フェリーの車止め(または車両固定装置)は、フェリーの甲板に乗り込んだ車両を安全に固定し、航行中の揺れや振動による移動を防ぐための設備です。
フェリーの運航環境は、波や風の影響を受けるため、適切な固定がなされていないと車両が動いて事故が発生するリスクがあります。
そのため、車止めはフェリーの安全運航に不可欠な設備の一つです。
目次
フェリーの車止めの種類
フェリーで使用される車止めには、いくつかの種類があり、それぞれの用途や固定方式が異なります。
くさび式車止め(ウエッジ式)
- 構造:車輪の前後にくさび状のストッパーを挟むことで車両を固定する方法。
- 特徴:
- 簡単に設置・撤去が可能。
- 小型車両やバイクなどに多く使われる。
- ゴム製や金属製が一般的。
チェーン固定式
- 構造:車両のホイールやフレームにチェーンをかけ、フェリー甲板の固定ポイントに接続する方式。
- 特徴:
- トラックや大型車両に多用される。
- しっかりと固定できるため、長距離フェリーや荒天時に有効。
- 締め付ける際にテンションを調整できる。
ラッシングベルト式
- 構造:ラッシングベルト(荷締めベルト)を使用し、車両の車軸やフレームを甲板の固定ポイントに結びつける方式。
- 特徴:
- バイクやトレーラーに適用されることが多い。
- ゴムパッドや保護材を使い、車両に傷をつけないように配慮される。
- トラックのコンテナ輸送時にも活用。
ストッパーレール式(スライド式車止め)
- 構造:フェリーの甲板にレールが敷かれており、その上をスライドして車止めを移動・固定する方式。
- 特徴:
- 車両の大きさに応じて柔軟に対応できる。
- 一部のフェリーでは自動で調整できる装置もある。
- 比較的大型のフェリーで導入されることが多い。
車両固定のプロセス
フェリーに車両を乗せた後、スタッフが以下の手順で固定作業を行います。
- 車両の配置
- 係員の指示に従い、決められたスペースに車両を停車させる。
- 車両の種類(乗用車・トラック・バイクなど)によって配置が異なる。
- 車止めの設置
- 小型車両の場合はくさび式車止め、大型車両やバイクにはチェーン固定やラッシングベルトを使用。
- 固定の確認
- 係員が手動または専用工具を使って、固定がしっかりされているかチェック。
- 運航中の安全確認
- 航行中にスタッフが定期的に確認し、車止めの緩みがないかをチェック。
フェリーの車止めに関する注意点
- サイドブレーキの使用:フェリーでは、車止めだけでなくサイドブレーキ(パーキングブレーキ)を必ずかける。
- ギアをパーキング(P)に:AT車は「P」、MT車はギアを1速またはRに入れておくことで動きを防ぐ。
- 車両に乗ったまま待機しない:揺れによる転倒・衝突の危険があるため、乗船後は車から降りることが推奨される。
まとめ
フェリーの車止め(車両固定装置)は、安全な航行のために重要な役割を果たします。
車両の種類やフェリーの仕様に応じて、くさび式・チェーン固定・ラッシングベルト・ストッパーレール式などの異なる方法が用いられます。
運航中に車両が動かないよう、適切な固定とサイドブレーキの使用が必須です。
以上、フェリーの車止めについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。