フジツボ(カメノテ類を含む甲殻類)は、船底や港の構造物に付着する厄介な海洋生物の代表格で、「汚損生物(ファウリング生物)」と呼ばれています。
これが付着すると船の燃費が悪くなったり、スピードが落ちたり、腐食のリスクが高まったりします。
以下に、フジツボ対策の基本から応用までを詳しくご説明します。
目次
フジツボが船底に付着するメカニズム
フジツボの幼生(プランクトン状)は、海中を漂いながら硬い表面を探して着底します。
船が長時間停泊したり、頻繁に使われない状態だと、その表面に定着しやすくなります。
定着すると、強力なセメント様の物質で表面に張り付き、簡単には取れません。
フジツボ対策の方法(予防と除去)
防汚塗料(防汚ペイント)を塗る【予防策】
主な種類
- 自己研磨型塗料(SPC)
航行によって塗料の表面が削れて、汚損生物の付着を防ぎます。定期的に塗り替える必要があります。 - 非毒性防汚塗料(シリコーン・フッ素系)
生物が滑って付着しにくい表面を作ります。環境にやさしいが高価。
メリット
- 長期的な維持管理コスト削減
- 塗布後は数ヶ月~数年にわたってフジツボの付着を抑制
注意点
- 使用前に旧塗膜をしっかり除去
- 塗装は気温や湿度にも注意(塗装マニュアルに準拠)
定期的な船底清掃【物理的除去】
方法
- 陸揚げして高圧洗浄機で洗浄
船台やドックで船を引き上げ、フジツボや藻類を削ぎ落とします。 - スクレーパー(ヘラ)で手作業で剥がす
小型ボートなどはスクレーパーでこそげ落とすのが一般的。 - 潜水作業での清掃(水中スクレーピング)
動かせない船舶や定置構造物に有効。ただし、完全には取りきれないことも。
頻度
- 小型プレジャーボート:年1~2回
- 商業船舶:3~6ヶ月ごとに清掃 or ドック入り
超音波防汚システム(先進的技術)
原理
- 船体内に取り付けた発振装置から微細な超音波を出し、フジツボの幼生が定着するのを妨げる。
特徴
- 環境負荷が低く、メンテナンス不要なものも
- 高価(数十万円~)だが、塗装の頻度を減らせる
環境を考慮したナチュラル手法(限定的)
- 銅板や銅繊維を使った表面処理:銅イオンによる抗付着作用
- 牡蠣の殻・貝類で構造物を覆う:フジツボより強い競争相手で定着を防ぐ(港湾構造物向け)
フジツボを放置した場合のデメリット
項目 | 内容 |
---|---|
船速低下 | 摩擦抵抗が増し、航行性能が落ちる |
燃費悪化 | 抵抗増により、燃料消費量が最大40%悪化することも |
金属腐食 | フジツボの分泌物や内部に生じる水分で腐食促進 |
船体劣化 | 付着部を剥がす際に塗膜やFRPが傷むことがある |
実践手順:船底のフジツボ清掃(手作業例)
- 陸揚げまたは船底を出す
- スクレーパーでフジツボを削ぎ落とす
- 高圧洗浄機で表面を洗浄
- 必要に応じて研磨・サンディング
- 防汚塗料を再塗布(2〜3回塗り)
- 乾燥後、再進水
メンテナンスの目安(ボートやヨットの場合)
活動頻度 | 内容 |
---|---|
毎月 | 船底の目視確認(潜水または船台) |
半年ごと | 陸揚げしての清掃・塗装チェック |
1〜2年ごと | 防汚塗料の再塗装 |
まとめ
- 予防が最も効果的:防汚塗料+定期航行
- 除去は労力が大きい:早期発見・早期除去が重要
- 費用と環境への配慮のバランスが必要
以上、船底に付くフジツボはどうすればいいのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。