ゴムボートは空気を抜いてコンパクトに収納できるため、FRPボートなどに比べて車で運びやすいのが特徴です。
一方で、船体だけでなく船外機や燃料タンク、底板、ドーリー、バッテリー、釣具なども積む場合は、積載方法に注意しなければなりません。
積み方が悪いと、走行中に荷物が移動したり、船外機などの硬い部品がボート生地を傷つけたりする可能性があります。
また、膨らませた状態でルーフに積む場合には、車両やルーフキャリアの積載条件、道路交通法上の積載制限なども確認する必要があります。
ここでは、ゴムボートを安全に車載する基本的な方法から、船外機や燃料タンクの積み方、ルーフ積載時の注意点まで詳しく解説します。
ゴムボートは折りたたんで車内に積むのが基本
一般的なインフレータブルボートは、空気を抜いて折りたたみ、車のトランクやラゲッジスペースへ積んで運搬できます。
自宅から膨らませた状態で運ぶのではなく、折りたたんだ状態で出艇場所の近くまで車で運び、現地で空気を入れて組み立てる方法が一般的です。
車内へ収納できれば、走行中の風圧を受けることもなく、ルーフ積載に比べて固定方法もシンプルになります。
車載前に収納サイズを確認する
ゴムボートを車に積めるか確認するときは、船体の全長ではなく「収納時のサイズ」を確認することが重要です。
メーカーの製品情報などで、次の項目を確認しておきましょう。
- 収納時の寸法
- 船体重量
- 底板やエアフロアの寸法
- 付属品の収納サイズ
- 船外機のサイズと重量
ゴムボート単体であれば問題なく積めても、船外機や燃料タンク、ドーリー、クーラーボックス、ライフジャケット、釣具などを加えると、荷室がいっぱいになることがあります。
そのため、ボートだけではなく、実際の釣行で使用する装備全体を想定して積載スペースを確認することが大切です。
車種よりも荷室寸法を確認する
軽自動車やミニバン、SUV、商用バンなど、さまざまな車でゴムボートを運ぶことができます。
ただし、同じ車種カテゴリーでも荷室の広さや形状は大きく異なります。
「ミニバンだから積める」「SUVだから十分広い」と判断するのではなく、実際の荷室の奥行き・幅・高さと、ボートの収納寸法を比較してください。
後部座席を倒した状態の荷室寸法まで確認しておくと、購入後に積めないという失敗を防ぎやすくなります。
ゴムボートを車内へ積む方法
ゴムボートを車内へ積む場合は、単純に荷室へ置くだけではなく、重量物の配置や固定方法も重要です。
特に船外機やバッテリーなどの重量物は、急ブレーキ時に移動すると危険なため、安定した位置へ固定する必要があります。
重量物は低く安定した場所へ積む
船外機やバッテリーなどの重い装備は、できるだけ荷室の低い位置へ積みます。
重い荷物を高い位置に積むと重心が高くなるだけでなく、荷崩れした場合の危険も大きくなります。
一方、ライフジャケットや空気入れなどの軽い物は上側へ配置しやすいでしょう。
ただし、「重い物を下に置けばよい」というだけでは十分ではありません。
走行中に前後左右へ動かないよう、ラッシングベルトなどを使って車両側の固定ポイントへ固定することが大切です。
ゴムボートと船外機を直接接触させない
船外機にはプロペラやクランプ、金属製の突起部分などがあります。
これらがゴムボートの生地へ直接当たった状態で運搬すると、走行中の振動によって生地が擦れたり傷ついたりする可能性があります。
車内で運搬する場合は、船外機とボートをできるだけ分けて配置しましょう。
スペースの都合で近くへ積む場合は、毛布や厚手のマット、クッション材などを間に入れて保護すると安心です。
荷物を走行中に動かないよう固定する
ゴムボートや船外機などを荷室へ積んだだけでは、急ブレーキや急旋回によって荷物が動く可能性があります。
特に船外機やバッテリーは重量があるため、荷室内を移動すると危険です。
ラッシングベルトや荷物固定用ベルトなどを使い、車両のタイダウンフックへ固定しましょう。
固定後は荷物を手で動かしてみて、大きくずれないことを確認してから出発すると安全です。
ゴムボートで車内を汚さないための対策
使用後のゴムボートには、水や砂、泥、海水などが付着しています。
そのまま車内へ積むと、荷室が濡れたり汚れたりすることがあります。
防水シートやラゲッジマットを使用する
車内を保護するには、ゴムボートの下へ防水性のあるシートを敷くと便利です。
例えば、次のようなものが利用できます。
- 防水ラゲッジマット
- ターポリンシート
- ブルーシート
- 大型の防水バッグ
- 防水トレー
特に海で使用した場合は、海水や砂が車内へ入らないよう注意しましょう。
出艇場所で落とせる範囲の砂や水分を取り除いてから積み込むと、帰宅後の掃除も楽になります。
帰宅後は洗浄して十分に乾燥させる
釣り場で完全に乾燥させるのが難しい場合は、濡れた状態で一時的に持ち帰ること自体はあります。
ただし、濡れた状態のまま長期間保管するのは避けましょう。
帰宅後はボートを広げ、次のような手順で手入れします。
- 真水で船体を洗う
- 砂や泥、塩分などを落とす
- 水分を拭き取る
- 風通しのよい場所で十分に乾燥させる
- 乾いてから折りたたんで保管する
特に海で使用した場合は、塩分が残らないよう真水で洗浄することが大切です。
船外機を車載するときの注意点
エンジン付きのゴムボートでは、船外機の運搬方法にも注意が必要です。
船外機は重量があるだけでなく、エンジンオイルや燃料を使用する機械であるため、適切な姿勢で運搬しなければトラブルにつながることがあります。
船外機はメーカー指定の姿勢で運搬する
船外機を横倒しにして運ぶ場合は、必ず使用している船外機の取扱説明書を確認してください。
特に4ストローク船外機は、誤った方向へ寝かせるとエンジンオイルが本来入るべきではない部分へ流れ込む可能性があります。
船外機によって正しい運搬姿勢は異なるため、「右側を下にすればよい」「左側なら問題ない」と一律に判断することはできません。
メーカーが指定している運搬姿勢を守ることが重要です。
船外機は固定して運ぶ
船外機は数十kg程度になるモデルもあり、走行中に荷室内を移動すると非常に危険です。
荷室の低く安定した場所へ置き、ラッシングベルトなどで固定しましょう。
専用の船外機スタンドや運搬ケースを利用すると、車内を傷つけにくくなるほか、船外機自体の保護にも役立ちます。
燃料タンクを車載するときの注意点
船外機用の燃料タンクについては、「立てて積めば問題ない」と単純に考えるのは適切ではありません。
燃料を入れた状態での運搬については、船外機や燃料タンクの製品によってメーカーの指示が異なる場合があります。
メーカーの取扱説明書を確認する
船外機によっては、燃料を入れた状態での陸上運搬について注意事項が定められています。
そのため、使用している船外機と燃料タンクの取扱説明書を確認し、メーカー指定の方法に従ってください。
少なくとも、運搬中は燃料漏れや転倒が起きないよう対策する必要があります。
高温になる車内へ長時間放置しない
夏場の車内は非常に高温になります。
燃料タンクやガソリン携行缶などを、高温になる閉め切った車内へ長時間放置するのは避けましょう。
釣行後も必要以上に車内へ積みっぱなしにせず、適切な場所へ移動させることが大切です。
バッテリーを車載するときの注意点
エレキモーターを使用する場合は、バッテリーの運搬にも注意が必要です。
特に鉛バッテリーは重量が大きいため、走行中に転倒したり移動したりしないよう固定してください。
バッテリーボックスを利用する
バッテリーを車載するときは、専用のバッテリーボックスを利用すると便利です。
バッテリーボックスには、端子部分の保護や荷室の汚れ防止、持ち運びやすさなどのメリットがあります。
また、端子へ金属製の工具や釣具が触れるとショートする危険があるため、端子部分を露出したまま無造作に積まないよう注意しましょう。
リチウム系バッテリーについても、製品メーカーが指定する運搬・保管方法に従ってください。
膨らませたゴムボートをルーフへ車載する方法
ゴムボートは折りたたんで車内へ積む方法が基本ですが、条件によっては組み立てた状態で車外へ積載するケースもあります。
ただし、すべてのボートや車両で可能な方法ではありません。
ゴムボート、車両、ルーフキャリアそれぞれの使用条件を確認する必要があります。
車両とルーフキャリアの許容荷重を確認する
ルーフへゴムボートを積む場合は、ルーフキャリアだけでなく車両側の許容荷重も確認してください。
ボート本体が比較的軽量でも、底板や座板、ドーリーなどを取り付ければ重量は増加します。
ルーフキャリアに記載された最大積載量だけを見るのではなく、車両メーカーとキャリアメーカー双方の条件を確認することが重要です。
船外機や燃料タンクなどの重量物については、ゴムボートへ取り付けたままルーフへ載せるのではなく、それぞれの製品の運搬方法に従ってください。
ラッシングベルトなどで確実に固定する
膨らませたゴムボートは面積が大きいため、走行中に強い風圧を受けます。
固定が不十分だと船体がずれたり、最悪の場合は脱落したりする危険があります。
適合するルーフキャリアを使用し、適切なラッシングベルトなどで複数箇所を固定しましょう。
ただし、必要以上に強く締め付けるとチューブや船体へ負担をかける可能性があります。
船体が動かない範囲で、適切な強さに固定することが大切です。
出発後しばらく走ったところで安全な場所へ停車し、ベルトの緩みや船体のずれがないか確認するのも有効です。
ボート生地とキャリアの摩擦を防ぐ
ゴムボートの生地とルーフキャリアの金属部分が直接接触していると、走行中の振動によって擦れ続ける可能性があります。
キャリアパッドやクッション材などを使用して、生地を保護するとよいでしょう。
素材にかかわらず、ボート生地が硬い部分と長時間擦れないようにすることが重要です。
ゴムボートをルーフに積む場合は積載制限にも注意する
膨らませたゴムボートを車外へ積載する場合は、道路交通法上の積載制限も確認する必要があります。
一般的な自動車では、積載物の大きさについて一定の制限が定められています。
車両からのはみ出し量を確認する
現在の一般的な基準では、積載物の長さは自動車の長さの1.2倍まで、幅は自動車の幅の1.2倍までとされています。
ただし、荷物そのものの寸法だけでなく、車両の前後左右へどの程度はみ出しているかについても制限があります。
そのため、膨らませたゴムボートをルーフへ積む場合は、ボートの全長だけで判断せず、実際に車へ固定した状態で前後左右の突出量を確認しましょう。
規定されている制限を超える場合には、制限外積載許可が必要になることがあります。
判断が難しい場合は、出発地を管轄する警察署などへ事前に確認すると安心です。
車の屋根へ直接載せるのは避ける
ルーフキャリアを使わず、車の屋根へゴムボートを直接載せてロープだけで固定する方法はおすすめできません。
車体やボートを傷つける可能性があるほか、安全な固定が難しくなります。
膨らませた状態で車外積載する場合は、車種に適合したルーフキャリアなどを使用し、メーカーの指示に従って固定しましょう。
ゴムボートの移動にはドーリーが便利
駐車場所から水辺まで距離がある場合は、ボートドーリーを使用すると移動が楽になります。
ドーリーとは、ゴムボートのトランサム付近などへ取り付ける車輪のことで、組み立てたボートを陸上で人力移動するために使用します。
車から降ろして現地で組み立ててから移動する
一般的な流れは、次のようになります。
- ゴムボートを折りたたんで車で運搬する
- 出艇場所付近で車から降ろす
- 空気を入れてボートを組み立てる
- 必要に応じて船外機や装備を取り付ける
- ドーリーを使って水辺まで移動する
この方法であれば、車内ではコンパクトに運搬でき、現地での移動負担も減らせます。
ドーリーを付けたボートを自動車で牽引しない
ボートドーリーは、人力でゴムボートを移動するための装備です。
ドーリーを装着したゴムボートを、そのまま自動車で公道上などを牽引することはできません。
車で牽引するためのボートトレーラーとは用途が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
ゴムボートを車載するときの注意点
ゴムボートを安全に車載するためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- 基本的には空気を抜いて折りたたみ、車内へ積載する
- ボートの収納寸法と車の荷室寸法を事前に確認する
- 船外機やバッテリーなどの重量物は低く安定した場所へ積む
- 重量物はラッシングベルトなどで固定する
- 船外機とゴムボートが直接擦れないよう保護する
- 船外機はメーカー指定の姿勢で運搬する
- 燃料タンクは取扱説明書に従って運搬する
- 使用後のボートは帰宅後に真水で洗い、十分に乾燥させる
- ルーフ積載では車両とキャリアの許容荷重を確認する
- ルーフ積載では前後左右へのはみ出し量を確認する
- ドーリーを付けたゴムボートを自動車で牽引しない
まとめ
ゴムボートの車載方法として基本になるのは、空気を抜いて折りたたみ、車のトランクやラゲッジスペースへ収納する方法です。
現地へ到着してからボートを組み立て、必要に応じてドーリーを使って水辺まで移動すれば、ルーフ積載に比べて運搬時の負担や注意点を減らしやすくなります。
車内へ積む際は、ゴムボートだけでなく船外機やバッテリーなどの重量物を確実に固定し、ボート生地と硬い部品が直接接触しないよう保護しましょう。
また、船外機の運搬姿勢や燃料タンクの扱いについては製品によって異なるため、必ず使用している製品の取扱説明書を確認することが重要です。
膨らませた状態でルーフへ積む場合は、車両やルーフキャリアの許容荷重だけでなく、道路交通法上の積載物の大きさや突出量についても確認しなければなりません。
安全性と扱いやすさを重視するなら、「折りたたんで車内へ積む→現地で組み立てる→ドーリーで水辺まで運ぶ」方法が、ゴムボートの基本的な車載スタイルといえるでしょう。
以上、ゴムボートの車載方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。















