ゴムボートで使う「フットコン」とは、一般的に足元のペダルで操作するフットコントロール式のエレキモーターを指します。
エレキモーターとは、バッテリーの電力でプロペラを回してボートを動かす電動モーターのことです。
釣りの世界では「フットコンエレキ」と呼ばれることも多く、船首側に取り付けるバウマウント式の製品が代表的です。
フットコンの大きな特徴は、足でボートの進行方向やモーターの作動などを操作できる点です。
ロッドを持ったまま操船しやすいため、とくにバスフィッシングなど、キャストを繰り返しながら細かくボートポジションを調整する釣りで重宝します。
ただし、一般的なバスボートとは異なり、ゴムボートは船体が柔らかく、搭載スペースにも限りがあります。
そのため、フットコン本体だけでなく、取付マウントやデッキ、バッテリー、配線、船体の重量バランスまで含めて考えることが重要です。
フットコンとハンドコンの違い
ゴムボートで使われるエレキには、大きく分けるとフットコンとハンドコンがあります。
両者の違いは、主に操作方法です。
フットコンは足で操作する
フットコンは、足元に設置したフットペダルなどを使って操作します。
機種によって異なりますが、ペダルで進行方向を調整したり、モーターのON・OFFや速度を操作したりできます。
両手をロッド操作に使いやすいことが最大のメリットです。
ハンドコンは手で操作する
ハンドコンは、モーター上部などに設けられたハンドルを手で操作するタイプです。
構造が比較的シンプルで、ゴムボートへの取り付けもしやすい傾向があります。
そのため、小型ゴムボートではハンドコンが使われることも少なくありません。
手軽さならハンドコン、釣りやすさならフットコン
フットコンとハンドコンには、それぞれ長所があります。
準備や撤収を簡単にしたい場合は、比較的シンプルなハンドコンが便利です。
一方、キャストを続けながらボートを細かく操作したい場合は、フットコンの利便性が高くなります。
どちらが優れているというよりも、使用するゴムボートの大きさや釣り方に合わせて選ぶことが大切です。
ゴムボートでフットコンを使うメリット
ゴムボートにフットコンを搭載すると、釣りをしながらの操船がしやすくなります。
とくにルアーフィッシングでは大きなメリットがあります。
両手を釣りに使いやすい
フットコン最大のメリットは、足でエレキを操作できることです。
ハンドコンでは方向を変えるたびに片手をモーター操作に使う必要があります。
フットコンならロッドを持ったまま足で操作できるため、キャストやルアー操作を続けながら船を動かしやすくなります。
ボートポジションを細かく調整しやすい
ルアーフィッシングでは、ボートの位置や船首方向によってキャストのしやすさが大きく変わります。
フットコンなら、
船首を少し右へ向ける。
少しだけ前進する。
岸から一定の距離を保つ。
といった細かな調整を行いやすくなります。
岸際やウィード、立木、岩場などをテンポよく攻めたい場合に便利です。
静かに移動しやすい
トローリングモーターは電動なので、一般的なガソリン船外機と比較すると低速時の騒音を抑えやすいのが特徴です。
ポイントの周囲をゆっくり移動したい場面でも使いやすく、釣りをしながら静かにポジションを変えられます。
風による流され方を調整しやすい
ゴムボートは軽量なため、風の影響を受けやすい傾向があります。
フットコンを使用すると、風に流されながらでも進行方向や船首の向きを細かく修正しやすくなります。
また、最近ではGPSを搭載し、指定した位置を保持する機能を備えたエレキもあります。
ただし、フットコンを搭載していても強風や大きな波に安全に対応できるとは限りません。
悪天候時には無理に出艇しないことが重要です。
ゴムボートでフットコンを使うデメリット
フットコンは便利な反面、ゴムボートではいくつかのデメリットもあります。
取り付けに工夫が必要
ゴムボートの船体は空気を入れたチューブで構成されているため、一般的なバスボートのようにフットコンを直接ボルト固定できない場合があります。
そのため、専用マウントやフレーム、バウデッキなどを使って固定する必要があります。
使用するゴムボートにメーカー純正のエレキ用マウントが用意されている場合は、純正品を優先的に検討するとよいでしょう。
足元のスペースが狭くなりやすい
フットコンはペダルを足元に置く必要があります。
ゴムボートではもともとスペースが限られているうえ、
バッテリー。
魚群探知機。
クーラーボックス。
タックルボックス。
ランディングネット。
なども搭載します。
小型艇では、フットペダルを追加すると足元が狭くなることがあります。
荷物と重量が増える
フットコンを使う場合、必要になるのはモーター本体だけではありません。
一般的には、
フットコン本体。
取付マウント。
バッテリー。
配線。
サーキットブレーカーまたはヒューズ。
コネクター。
必要に応じてデッキやフレーム。
などを用意します。
そのため、システム全体ではかなりの重量になることがあります。
ゴムボートの最大搭載重量を超えないように注意しなければなりません。
準備や撤収に時間がかかりやすい
ゴムボートのメリットは、コンパクトに収納して持ち運びやすいことです。
しかし、本格的なフットコンシステムを組むと、運搬する部品が増えます。
車から水辺まで距離がある場所では、バッテリーやデッキの持ち運びが大きな負担になることもあります。
ゴムボート用フットコンの推力の考え方
フットコンを選ぶ際に重要なのが、モーターの推力です。
エレキの推力は「lb(ポンド)」で表示されることが一般的です。
lbは速度ではなく推力を表す
30lbや55lbといった数値は、最高速度を示しているわけではありません。
モーターがボートを押す力を表しています。
そのため、
「30lbから55lbにすれば速度も約2倍になる」
という意味ではありません。
推力を大きくすると、重量のあるボートを動かしたり、風や流れに対抗したりしやすくなります。
一方で、最高速度が推力に比例して上がるわけではありません。
船体だけでなく総重量で考える
必要な推力を考えるときは、ゴムボート本体の重量だけを見るのでは不十分です。
実際には、
ゴムボート本体。
乗員。
船外機。
燃料。
バッテリー。
エレキ本体。
釣具。
魚群探知機。
クーラーボックス。
などを含めた総重量を考える必要があります。
さらに、使用する水域の風や流れも影響します。
「ゴムボートだから○lbで十分」と一律に判断するのではなく、使用条件に合わせて選びましょう。
フットコンの電圧は12V・24V・36Vなどがある
エレキモーターには、12V、24V、36Vなどの電圧があります。
推力とあわせて必ず確認しておきたい項目です。
12Vは小型ゴムボートで使いやすい
12Vのエレキは、システムを比較的シンプルに構成しやすいのが特徴です。
小型から中型のゴムボートでは、重量や設置スペースを考えると扱いやすい選択肢になります。
ただし、推力や電圧の設定はメーカーや機種によって異なります。
24Vは高い推力を得やすい
24Vシステムは、12Vより高推力のモデルで採用されることがあります。
12Vバッテリーを使って構成する場合は、一般的に2個を直列接続して24Vにします。
ただし、現在では24V仕様のリチウムバッテリーなどもあるため、必ずしも12Vバッテリー2個が必要とは限りません。
36Vは大型・高推力モデルで使われる
36Vは、さらに高推力のエレキで使われることがあります。
一般的な小型ゴムボートでは、重量やスペースの面から過剰なシステムになりやすいでしょう。
重要なのは、使用するフットコンの指定電圧とバッテリーシステムを必ず一致させることです。
フットコン用バッテリーの選び方
フットコンはバッテリーの電力で動くため、バッテリー選びも非常に重要です。
ディープサイクルバッテリー
従来からトローリングモーターで広く使われているのが、ディープサイクルタイプのバッテリーです。
繰り返し充放電する用途を想定して作られているため、エレキとの相性に優れています。
ただし、容量の大きな鉛バッテリーは重量も大きくなる傾向があります。
ゴムボートでは運搬性や搭載重量を考えて選ぶ必要があります。
リチウム系バッテリー
軽量化を重視する場合は、対応するリチウム系バッテリーも選択肢になります。
鉛バッテリーより軽量な製品が多く、ゴムボートでは大きなメリットになります。
ただし、
定格電圧。
容量。
最大連続放電電流。
BMSの仕様。
充電器との適合。
フットコンメーカーの使用条件。
などを確認する必要があります。
単純に「12Vだから使える」と判断せず、モーターとバッテリー双方の仕様を確認しましょう。
バッテリー容量と使用時間の考え方
バッテリー容量は、一般的にAh(アンペアアワー)で表示されます。
単純な理論計算では、
使用時間 ≒ バッテリー容量(Ah)÷ 消費電流(A)
で目安を求められます。
たとえば100Ahのバッテリーを使用し、モーターの消費電流が20Aで一定だったと仮定すると、
100Ah ÷ 20A = 約5時間
となります。
ただし、これはあくまで理論上の単純計算です。
実際には、
モーターの速度設定。
風。
流れ。
船体重量。
バッテリーの種類。
気温。
バッテリーの劣化状態。
などによって使用時間は変化します。
そのため、計算上の時間をそのまま実使用時間と考えないことが重要です。
フットコンのシャフト長も確認する
フットコンを選ぶときは、シャフト長も重要です。
シャフトとは、モーターヘッドから水中のモーター部分につながる棒状の部分です。
シャフトが短すぎる場合
シャフトが短すぎると、プロペラやモーター部分が十分に水中へ入らない可能性があります。
波や船体の揺れによって空気を巻き込むと、十分な推力を得られなくなることがあります。
シャフトが長すぎる場合
必要以上に長いシャフトを選ぶと、浅い場所で使いにくくなったり、船内側へ突出する部分が増えたりすることがあります。
実際の取付位置から水面まで測る
ゴムボートの場合、バウデッキや専用マウントによってフットコンの取付高さが変わります。
そのため、
「ゴムボートだから短いシャフトでよい」
と決めつけるのはおすすめできません。
実際に取り付ける位置から水面までの距離を測り、使用するフットコンメーカーのシャフト長選定基準に従って選びましょう。
ゴムボートへのフットコンの取り付け方
フットコンは、ゴムボートの船首側へ取り付ける方法が一般的です。
ただし、ゴムボートのチューブへ一般的なフットコンマウントを直接固定することは難しいため、専用の支持構造が必要になります。
専用マウントやバウデッキを利用する
取り付け方法としては、
メーカー純正マウント。
専用フレーム。
バウデッキ。
エレキ用アタッチメント。
などを利用する方法があります。
ゴムボートの種類によって取り付け方法は異なるため、メーカーが指定している方法を優先しましょう。
DIYする場合は強度に注意する
フットコンは使用中だけでなく、方向転換やモーターの上げ下げでもマウントへ力が加わります。
固定強度が不足していると、マウントがずれたり脱落したりする可能性があります。
また、ゴムボートのチューブへ局所的に大きな力をかけると、船体を傷める原因にもなります。
DIYで取り付ける場合は、強度と荷重のかかり方を十分に考慮する必要があります。
フットペダルを置く床面も重要
フットコンは足でペダルを操作するため、足元の安定性も重要です。
硬く安定した床の方が操作しやすい
アルミフロアやハードデッキなど、比較的硬く安定した床面があると、フットペダルを操作しやすくなります。
エアフロアでも使用できる場合はありますが、床がたわむと操作しにくく感じることがあります。
立って操作する場合は安定性に注意する
フットコンは立ったまま操作されることもあります。
しかし、ゴムボートの上で立つと重心が高くなります。
大型のバスボートと同じ感覚で立って操作すると、転倒や落水につながる可能性があります。
船体サイズや床構造によっては、座った状態で操作する方が安全です。
フットコンの配線とブレーカー
エレキは比較的大きな電流が流れる電装品です。
そのため、配線を適当に選ぶのは避けましょう。
モーターに合った太さの配線を使う
必要な配線サイズは、
モーターの最大消費電流。
バッテリーからモーターまでの配線距離。
システム電圧。
などによって変わります。
配線が細すぎると、発熱や電圧降下につながる可能性があります。
必ず使用するエレキメーカーの配線サイズ表や取扱説明書を確認しましょう。
サーキットブレーカーやヒューズを使用する
万が一の過電流やショートに備えて、適切な容量のサーキットブレーカーやヒューズを設けることも重要です。
必要な容量はモーターによって異なります。
「55lbなら必ず○A」と自己判断せず、使用する機種の指定に従いましょう。
ゴムボートでは重量バランスにも注意する
フットコンを搭載すると、船体の前後左右の重量バランスが変化します。
ゴムボートでは、この重量バランスが操船性や安定性に大きく影響します。
船首に重量が集中しやすい
船首には、
フットコン。
マウント。
魚群探知機。
などが集中しやすくなります。
一方、船尾には船外機や燃料タンクが配置されることがあります。
さらに大型バッテリーを一方へ寄せると、前後または左右のバランスが悪くなる可能性があります。
バッテリーの置き場所も考える
バッテリーはエレキシステムの中でも重量の大きい部品です。
安全な配線ができる範囲で、船体全体のバランスを考えて配置しましょう。
ただし、配線を無理に長くすると電圧降下などの原因になるため、重量バランスだけで決めるのではなく、配線条件も合わせて検討する必要があります。
フットコンはメインの移動用として使える?
フットコンを含むトローリングモーターは、低速での移動やボートポジションの調整を得意とするモーターです。
小規模な湖や穏やかな水域では、エレキだけで移動する使い方もあります。
ただし、高速移動を得意とするガソリン船外機とは性格が異なります。
とくに、
海。
流れの速い川。
大規模な湖。
風が強くなりやすい水域。
などでは、エレキだけを唯一の推進手段とすることには慎重になる必要があります。
バッテリーが消耗すると推進力を失うため、行動範囲や天候、帰航手段を考えたうえで使用しましょう。
海で使うなら海水対応モデルを選ぶ
海でゴムボートを使用する場合は、フットコンが海水使用に対応しているかを必ず確認しましょう。
淡水用と海水対応モデルでは仕様が異なる
トローリングモーターには、淡水用と海水対応モデルがあります。
海水対応モデルでは、塩分による腐食を考慮した防錆・耐食対策が施されている製品があります。
淡水専用モデルを自己判断で海水使用すると、腐食や故障につながる可能性があります。
使用後はメンテナンスする
海水対応モデルであっても、使用後のメンテナンスは重要です。
メーカーの指定に従い、真水で塩分を洗い流すなど適切な手入れを行いましょう。
フットコンにはケーブル式や電動ステア式がある
一口にフットコンといっても、すべて同じ構造ではありません。
ケーブルステア式
昔から広く使われているタイプです。
フットペダルとモーターを機械的なケーブルでつなぎ、足の動きによってモーターの向きを変えます。
操作に対する反応が分かりやすく、バスフィッシングで使われることの多い方式です。
電動ステア式
電気的にモーターの向きを制御するタイプもあります。
機種によってはフットペダルだけでなく、ワイヤレスリモコンなどから操作できます。
GPS機能を搭載したモデル
現在ではGPSを利用して、
一定位置を維持する。
一定方向へ進む。
ルートに沿って移動する。
といった機能を持つエレキもあります。
ゴムボートで本格的なボートフィッシングをする場合は、このような機能も選択肢になります。
ただし、高機能になるほど本体価格や重量、消費電力なども増える傾向があります。
ゴムボートにフットコンがおすすめな人
フットコンは、すべてのゴムボートユーザーに必要な装備ではありません。
とくに次のような人に向いています。
キャストを繰り返す釣りをする人
バスフィッシングなど、短い間隔でキャストを繰り返す釣りでは、両手をロッド操作に使えるフットコンのメリットを感じやすくなります。
ボート位置を頻繁に調整する人
岸際や障害物周辺を流しながら釣る場合は、細かな方向転換を繰り返します。
そのような釣り方では、足で操作できるフットコンが便利です。
多少荷物が増えても操作性を優先したい人
フットコンシステムは、ハンドコンに比べて装備が大掛かりになりやすい傾向があります。
それでも釣り中の操作性を優先したい人には適しています。
フットコンよりハンドコンが向いている人
一方、次のような人にはハンドコンの方が使いやすい場合があります。
荷物をできるだけ減らしたい人
フットコンはマウントやペダルなどが必要になるため、荷物が増えます。
コンパクトさを重視するなら、ハンドコンの方が向いている場合があります。
準備と撤収を簡単にしたい人
短時間の釣行や頻繁に場所を移動するスタイルでは、設営が簡単なシステムの方が便利です。
小型のゴムボートを使う人
船内スペースが限られている場合、フットペダルを置くスペースを確保できないことがあります。
その場合はハンドコンの方が現実的です。
ゴムボート用フットコンを選ぶときのポイント
ゴムボート用のフットコンを選ぶときは、モーターの性能だけで判断しないことが重要です。
ゴムボートに安全に取り付けられるか
まず確認したいのが、フットコンを安全に固定できるかどうかです。
純正マウントや専用フレームの有無も確認しましょう。
必要な推力があるか
乗員や荷物を含めた総重量と、使用する水域の条件から推力を選びます。
電圧が適切か
12V・24V・36Vなど、フットコンの指定電圧を確認します。
それに合わせてバッテリーシステムを構築します。
シャフト長が適切か
取り付け位置から水面までの距離を測り、適切なシャフト長を選びます。
バッテリーを安全に搭載できるか
容量だけでなく、重量や設置スペースも考慮します。
配線やブレーカーを適切に構成できるか
モーターの最大電流と配線距離に合ったケーブル、ブレーカーなどが必要です。
使用する水域に対応しているか
海で使う場合は、海水対応モデルかどうかを確認します。
フットペダルを安全に操作できるか
足元のスペースや床面の安定性も重要です。
ゴムボートのフットコンはシステム全体で考えることが重要
ゴムボートへフットコンを導入するときは、モーター本体だけで選ばないことが大切です。
実際には、
ゴムボート。
フットコン。
取付マウント。
デッキやフレーム。
バッテリー。
配線。
サーキットブレーカーやヒューズ。
フットペダルの設置場所。
船体全体の重量バランス。
まで含めて一つのシステムとして考える必要があります。
適切に搭載できれば、フットコンはゴムボートでの釣りを非常に快適にしてくれる装備です。
とくにキャストを繰り返しながらポイントを細かく攻める釣りでは、両手をロッド操作に使いながら足でボートを動かせるメリットが大きくなります。
一方で、装備の重量や設置スペース、準備の手間も増えます。
手軽さを重視するならハンドコン、本格的な操船性能や釣りながらの操作性を重視するならフットコンという考え方を基本に、自分のゴムボートや釣り方に合ったシステムを選ぶとよいでしょう。
以上、ゴムボートで使うフットコンについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。















