小型船舶の船検にかかる費用はいくら?
小型船舶を所有している場合、一定の条件に該当する船は定期的に船舶検査、いわゆる「船検」を受ける必要があります。
船検にかかる費用は、船の長さや検査の種類、旅客定員などによって異なります。
また、実際に必要になる金額は、日本小型船舶検査機構(JCI)へ支払う検査手数料だけではありません。
法定備品の購入や交換、船体・エンジンの整備、登録手続きなどによって追加費用が発生することがあります。
ここでは、2026年9月時点の料金体系をもとに、小型船舶の船検にかかる費用について詳しく解説します。
小型船舶の船検手数料
一般的なプレジャーボートなど、旅客の定員が12人までの小型船舶では、船の長さによって定期検査と中間検査の手数料が決められています。
2026年7月1日以降に適用されている主な料金は、以下のとおりです。
| 船の長さ | 定期検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 13,100円 | 5,900円 |
| 3m以上5m未満 | 19,000円 | 9,500円 |
| 5m以上10m未満 | 27,800円 | 17,200円 |
| 10m以上20m未満 | 35,200円 | 22,200円 |
| 20m以上30m未満 | 49,800円 | 32,300円 |
これらはJCIへ支払う法定検査手数料です。
船舶検査関係の法定手数料は非課税となっているため、基本的に消費税は加算されません。
5m以上10m未満の船なら定期検査は27,800円
個人が所有するプレジャーボートでは、5m以上10m未満の船も多く見られます。
この区分で旅客定員が12人までの場合、定期検査は27,800円、中間検査は17,200円です。
例えば6mや7m程度の一般的なプレジャーボートであれば、この料金区分に該当するケースが多いでしょう。
ただし、実際の区分については船舶検査証書などに記載されている船の長さを確認することが大切です。
定期検査と中間検査の違い
船検には複数の種類がありますが、一般的な小型船舶の所有者にとって特に重要なのが「定期検査」と「中間検査」です。
定期検査とは
定期検査は、一定期間ごとに実施される本格的な船舶検査です。
船体や機関、救命設備、消防設備、航海設備などが安全基準を満たしているか確認されます。
旅客船以外の一般的な小型船舶では、原則として6年ごとに定期検査を受けます。
定期検査に合格すると、新しい船舶検査証書などが交付されます。
中間検査とは
中間検査は、定期検査と次の定期検査の間に実施される検査です。
一般的な旅客船以外の小型船舶では、6年間の検査周期の途中で中間検査を受けます。
そのため、イメージとしては、
「定期検査 → 約3年後に中間検査 → 約3年後に定期検査」
という流れになります。
ただし、すべての小型船舶が同じ周期になるわけではありません。
旅客船などは検査周期が異なるため、自分の船の検査時期については船舶検査証書や船舶検査手帳で確認することが重要です。
旅客定員13人以上の船は検査料が高くなる
JCIの検査手数料は、「旅客の定員が12人まで」と「旅客の定員が13人以上」で料金が分かれています。
旅客定員13人以上の船舶では、検査手数料が高くなります。
| 船の長さ | 定期検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 18,700円 | 10,200円 |
| 3m以上5m未満 | 27,300円 | 15,400円 |
| 5m以上10m未満 | 39,100円 | 25,700円 |
| 10m以上20m未満 | 52,800円 | 34,000円 |
| 20m以上30m未満 | 72,200円 | 49,300円 |
例えば5m以上10m未満の場合、旅客定員12人までなら定期検査は27,800円ですが、13人以上では39,100円となります。
なお、旅客定員13人以上の船舶では、検査周期などについても一般的なプレジャーボートとは異なる場合があります。
単純に料金だけで判断せず、船舶の用途や区分もあわせて確認する必要があります。
船検では検査手数料以外の費用もかかる
船検を受ける際に注意したいのが、JCIへ支払う検査手数料と、実際に船検を通すために必要な総費用は同じではないという点です。
船の状態によっては、検査手数料以外にもさまざまな費用が発生します。
法定備品の購入・交換費用
小型船舶には、航行区域や船舶の種類などに応じて一定の法定備品を備える必要があります。
代表的なものには、次のような設備があります。
- 救命胴衣
- 救命浮環
- 信号紅炎
- 消火器
- アンカー
- 係船ロープ
- 航海灯
- 汽笛や笛
- コンパス
- 海図
- 無線設備
- レーダー反射器
- 工具類
ただし、これらすべてをすべての小型船舶に搭載する必要があるわけではありません。
必要な設備は、船の種類、航行区域、航行条件、最大搭載人員などによって異なります。
そのため、船検前には自分の船に必要な法定備品を確認しておくことが大切です。
信号紅炎などは有効期限を確認する
信号紅炎をはじめとする一部の法定備品には有効期限があります。
船検時に有効期限が切れていれば、基準を満たす新しいものへ交換しなければならない場合があります。
そのため、船検手数料だけを用意していても、備品の有効期限が切れていれば追加費用が必要です。
船検前には、信号類や救命設備の状態をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
船体やエンジンの整備費用がかかる場合がある
船体やエンジンに不具合がある場合には、検査を受ける前後に整備や修理が必要になることがあります。
例えば、次のような不具合が考えられます。
- エンジンが正常に始動しない
- 排気系統に不具合がある
- 航海灯が点灯しない
- 汽笛が正常に作動しない
- 救命胴衣が破損している
- 消火器などの設備に問題がある
こうした修理や整備にかかる費用は、JCIの検査手数料には含まれていません。
修理内容や船の状態、依頼する業者によって金額は大きく変わります。
特に古い中古艇では、法定検査手数料よりも整備費や修理費のほうが高くなるケースもあります。
中古艇を購入した場合は登録費用も確認する
中古艇を購入した場合には、船検だけでなく船舶の名義変更などの登録手続きが必要になることがあります。
移転登録には手数料がかかる
中古艇の所有者が変わった場合には、移転登録が必要になることがあります。
移転登録の手数料は3,350円です。
例えば5m以上10m未満で旅客定員12人までの船について、定期検査と移転登録のみが必要だとすると、
27,800円
+3,350円
=31,150円
となります。
ただし、これはあくまで一例です。
実際には、船舶検査証書の書換えなど別の手続きが必要になる場合があります。
そのため、「中古艇なら必ず31,150円で済む」と考えないようにしましょう。
船舶検査証書の書換手数料が必要になることもある
所有者の変更や船舶の情報変更などにともない、船舶検査証書の書換えが必要になるケースがあります。
書換手数料は4,350円です。
ただし、変更内容によっては書換申請や手数料が不要となる場合もあります。
中古艇の購入時には、移転登録と船舶検査証書の書換えを別の手続きとして確認することが重要です。
新規登録にも費用がかかる
新造船や輸入艇などを新たに登録する場合には、船検費用とは別に新規登録手数料が必要になることがあります。
新規登録手数料は船の大きさなどによって異なります。
例えば、主な料金は以下のようになっています。
- 3m未満:5,500円
- 3m以上5m未満:7,900円
- 5m以上で一定の条件に該当する船:10,100円など
実際の料金区分は船の長さや総トン数などによって変わります。
新艇や輸入艇を購入するときは、船検費用だけでなく登録費用も予算に含めておく必要があります。
船舶検査証書などの再交付にも費用がかかる
船舶検査証書や船舶検査手帳、船舶検査済票などを紛失した場合には、再交付手数料が必要です。
主な手数料は以下のとおりです。
| 手続き | 手数料 |
|---|---|
| 船舶検査証書の書換 | 4,350円 |
| 船舶検査証書の再交付 | 4,350円 |
| 船舶検査手帳の再交付 | 5,500円 |
| 船舶検査済票の再交付 | 4,100円 |
船検そのものの料金とは別に発生する費用なので、書類やステッカーは紛失しないよう適切に保管しておきましょう。
郵送費や振込手数料が必要になる場合もある
船舶検査証書などの書類を郵送してもらう場合には、別途郵送費が必要になることがあります。
また、検査手数料を金融機関から振り込む場合には、利用する銀行などによって振込手数料が発生する可能性があります。
金額としては検査料ほど大きくありませんが、実際の総費用を計算するときには考慮しておくとよいでしょう。
一般的なプレジャーボートの船検費用の目安
一般的なプレジャーボートを例にすると、船検費用のイメージがつかみやすくなります。
5m以上10m未満の定期検査
旅客定員12人までの船の場合、定期検査手数料は27,800円です。
法定備品に問題がなく、船体やエンジンの整備も必要なければ、基本的にはこの検査手数料を中心に考えることができます。
5m以上10m未満の中間検査
中間検査手数料は17,200円です。
ただし、信号紅炎の期限切れや救命胴衣の不足などがあれば、その交換費用が上乗せされます。
中古艇では追加費用が発生しやすい
中古艇の場合には、船検だけでなく名義変更や証書の書換え、整備、法定備品の交換などが必要になることがあります。
そのため、新艇や継続して所有している船よりも、船検時の総費用が高くなるケースがあります。
中古艇を購入するときは、購入価格だけでなく、船検・登録・整備にかかる費用まで含めて予算を考えることが重要です。
船検費用を抑えるためにできること
船検の法定手数料そのものは料金が決められているため、利用者が値引き交渉をして安くすることは基本的にできません。
しかし、船検前の点検をしっかり行うことで、不要な追加費用を抑えられる可能性があります。
法定備品を事前に確認する
救命胴衣、信号紅炎、消火器などについて、数量や状態、有効期限をあらかじめ確認しておきましょう。
不足や期限切れがあれば、検査直前ではなく余裕をもって準備することが大切です。
エンジンや航海灯を点検する
エンジンが正常に始動するか、航海灯や汽笛が正常に作動するかも確認しておきましょう。
不具合がある場合には、船検前に修理しておくことで検査をスムーズに進めやすくなります。
船舶検査証書で検査時期を確認する
船検の期限を過ぎてから慌てて手続きをすると、整備や備品の準備に十分な時間を取れない可能性があります。
船舶検査証書や船舶検査手帳で検査時期を確認し、余裕をもって準備を始めることが重要です。
小型船舶の船検費用まとめ
小型船舶の船検にかかる費用は、JCIへ支払う法定検査手数料だけではありません。
旅客定員12人までの一般的な小型船舶では、定期検査手数料は船の長さに応じて13,100円から49,800円、中間検査は5,900円から32,300円となっています。
特に5m以上10m未満の船であれば、定期検査27,800円、中間検査17,200円が基本的な料金です。
ただし、実際には法定備品の購入や交換、エンジンや船体の整備、名義変更、新規登録、証書の書換え、郵送費などが加わる場合があります。
そのため、船検の予算を考えるときは「検査手数料だけでいくらかかるか」ではなく、「船検を通すために総額でいくら必要になるか」という視点で考えることが大切です。
以上、小型船舶の船検にかかる費用についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










