「ノット(knot)」は、船舶や航空機の速度を表すための国際的な単位で、日本語では「海里毎時(かいりまいじ)」と表現されることもあります。
以下では、ノットという単位の定義、由来、換算、使用例などを詳しく解説します。
目次
ノット(knot)の定義
1ノット = 1時間に1海里(nautical mile)を進む速度です。
- 1海里(nautical mile)= 1852メートル
- よって、1ノット = 1.852 km/h
例
- 10ノット = 18.52 km/h
- 20ノット = 37.04 km/h
なぜ「ノット」なのか? ─ 起源と由来
ノットの語源は、帆船時代の速度測定方法にあります。
ローグライン(log line)という道具
かつて、船の速度を測るために「ログシップ(log ship)とロープ(log line)」を用いていました。
- ロープには等間隔に「ノット(結び目)」が作られており、
- ログシップ(木片)を海に投げ入れ、ロープがどれだけの時間でどれだけ引き出されたかを測定。
- 引き出された「ノットの数」を元に速度を計算した。
この方法から、「ノット(knot)」という単位が生まれました。
なぜ「海里(nautical mile)」を使うのか?
海里は、地球の緯度経度の計測と直接関係しているため、航海にはとても便利です。
- 地球は1周(360度)あり、1度を60分(分 = minute)に分けます。
- 緯度1分(1 arcminute)に相当する地球表面の距離が、ちょうど1海里(=1852m)なのです。
これにより、地図上での緯度・経度の変化と実際の距離の換算がしやすく、航海・航空における標準単位となりました。
ノットと他の単位の換算表
単位 | 換算値(1ノットあたり) |
---|---|
km/h | 1.852 km/h |
mph(マイル/時) | 約1.15078 mph |
m/s | 約0.51444 m/s |
実際の使用例
- 漁船や商船、軍艦など、すべての船の速度はノットで表されます。
- 例:貨物船の航行速度は約15〜20ノット
- 航空機の巡航速度もノットで表示されることが多いです。
- 例:旅客機(ボーイング777)の巡航速度は約480ノット(約890km/h)
ノットと風速の関係
気象情報で出てくる風速も、海上ではノットで表現されることがあります。
- 台風や低気圧の報道でも「中心付近の最大風速は45ノット」などと表現される場合があります。
- ただし、気象庁などでは主に「m/s(メートル毎秒)」が使われるので、日本ではあまり一般的ではありません。
日本語での呼び方・表記
- 「ノット」は日本語でも「ノット」とそのまま使います。
- 技術文書では「kt」と略記されることがあります。
- 発音は英語と同じで「ナット」に近いですが、日本語では「ノット」で定着しています。
補足:GPSや現代の測定
現代では、ノットを測るためにGPSやドップラーソナーなどの電子機器を使用して正確に船速を把握します。
物理的な「結び目」は使いませんが、単位としての「ノット」は変わらず使われています。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
単位名 | ノット(knot) |
定義 | 1時間に1海里進む速度(1ノット = 1.852 km/h) |
語源 | 帆船時代のロープの結び目(knot) |
使用分野 | 船舶、航空、海上気象 |
利点 | 緯度・経度との連携が取りやすい、航海に適した単位 |
以上、船の速度単位のノットについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。