるようにする装備です。
ランチングホイールやトランサムドーリーなどと呼ばれることもあります。
ゴムボートを陸上で運びやすくする装備
ドーリーを装着すると、船首側を持ち上げるだけで船尾側をタイヤで支えられるため、ボート全体を持ち上げて運ぶ必要がありません。
特に、以下のような場面で役立ちます。
- 駐車場から海岸までボートを移動するとき
- スロープから水辺まで進水させるとき
- 砂浜を移動するとき
- 船外機を装着したまま短距離を運搬するとき
- 一人または少人数で出艇・撤収するとき
船外機や燃料タンクを搭載した小型ゴムボートでは総重量が大きくなるため、ドーリーを装着することで運搬時の負担を大幅に軽減できます。
車で牽引するトレーラーとは異なる
ゴムボート用ドーリーは、基本的に人力で短距離を移動するための補助装置です。
車で高速道路などを牽引するボートトレーラーとは、構造も使用目的も異なります。
自作ドーリーを車両牽引用トレーラーの代用品として使用しないようにしてください。
ゴムボート用ドーリーの基本構造
自作しやすいのは、トランサムへ左右独立したタイヤを取り付ける跳ね上げ式です。
基本的には、以下のような構成になります。
トランサム → 固定ブラケット → ドーリーアーム → 車軸 → タイヤ
陸上を移動するときはタイヤを下ろし、進水後はアームを上方向へ格納できる構造にします。
固定ブラケット
固定ブラケットは、ドーリーをトランサムへ取り付ける土台となる部品です。
アームを回転させる支点や、上下位置を固定するロック機構もこの部分に設けます。
ブラケットには大きな荷重が集中するため、十分な強度が必要です。
材質としては、ステンレスや適切なアルミ合金などが使用できます。
ドーリーアーム
ドーリーアームは、ブラケットからタイヤまで伸びる部分です。
DIYではアルミ角パイプなどが比較的加工しやすく、穴開けや車軸の取り付けもしやすいでしょう。
ステンレス製パイプも使用できますが、重量が増えやすく、切断や穴開けの難易度も高くなります。
ただし、アルミ角パイプであれば何でも使用できるわけではありません。
必要な強度は、材質、外形寸法、肉厚、アーム長、総重量などによって変わります。
車軸
車軸はタイヤを保持するシャフトです。
海水で使用することを考えると、耐食性のあるステンレス製シャフトなどが適しています。
ボルトを車軸として使用する場合は、タイヤのハブやブッシュがねじ山部分へ直接接触しない構造にすることが重要です。
ねじ山が軸受面に接触すると、ハブやブッシュを摩耗させやすくなります。
タイヤ
タイヤは使用する場所に合わせて選びます。
舗装路やコンクリートスロープ中心なら一般的なノーパンクタイヤでも使用できます。
一方、柔らかい砂浜を移動する場合は、幅が広く接地面積の大きいバルーンタイヤが適しています。
ゴムボート用ドーリーを自作するために必要な材料
必要な材料は、使用するボートや設計によって異なります。
基本的には以下の部品を用意します。
アーム用のアルミ角パイプなど
左右1本ずつ、合計2本必要です。
アルミ合金は軽量で加工しやすいため、自作ドーリーのアーム材として扱いやすい素材です。
ただし、適切な断面寸法や肉厚を一律に決めることはできません。
船体や船外機を含めた重量、アームの長さ、使用条件などを考慮して十分な強度を持つものを選びます。
トランサム固定ブラケット
左右1個ずつ必要です。
ステンレス板、アルミ板、アングル材などを加工して自作できます。
ただし、ドーリーの中でも特に大きな力が掛かる部分です。
加工精度や強度に不安がある場合は、メーカーが互換性を認めている市販ブラケットなどを利用する方法も検討できます。
タイヤ
左右で2個使用します。
選択肢としては、以下があります。
- ノーパンクタイヤ
- 空気入りタイヤ
- PUタイヤ
- 低圧バルーンタイヤ
使用する場所によって最適なタイプは変わります。
車軸やシャフト
タイヤの中心を通して保持するための部品です。
ステンレス製シャフトや、ねじなし部分を十分確保できる適切なボルトなどを使用します。
タイヤのハブ径と車軸径が合っていることも確認してください。
ボルト・ナット・ワッシャー
ブラケットやアームを固定するために使用します。
海水環境ではステンレス製の部品が扱いやすいでしょう。
ナットには、ナイロンナットなどの緩み止め機能を持つものを使用すると安心です。
Rピンや割りピンは、基本的には軸や固定ピンの抜け止めとして使用します。
Rピンだけでボートの重量を直接支えるような構造にはしないほうが安全です。
ドーリーを自作するために必要な工具
金属加工を行うため、ある程度の工具が必要です。
主な工具
以下のような工具があると作業しやすくなります。
- 電動ドリル
- 金属用ドリルビット
- 金属切断工具
- 金ノコ
- スパナ
- ソケットレンチ
- ヤスリ
- メジャー
- 差し金
- ポンチ
- マーカー
- クランプ
切断面のバリを必ず処理する
ゴムボートでは、金属部品のバリや鋭角部分を残さないことが非常に重要です。
アルミパイプなどを切断した直後は、鋭いエッジが残っていることがあります。
そのまま使用すると、PVCやCSMなどの船体生地を傷付ける可能性があります。
ヤスリなどで十分に面取りし、必要に応じて樹脂製キャップなどを取り付けてください。
自作前にゴムボートの総重量を確認する
ドーリーの強度を考える際は、船体重量だけで判断してはいけません。
ドーリーを使用して移動するときに搭載しているものを含めて考えます。
船外機や荷物も重量に含める
例えば、以下のような状態を考えてみます。
- 船体:40kg
- 船外機:25kg
- 燃料タンク:10kg
- バッテリー:15kg
- 釣具など:10kg
この場合、移動時の総重量は100kgになります。
ドーリーを設計するときは、このような総重量を基準として考える必要があります。
タイヤ2個の耐荷重だけで判断しない
仮に1輪100kgまで対応するタイヤを2個使用したとしても、ドーリー全体の耐荷重が200kgになるとは限りません。
ドーリーには、タイヤ以外にも以下の部品があります。
- アーム
- 車軸
- 回転軸
- ブラケット
- ロック機構
- トランサム
これらの中で最も弱い部分が、実質的な強度上の限界になります。
移動時には衝撃荷重も発生する
平坦な場所で静止している場合と、段差を越える場合では掛かる力が異なります。
石や溝などに片輪だけ乗った場合、一時的に片側へ大きな荷重が集中することもあります。
そのため、静止重量ぎりぎりではなく、十分な余裕を持った強度設計が必要です。
使用場所に合わせてタイヤを選ぶ
ドーリーの使いやすさを大きく左右するのがタイヤです。
舗装路やスロープならノーパンクタイヤ
コンクリートスロープや舗装路を中心に使用する場合は、ノーパンクタイヤが便利です。
空気圧管理が不要で、パンクする心配がありません。
比較的安価なものも多いため、DIYにも取り入れやすいタイプです。
ただし、細いタイヤは柔らかい砂浜へ入ると沈み込みやすくなります。
砂浜なら低圧バルーンタイヤ
柔らかい砂浜を頻繁に移動する場合は、幅広の低圧バルーンタイヤが適しています。
タイヤ幅が広く接地面積が大きいため、細いタイヤより砂へ沈みにくくなります。
ただし、タイヤ自体が大きくなるため、跳ね上げた際にチューブや船外機と干渉しないか確認する必要があります。
空気入りタイヤ
一般的な空気入りタイヤも使用できます。
クッション性が高い一方で、パンクや空気漏れ、空気圧管理などが必要になります。
なお、適正空気圧はタイヤによって大きく異なります。
一般的な空気入りタイヤと低圧バルーンタイヤでは設定値がまったく異なる場合があるため、必ずタイヤメーカーの指定値に従ってください。
ドーリーアームの長さを決める
アームの長さは、ドーリー性能と強度の両方に影響します。
タイヤが船底より下へ出る長さにする
タイヤを下げた状態で、船底や船外機の下部が地面へ接触しない程度のクリアランスが必要です。
アームが短すぎると、タイヤを装着していても船底が地面へ擦れることがあります。
必要以上に長くしない
反対に、アームを必要以上に長くするとブラケットやトランサムへ掛かる曲げの力が大きくなります。
同じ重量でも、支点からタイヤまでの距離が長くなるほど負担が増えるためです。
十分な地上高を確保できる範囲で、過度に長くしない設計が適しています。
トランサムへの取り付け位置を決める
ドーリーは通常、トランサムの左右に取り付けます。
位置決めは完成後の使いやすさだけでなく、安全性にも大きく影響します。
左右対称に配置する
左右のブラケットは、基本的に同じ高さになるよう配置します。
左右のタイヤ位置が大きくずれると、運搬時にボートが傾きやすくなります。
メジャーと差し金などを使用して正確に位置を合わせます。
船外機との干渉を確認する
取り付け位置を決める際は、船外機との干渉確認が重要です。
特に確認したいのは以下の部分です。
- 船外機本体
- クランプ部分
- チルト機構
- プロペラ周辺
- 操舵範囲
直進状態だけでなく、船外機を左右いっぱいに動かした状態でも確認してください。
チューブとの干渉も確認する
タイヤやアームを上へ跳ね上げた際、ゴムチューブへ接触しないことも重要です。
静止状態では接触していなくても、航走中の振動などで擦れる可能性があります。
十分なクリアランスを確保してください。
トランサム端部ぎりぎりへの穴開けは避ける
ブラケットを外側へ広げると運搬時の安定性を高めやすくなります。
しかし、トランサム端部へ穴を近づけすぎると、ボルト周辺へ力が集中して損傷する可能性があります。
適切な縁端距離は、トランサムの材質や厚さ、ボルト径などによって変わります。
メーカーがアクセサリー取り付け位置や加工禁止部分を指定している場合は、その指示を最優先してください。
トランサムにブラケットを取り付ける
取り付け位置を決めたら、ブラケットを固定します。
穴位置を正確にマーキングする
ブラケットを仮置きして、穴位置をマーキングします。
穴を開ける前に、左右位置、高さ、水平、船外機との干渉などをもう一度確認してください。
穴開け後の位置変更は簡単ではありません。
穴開けは慎重に行う
材質によっては、小径のドリルから段階的に穴を広げると作業しやすくなります。
ただし、トランサムへ穴を開けてもよいかどうかはボートによって異なります。
保証条件やメーカー指定を事前に確認してください。
穴部分を防水処理する
木材などを芯材として使用しているトランサムでは、ボルト穴から水分が侵入すると内部材が劣化する可能性があります。
穴部分には、トランサムの材質に適合するマリン用シーラントなどを使用して防水します。
具体的な製品は、ボートメーカーやシーラントメーカーの適合情報を確認して選びます。
ワッシャーや補強板で荷重を分散する
小さなボルト頭やナットだけで荷重を受けると、トランサムの一部分へ力が集中します。
必要に応じて適切なワッシャーや補強板を使用し、荷重を分散させる構造にします。
ただし、構造はトランサムによって異なるため、一律の方法ではなく船体側の設計に合わせることが重要です。
ドーリーアームを製作する
ブラケット位置が決まったら、左右のアームを製作します。
左右を同じ長さにする
左右のアームは同じ長さになるよう加工します。
最初に1本を完成させ、それを基準として2本目を作ると寸法を揃えやすくなります。
切断面を面取りする
切断した角パイプには鋭いバリが残ります。
ヤスリなどで完全に除去し、角部分も滑らかにします。
特に、跳ね上げ時にゴムチューブへ近づく部分は入念に処理してください。
車軸とタイヤを取り付ける
アーム下端へ車軸を取り付け、その車軸へタイヤを装着します。
平滑な軸面を使用する
タイヤのハブやブッシュが回転する部分には、できるだけ滑らかな軸面を使用します。
ねじ山部分を直接回転面として使用すると摩耗が進みやすくなるため注意が必要です。
スペーサーを使用して位置を調整する
タイヤとアームが擦れないよう、必要に応じてスペーサーやカラーを入れます。
タイヤがスムーズに回転しながら、横方向へ大きくガタつかないよう調整してください。
抜け止めを設ける
タイヤの脱落を防ぐため、ナットや割りピンなどによる確実な抜け止めが必要です。
ただし、Rピンなどを主要荷重を受ける部品として使用するのではなく、あくまで固定軸の抜け止めとして利用します。
跳ね上げ機構を作る
陸上移動時と水上使用時でタイヤ位置を変更できるようにします。
回転軸を設ける
ブラケットとアームをボルトやシャフトなどで接続し、アームが上下へ回転できる構造にします。
回転部分にも十分な強度が必要です。
上位置と下位置でロックできるようにする
タイヤを下げた状態と、上へ格納した状態の両方でアームを確実に固定できるようにします。
ロックが不十分だと、移動中に突然アームが跳ね上がり、船尾が落下する危険があります。
荷重を受ける部分には十分な径と強度を持つロックピンやボルトなどを使用します。
水上でのドーリー位置にも注意する
一般的な跳ね上げ式ドーリーでは、進水後にタイヤを上方向へ格納して使用します。
ただし、適切な位置はドーリーの構造によって異なります。
水中にタイヤを残すと抵抗になる場合がある
タイヤやアームが水中に残ったままだと、航走時の抵抗が増える可能性があります。
船外機の水流や操舵に影響する場合もあります。
自作品では、基本的に安全に格納できる構造を検討してください。
航走中のチューブ接触を確認する
アームを跳ね上げた状態でチューブへ近すぎる場合、振動によって擦れる可能性があります。
一定のクリアランスを確保することが重要です。
穴を開けないドーリーを自作する方法
トランサムへ穴を開けたくない場合は、別方式も検討できます。
クランプ式
トランサムを金具で挟み込んで固定する方式です。
穴を開けないメリットがありますが、滑りや緩みを防ぐ設計が難しくなります。
重量のあるボートでは、簡易的なDIYクランプ固定は慎重に考えたほうがよいでしょう。
独立した台車式
ボート本体へタイヤを取り付けるのではなく、独立した台車の上へゴムボートを載せる方法です。
例えば、以下のような構成にできます。
車軸+タイヤ+船体受け+フレーム
この方式ならトランサムへ穴を開ける必要がありません。
一方、進水後に台車を回収する必要があります。
船体を加工したくない場合には、トランサム固定式を無理に自作するよりも独立台車式のほうが適している場合があります。
砂浜用ドーリーを自作するときのポイント
砂浜では舗装路とは条件が大きく異なります。
タイヤは太さと接地面積を重視する
砂浜では単純にタイヤ径を大きくするだけでなく、タイヤ幅と接地面積が重要です。
細いタイヤは砂へ沈みやすいため、柔らかい砂浜では幅広の低圧バルーンタイヤが有利です。
荷物の前後位置も調整する
ドーリーはトランサム付近へ取り付けるため、船外機や燃料タンクなど重いものが船尾へ集中すると、船首を持ち上げる力が大きくなる場合があります。
運搬時のみ燃料タンクや荷物を前方へ移すことで、持ち手側の負担を調整できる場合があります。
ただし、水上では必ずそのボートに適した重量配分へ戻してください。
完成したら必ず荷重テストを行う
自作ドーリーを完成直後から本番使用するのは避けたほうが安全です。
段階的にテストします。
最初は空荷状態で確認する
まず船体だけの状態で確認します。
以下をチェックしてください。
- 左右のタイヤが同じ高さになっているか
- タイヤがスムーズに回転するか
- ブラケットが動かないか
- ロック機構が外れないか
- チューブへ接触しないか
少しずつ重量を増やす
問題がなければ、軽い荷物から順番に追加します。
船外機やバッテリーなどを含む通常使用状態まで、段階的に荷重を増やします。
段差でも確認する
平坦な場所で問題がなくても、段差では大きな荷重が発生します。
安全を確保したうえで低速で確認し、アームの変形、ブラケットのズレ、異音、ガタつきなどが発生しないか確認します。
異常がある場合は使用を中止してください。
自作ドーリーで注意したいポイント
トランサムの状態を確認する
ドーリー本体が頑丈でも、取り付け先のトランサムが弱っていれば安全に使用できません。
古いゴムボートでは、以下のような劣化がないか確認してください。
- 木製芯材の腐食
- トランサム板のひび割れ
- チューブとの接着部の剥離
- ボルト穴周辺の劣化
異常がある場合は、ドーリーを取り付ける前に船体側の修理や点検が必要です。
ボートの最大積載量とドーリーの耐荷重を混同しない
ボートの最大積載量と、ドーリーの耐荷重は別の数値です。
ドーリーの耐荷重が大きくても、ボートの最大積載量を超えて荷物を載せてよいわけではありません。
反対に、ボート側に余裕があってもドーリー側の強度が不足していれば、その状態で陸上移動することはできません。
それぞれ別々に確認する必要があります。
市販部品を組み合わせる場合も注意する
市販ブラケットと自作アームを組み合わせれば、DIYの難易度を下げられる場合があります。
しかし、市販ブラケットの耐荷重は、本来組み合わせるアームを前提として設定されている可能性があります。
アームを長くしたり、大型タイヤへ変更したりすると、想定以上の力がブラケットへ掛かることがあります。
市販部品を流用する場合は、メーカーが想定している使用条件を確認してください。
海水で使用した後のメンテナンス
海水や砂が付着した状態で放置すると、腐食や可動部の摩耗が進みやすくなります。
使用後は真水で洗浄する
海水使用後は、以下の部分を真水でしっかり洗います。
- タイヤ
- 車軸
- ブラケット
- アーム
- ボルト
- ロックピン
- 回転部分
砂浜で使用した場合は、車軸周辺へ入り込んだ砂も丁寧に洗い流します。
異種金属腐食にも注意する
アルミ製アームへステンレスボルトを組み合わせるなど、異なる金属を海水環境で使用すると、条件によっては異種金属接触による腐食が進みやすくなります。
必要に応じて絶縁ワッシャーや適切な防食処理を行い、使用後の真水洗浄を徹底します。
ゴムボート用ドーリーを自作するときに避けたいこと
安全性を高めるため、以下のような作り方は避けてください。
強度を確認せず材料を選ぶ
細いパイプや薄い金属板を使用すると、移動時の衝撃によって変形する可能性があります。
タイヤの耐荷重だけで全体の強度を判断する
ドーリー全体の強度は、アームやブラケット、車軸、トランサムなどを含めて考える必要があります。
トランサム端部ぎりぎりへ穴を開ける
端部へ穴を近づけすぎると、トランサムを傷める可能性があります。
ロック機構を省略する
移動中にアームが跳ね上がると危険です。
上下位置を確実に固定できる機構を設けます。
金属の角やバリを残す
鋭い金属部分はゴムチューブを傷付ける原因になります。
船外機との干渉確認をしない
船外機を左右へ操舵した状態やチルトした状態も含めて確認します。
完成直後にいきなり本番使用する
段階的に荷重テストを行い、安全性を確認してから実際の進水場所で使用してください。
ゴムボート用ドーリーを自作する手順
ここまでの内容をまとめると、基本的な製作手順は以下のようになります。
1.移動時の総重量を確認する
船体だけでなく、船外機、燃料、バッテリー、荷物などを含めて考えます。
2.使用場所に合わせてタイヤを選ぶ
舗装路中心ならノーパンクタイヤ、砂浜中心なら幅広の低圧バルーンタイヤなどを検討します。
3.ブラケット位置を決める
船外機、チューブ、ドレンプラグなどとの干渉を確認します。
4.アーム長を決める
タイヤを下げたときに十分な地上高を確保しつつ、必要以上に長くしないようにします。
5.アームとブラケットを製作する
十分な強度を持つ材料を使用し、金属の切断面は面取りします。
6.車軸とタイヤを取り付ける
タイヤがスムーズに回転し、抜け落ちない構造にします。
7.跳ね上げ機構とロックを作る
陸上移動位置と格納位置の両方で確実に固定できるようにします。
8.トランサムへ取り付ける
必要な場合は適切な防水処理や荷重分散を行います。
9.段階的に荷重テストをする
空荷から始め、通常使用時の重量まで少しずつ増やして安全性を確認します。
まとめ
ゴムボート用ドーリーは、トランサムへブラケットを取り付け、そこからアームを伸ばして左右にタイヤを装着する構造で自作できます。
特に扱いやすいのは、陸上ではタイヤを下ろし、進水後は上方向へ格納できる跳ね上げ式です。
ただし、自作で最も重要なのはタイヤの種類よりも、トランサム固定部、ブラケット、アーム、車軸、ロック機構などを含めた全体の強度です。
船体重量だけを見るのではなく、船外機や燃料、バッテリー、荷物を含めた移動時の総重量を基準として設計する必要があります。
また、段差では静止時以上の荷重が掛かるため、限界ぎりぎりの強度で製作するべきではありません。
舗装路やスロープを中心に使用するならノーパンクタイヤ、柔らかい砂浜を移動するなら幅広の低圧バルーンタイヤが適しています。
一方、トランサムへの穴開けは船体そのものを加工する作業です。
ボートメーカーが加工位置やアクセサリーの取り付け方法を指定している場合は、その指示を最優先してください。
強度計算や金属加工に自信がない場合は、ドーリー全体を完全自作することにこだわらず、適合する市販ドーリーを使用することも安全性の高い選択肢です。
自作する場合は、完成後に空荷状態から段階的な荷重テストを行い、ブラケットのズレやアームの変形、ロックの外れ、船外機やチューブとの干渉がないことを確認してから実際のフィールドで使用しましょう。
以上、ゴムボート用ドーリーを自作する方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。















