貨物船の船長の年収はいくら?
貨物船の船長は、一般的な会社員と比べて高い給与水準になるケースが多い職種です。
ただし、年収は勤務する船会社や船種、内航・外航の違い、船の大きさ、保有資格、経験年数などによって大きく異なります。
そのため、「貨物船の船長の平均年収は必ず○○万円」と一律に示すことはできません。
目安としては、年収700万円以上になるケースがあり、勤務条件によっては1,000万円を超えることもあります。
特に、大型船や外航船、大手海運会社などでは高い給与水準になる場合があります。
一方で、小型の内航貨物船や会社規模によっては、それより低い年収となるケースもあります。
国土交通省の「船員労働統計調査」では、内航船・外航船、貨物船・油送船などを分けたうえで、船長や職員、部員の1人1か月平均報酬などが集計されています。
貨物船の船長の収入を正確に考えるには、こうした条件ごとの違いを見ることが重要です。
貨物船の船長の年収は条件によって大きく異なる
年収700万円以上になるケースもある
貨物船の船長は、船全体の運航を管理する最高責任者です。
安全運航や乗組員の管理など大きな責任を負うため、航海士や一般の船員よりも給与水準が高くなる傾向があります。
勤務先や船種などによっては、年収700万円以上になるケースがあります。
さらに、船の規模や航路、役職手当などの条件によっては、年収1,000万円を超える場合もあります。
ただし、国土交通省が「貨物船船長の全国平均年収は700万~1,200万円」といった形で、一律の平均年収を公表しているわけではありません。
年収額を紹介する場合は、あくまでも参考水準として考える必要があります。
年収1,000万円を超える場合もある
大型の貨物船や外航船などでは、船長の年収が1,000万円を超えるケースもあります。
特に、高度な資格や豊富な乗船経験が必要になる船舶では、給与水準が高くなる可能性があります。
ただし、「外航貨物船の船長なら必ず年収1,000万円以上」と考えるのは適切ではありません。
実際の収入は、会社の給与体系や船種、航路、乗船期間、各種手当などによって変わります。
内航貨物船の船長の年収
内航船とは国内の港を結ぶ船
内航船とは、基本的に日本国内の港と港の間で貨物や旅客を運ぶ船のことです。
内航貨物船には、例えば次のような船があります。
- 一般貨物船
- コンテナ船
- セメント運搬船
- 石灰石運搬船
- 自動車運搬船
- RO-RO船
内航船でも船の大きさや輸送する貨物はさまざまであり、船長の給与にも差があります。
内航貨物船でも高収入になる場合がある
内航貨物船の船長であっても、勤務条件によっては高い年収になることがあります。
特に、
- 大型船に乗船している
- 経験年数が長い
- 上級の海技免状を保有している
- 船長として長年勤務している
- 各種手当が充実している
といった場合は、収入が高くなる傾向があります。
一方で、比較的小型の船舶や中小規模の船会社では、給与水準が異なることもあります。
したがって、「内航船長なら年収○○万円」と一律に考えることはできません。
外航貨物船の船長の年収
外航船とは海外の港を結ぶ船
外航船とは、日本と海外、あるいは海外の港同士を結んで運航する船です。
代表的な貨物輸送船には、
- コンテナ船
- ばら積み船
- 自動車専用船
- 大型貨物船
などがあります。
なお、タンカーや油送船については、統計上「貨物船」とは別の用途区分として扱われる場合があります。
そのため、年収データを比較するときには船種の分類にも注意が必要です。
外航船では給与水準が高くなるケースもある
外航船は長距離航海を行うため、船長には高度な知識や豊富な経験が求められます。
国際航海では、
- 海外の港への入出港
- 国際的な海上交通ルールへの対応
- 長期間の航海
- 外国の関係機関との調整
などにも対応する必要があります。
そのため、大型の外航船や大手海運会社などでは、船長の年収が1,000万円を超えるケースがあります。
ただし、外航船だから必ず内航船より高収入になるわけではありません。
会社の給与体系や船種、乗船形態によっては、内航船長の給与が高くなる場合もあります。
貨物船の船長の給料が高い理由
船の最高責任者だから
船長は、船舶の運航全体について責任を負う立場です。
主な役割としては、
- 航海計画の確認
- 安全運航の確保
- 入出港時の指揮
- 荒天時の判断
- 乗組員の指揮・管理
- 貨物輸送の安全確認
- 海難事故や緊急時への対応
などがあります。
事故やトラブルが発生した場合には重大な判断を求められるため、非常に責任の大きい仕事です。
こうした職責の重さが給与水準にも反映されています。
高度な資格が必要だから
総トン数20トン以上の大型船舶で船長や航海士などの船舶職員として勤務するには、原則として海技士免許が必要です。
海技士(航海)には、
- 一級海技士(航海)
- 二級海技士(航海)
- 三級海技士(航海)
- 四級海技士(航海)
- 五級海技士(航海)
- 六級海技士(航海)
があります。
どの海技免状が必要になるかは、船舶の総トン数や航行区域、職務などによって異なります。
大型船や外航船の船長になるためには、上位の海技免状に加えて十分な乗船経験が求められるため、高い専門性が必要です。
長年の乗船経験が求められるから
船員として就職しても、すぐに船長になれるわけではありません。
一般的には航海士として経験を積みながら、必要な資格を取得・昇級し、徐々に船長を目指します。
代表的なキャリアの流れとしては、
三等航海士
↓
二等航海士
↓
一等航海士
↓
船長
という形があります。
長年にわたって船舶の運航経験を積み、十分な知識や判断力を身につける必要があります。
経験年数や役職が上がることで、給与も上昇していくケースがあります。
貨物船の船長の年収を左右する要素
船の大きさ
船長の給与は、乗船する船舶の規模によって変わる場合があります。
大型船では、
- 乗組員の人数が多い
- 積載貨物の量が多い
- 船舶の設備が複雑
- 運航上の責任が大きい
といった特徴があります。
国土交通省の船員労働統計調査でも、船舶のトン数階層別に報酬が集計されています。
そのため、船の大きさは給与を考えるうえで重要な要素の一つです。
船の種類
同じ貨物輸送に関わる船でも、船種によって必要な知識や資格が異なります。
例えば、
- 一般貨物船
- コンテナ船
- ばら積み船
- 自動車運搬船
などがあります。
また、油送船やタンカーなどでは、危険物を扱うための特別な知識や訓練が必要になる場合があります。
専門性の高い船種では、給与や手当が高くなるケースもあります。
内航か外航か
内航船と外航船では、航海する範囲や勤務形態が異なります。
外航船では海外航海への対応が必要になるため、給与水準が高くなる場合があります。
ただし、外航船が必ず内航船より高給になるわけではありません。
内航・外航の違いは、あくまでも年収を左右する要素の一つです。
勤務する船会社
船長の給与は、勤務する海運会社によっても大きく異なります。
大手海運会社と中小規模の船会社では、
- 基本給
- 賞与
- 乗船手当
- 職務手当
- 休暇制度
- 退職金制度
などに違いがあります。
そのため、年収を比較するときは、基本給だけでなく給与体系全体を確認することが重要です。
経験年数
船長としての経験や船員としての勤続年数も給与に影響することがあります。
長年の乗船経験があり、さまざまな海域や船種を経験している船長は、高く評価される可能性があります。
特に大型船の船長には高度な判断力が必要となるため、経験豊富な人材ほど待遇が良くなるケースがあります。
貨物船の船長の給与には各種手当が加わる
基本給だけで実際の年収は判断できない
船員の収入を見る際には、基本給だけを確認するのでは不十分です。
船会社によって名称は異なりますが、給与には次のような手当が含まれる場合があります。
- 乗船手当
- 職務手当
- 時間外手当
- 夜間割増
- 危険品輸送に関する手当
- その他の船員向け手当
国土交通省の船員労働統計調査でも、基本給だけでなく各種手当などを含めた報酬が調査されています。
そのため、求人票を見る場合も「基本給○万円」だけで判断せず、総支給額や各種手当を確認することが重要です。
賞与も年収に影響する
船会社によっては、夏期手当や年末手当、賞与などが支給されます。
例えば、月給が比較的低く見えても賞与が多ければ、年間収入は高くなります。
反対に、月給が高くても賞与が少なければ、年収では大きな差にならない場合もあります。
貨物船の船長の年収を比較する際には、
月給×12か月だけではなく、賞与や各種手当を含めて確認する
ことが重要です。
貨物船の船長の働き方
数週間から数か月乗船する場合もある
貨物船の船員は、陸上勤務の会社員とは異なる勤務体系になることがあります。
船会社や航路によって異なりますが、一定期間連続して乗船し、その後まとまった休暇を取得する勤務形態も一般的です。
例えば、
数週間~数か月乗船
↓
まとまった休暇
↓
再び乗船
というサイクルで働く場合があります。
ただし、実際の乗船期間や休暇期間は会社や船種によって大きく異なります。
外航船では長期航海になる場合がある
海外を航海する外航船では、内航船よりも1回の航海が長くなることがあります。
長期間自宅を離れて生活する必要があるため、生活スタイルへの適応も求められます。
貨物船の船長の給与が比較的高い背景には、こうした特殊な勤務環境もあります。
貨物船の船長になるまでのキャリア
まず航海士として経験を積むのが一般的
船長を目指す場合、まず航海士として乗船経験を積むのが一般的です。
海技士免許を取得して航海士として勤務し、必要な乗船履歴を積みながら上級資格を目指します。
その後、一等航海士などを経験して船長へ昇進するケースが一般的です。
船長になるには資格だけでなく経験も重要
海技士免許を持っているだけで、すぐに船長として採用されるとは限りません。
船長には、
- 航海技術
- 海象・気象に関する知識
- 船舶設備への理解
- 乗組員をまとめる管理能力
- 緊急時の判断力
などが求められます。
そのため、実際には資格だけでなく豊富な乗船経験が重要になります。
貨物船の船長の年収を見るときの注意点
「平均年収○○万円」をそのまま信じない
インターネットでは、「船長の平均年収は○○万円」と紹介されていることがあります。
しかし、「船長」と一口にいっても、
- 貨物船
- 旅客船
- フェリー
- 遊覧船
- 作業船
- 油送船
など、乗船する船はさまざまです。
さらに、内航・外航、船舶の大きさ、勤務会社によっても収入は変わります。
したがって、単一の平均年収だけを見て「貨物船の船長は全員この年収」と判断しないことが大切です。
求人情報を見るときは年収の内訳を確認する
貨物船の船長の求人を見る場合は、提示されている年収だけでなく、次の項目も確認するとよいでしょう。
- 基本給
- 乗船手当
- 職務手当
- 時間外手当
- 賞与
- 乗船期間
- 休暇期間
- 社会保険
- 退職金
- 必要な海技免状
同じ「年収800万円」という求人でも、勤務条件や乗船期間によって実質的な待遇は異なります。
貨物船の船長は年収1,000万円を超えることもある
貨物船の船長の年収は、勤務条件によって大きく変わります。
一律の平均年収を示すことは難しいものの、年収700万円以上になるケースがあり、大型船や外航船、大手海運会社などでは年収1,000万円を超える場合もあります。
一方で、「貨物船の船長なら必ず700万~1,200万円」「外航船なら必ず1,000万円以上」と考えるのは正確ではありません。
実際の給与は、
- 船種
- 船舶の規模
- 内航・外航
- 勤務する海運会社
- 保有する海技免状
- 経験年数
- 各種手当
などによって決まります。
貨物船の船長は高収入を期待できる職業の一つですが、その背景には高度な専門知識や長年の乗船経験、船舶の安全運航を担う大きな責任があります。
年収だけを見るのではなく、必要な資格や仕事内容、乗船期間、休暇制度なども含めて総合的に判断することが大切です。
以上、貨物船の船長の年収はいくら程なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。














