ライフジャケットは定期的な点検が重要
ライフジャケットは、万が一の落水時に命を守るための重要な安全装備です。
見た目に大きな異常がなくても、長期間の使用や保管によって生地やベルトが劣化したり、膨脹式ライフジャケットの部品が使用期限を迎えたりしている場合があります。
そのため、ライフジャケットは使用する前に状態を確認し、必要に応じて定期的な詳しい点検を行うことが大切です。
特に膨脹式ライフジャケットは、気室だけでなく、炭酸ガスボンベやスプール、カートリッジ、作動装置など複数の部品によって構成されています。
正常に膨らむ状態になっているか、取扱説明書に従って確認しましょう。
ライフジャケットを点検するタイミング
使用する前に毎回確認する
ライフジャケットは、着用する前に毎回状態を確認することが基本です。
海上保安庁も、ライフジャケットについて着用前の自主点検を行うよう案内しています。
使用前には、少なくとも次のような箇所を確認します。
- 生地に破れや大きな傷がないか
- ベルトにほつれや破損がないか
- バックルが正常に固定できるか
- 膨脹式の場合はボンベや作動装置に異常がないか
- 必要な部品が正しく取り付けられているか
前回使用したときに問題がなくても、保管中に劣化や部品の緩みなどが発生している可能性があります。
「前回使えたから今回も大丈夫」と判断せず、着用前に確認する習慣をつけることが重要です。
定期的に詳しい安全チェックを行う
日常的な使用前点検とは別に、定期的な詳しい点検も行いましょう。
膨脹式ライフジャケットについては、国土交通省の安全啓発資料でも、年に1度を目安とした安全チェックが案内されています。
ただし、すべての製品について法律上年1回の点検が義務付けられているという意味ではありません。
具体的な点検周期や部品の交換時期は製品によって異なるため、メーカーの取扱説明書を確認することが大切です。
固型式ライフジャケットの点検方法
固型式ライフジャケットは、内部に発泡材などの浮力材が入っているタイプです。
膨脹式のようなガスボンベや自動膨脹装置はありませんが、生地やベルトなどが劣化していると正常に使用できない可能性があります。
生地に破れや傷がないか確認する
まず、ライフジャケット全体の生地を確認します。
次のような異常がないか確認しましょう。
- 穴
- 破れ
- 大きな擦れ
- ほつれ
- 縫製部分の破損
- 著しい劣化
表側だけでなく、裏側や脇、肩、裾なども確認します。
特に摩擦を受けやすい箇所や、ベルトが取り付けられている部分は傷みやすいため、丁寧に確認しましょう。
本体や浮力材に異常がないか確認する
固型式では、ライフジャケット本体に著しい変形や損傷がないかも確認します。
浮力材が明らかにつぶれていたり、本体が大きく変形していたりする場合は、そのまま使用せず、メーカーや販売店に相談するのが安全です。
浮力材の構造や確認方法は製品によって異なるため、詳しい点検方法については取扱説明書に従いましょう。
ベルトを確認する
ベルトは、ライフジャケットを身体に固定する重要な部分です。
次のような異常がないか確認します。
- 切れ
- ほつれ
- 大きな擦れ
- 縫い付け部分の破損
- 著しい劣化
実際に軽く引っ張りながら確認すると、傷みを見つけやすくなります。
ベルトが破損していると、落水時にライフジャケットが身体から外れるおそれがあります。
バックルを確認する
バックルは、実際に着脱して正常に固定できるか確認します。
確認するポイントは次のとおりです。
- 正常にロックできるか
- 簡単に外れてしまわないか
- 割れや欠けがないか
- 変形していないか
- 動きが極端に悪くないか
見た目だけでは判断しにくいため、実際に操作することが大切です。
ファスナーを確認する
ファスナーを使用しているライフジャケットでは、正常に開閉できるかも確認します。
次のような状態がないか確認しましょう。
- スムーズに動かない
- ファスナーの歯が欠けている
- スライダーが変形している
- 縫製部分がほつれている
異常がある場合は、無理に使用を続けないようにしましょう。
膨脹式ライフジャケットの点検方法
膨脹式ライフジャケットは、落水時などに気室を膨らませることで浮力を得るタイプです。
固型式よりも構造が複雑なため、点検する箇所も多くなります。
外装カバーを確認する
まず、ライフジャケットの外側を確認します。
次のような異常がないかチェックしましょう。
- 穴
- 破れ
- 擦れ
- 縫い糸のほつれ
- 著しい変色
- 明らかな劣化
外装カバーに異常がある場合、内部の気室や膨脹装置にも影響が出る可能性があります。
気室の状態を確認する
膨脹式ライフジャケットで特に重要なのが気室です。
気室は、膨らむことで浮力を発生させる部分です。
メーカーの取扱説明書に従ってカバーを開き、次のような異常がないか確認します。
- 穴
- 傷
- 擦れ
- 生地の劣化
- 溶着部分の剥がれ
- 溶着部分の損傷
異常が見つかった場合は、そのまま使用しないようにしましょう。
補助送気管から空気を入れて確認する
多くの膨脹式ライフジャケットには、口から空気を入れるための補助送気管があります。
メーカーの取扱説明書に従って気室を膨らませ、空気漏れがないか確認します。
確認するときは、
- 気室が正常に膨らむか
- 空気が漏れていないか
- 不自然な変形がないか
などを見ます。
空気を入れる量や保持時間などは製品によって異なるため、自己流ではなく取扱説明書に従ってください。
炭酸ガスボンベを点検する
膨脹式ライフジャケットでは、炭酸ガスボンベの状態確認も重要です。
ボンベが使用済みでないか確認する
炭酸ガスボンベは、一度使用したものを再使用できません。
メーカーの指定する方法に従い、ボンベが使用済みでないか確認します。
特に、ボンベの封板に穴や傷がないかを確認することが重要です。
すでに作動している場合は、対応する新品のボンベに交換する必要があります。
サビや傷、へこみがないか確認する
ボンベの表面も確認しましょう。
次のような異常がないかチェックします。
- サビ
- カビ
- 傷
- へこみ
- その他の明らかな損傷
海水に触れたライフジャケットは、塩分の影響を受ける可能性があるため、特に注意が必要です。
ボンベが正しく取り付けられているか確認する
ボンベが緩んでいないか、正しい状態で取り付けられているかも確認します。
ただし、ボンベの取り付け方法は製品によって異なります。
必要以上に締め込んだり、自己判断で分解したりせず、必ず取扱説明書に従って確認しましょう。
自動膨脹装置を点検する
自動膨脹式ライフジャケットでは、水を感知して作動するスプールやボビン、カートリッジなどの状態も確認します。
使用済みでないか確認する
膨脹装置がすでに作動している場合、部品の交換が必要になることがあります。
インジケーターが付いている製品では、メーカーが指定する正常な表示になっているか確認します。
表示方法は製品によって異なるため、「緑なら正常」などと一律に判断せず、取扱説明書を確認しましょう。
部品の使用期限を確認する
スプールやカートリッジなどには、使用期限が設定されている製品があります。
期限を過ぎた部品は、外観に問題がなくても正常に作動しない可能性があります。
部品本体の表示や取扱説明書を確認し、メーカーが定めた交換時期を守りましょう。
交換時期はメーカーや製品によって異なるため、一律の年数で判断しないことが大切です。
手動作動装置を点検する
膨脹式ライフジャケットには、緊急時に自分で紐を引いて膨らませる手動作動装置が付いているものがあります。
作動索が正常な位置にあるか確認する
作動用の紐である「作動索」が、必要なときにすぐ引ける位置にあるか確認します。
次のような状態になっていないかチェックしましょう。
- 紐が切れている
- 外れている
- カバー内部に入り込んでいる
- 引きにくい状態になっている
作動索が外に出た正常な状態になっていることが重要です。
手動レバーと安全ピンを確認する
製品によっては、手動レバーや安全ピンの状態も確認する必要があります。
一般的には、
- 手動レバーが作動済みの位置になっていないか
- 安全ピンが外れていないか
などを確認します。
ただし、正常な位置や構造は製品ごとに異なるため、メーカーの取扱説明書を参考にしてください。
笛などの付属品を確認する
笛が付属しているライフジャケットでは、笛の状態も確認します。
次のような点をチェックしましょう。
- 笛がなくなっていないか
- 取り付け用のひもが切れていないか
- 笛が破損していないか
なお、すべてのライフジャケットに同じ付属品が付いているわけではありません。
製品や型式によって装備は異なるため、購入時の仕様や取扱説明書を確認しましょう。
実際に着用してサイズを確認する
ライフジャケット本体に問題がなくても、身体に合っていなければ十分な安全性を確保しにくくなります。
身体に正しくフィットするか確認する
実際に着用し、
- バックルを確実に固定できるか
- ベルトを適切に調整できるか
- 身体にしっかり密着するか
- 極端に大きすぎたり小さすぎたりしないか
を確認します。
ライフジャケットは、単に着るだけでなく、身体に合うようにベルトを調整することが重要です。
子ども用は対象体重も確認する
子ども用ライフジャケットは、年齢だけではなく体重や体格に合った製品を選ぶ必要があります。
製品に表示されている対象体重や対象サイズを確認し、身体に適切にフィットするものを使用しましょう。
子どもの成長によって以前のライフジャケットが合わなくなることもあるため、定期的なサイズ確認も重要です。
点検で異常が見つかった場合の対処方法
異常があるライフジャケットは使用しない
点検中に異常を発見した場合は、そのまま使用しないようにしましょう。
特に、
- 気室に穴や損傷がある
- 溶着部分が剥がれている
- 膨脹装置に異常がある
- ボンベが損傷している
- ベルトやバックルが破損している
といった状態では、本来の性能を発揮できない可能性があります。
異常を発見した場合は使用を中止し、メーカーや販売店などに相談してください。
自己判断で補修しない
ライフジャケットは命を守る安全装備です。
穴や破れをテープや接着剤などで自己流に補修し、そのまま使用することは避けましょう。
補修方法によっては、本来の強度や浮力性能を確保できない可能性があります。
修理が可能か、本体を交換する必要があるかについては、メーカーなどに確認するのが安全です。
交換部品は対応するものを使用する
膨脹式ライフジャケットのボンベやスプール、カートリッジなどは、外観が似ていてもすべての製品で共通とは限りません。
交換するときは、必ず使用しているライフジャケットに適合した部品を選びましょう。
型式や部品番号を確認し、メーカーが指定している交換部品を使用することが大切です。
ライフジャケットの点検チェックリスト
固型式ライフジャケット
使用前には、次の項目を確認すると点検漏れを防ぎやすくなります。
- 生地に穴や破れがない
- 縫製部分に大きなほつれがない
- 本体に著しい変形や損傷がない
- ベルトが切れたりほつれたりしていない
- バックルが正常に固定できる
- ファスナーが正常に動く
- 身体に適切にフィットする
膨脹式ライフジャケット
膨脹式では、固型式よりも多くの項目を確認します。
- 外装カバーに穴や破れがない
- 気室に傷や劣化がない
- 気室の溶着部分に剥がれや損傷がない
- 気室から空気が漏れない
- 炭酸ガスボンベが使用済みでない
- ボンベの封板に穴や傷がない
- ボンベにサビ・カビ・傷・へこみがない
- ボンベが正しく取り付けられている
- スプールやカートリッジが正常な状態である
- 部品の使用期限を過ぎていない
- インジケーターがメーカー指定の正常表示になっている
- 作動索が外に出ている
- 手動レバーや安全ピンが正常な状態である
- ベルトやバックルが正常である
- 身体に適切にフィットする
使用後の確認とメンテナンスも大切
ライフジャケットは、使用前だけでなく使用後にも状態を確認しておくことが大切です。
海や川で使用したあとは、汚れや塩分、水分が付着している場合があります。
メーカーの取扱説明書に従って手入れを行い、十分に乾燥させてから保管しましょう。
特に膨脹式ライフジャケットは、水分が膨脹装置に影響する可能性があるため、洗い方や乾燥方法にも注意が必要です。
自己判断で丸洗いせず、必ず製品ごとの手入れ方法を確認してください。
ライフジャケットは使用前の点検を習慣にしよう
ライフジャケットは、万が一の事故に備えるための重要な安全装備です。
正常に見えていても、生地やベルトが劣化していたり、膨脹式ではボンベやスプールなどの部品が正常な状態でなかったりする可能性があります。
固型式では、生地、ベルト、バックル、ファスナー、本体の状態などを確認しましょう。
膨脹式では、それらに加えて、気室、炭酸ガスボンベ、スプールやカートリッジ、作動索、手動レバーなども確認する必要があります。
また、膨脹式は使用前の確認だけでなく、年に1度を目安とした詳しい安全チェックも大切です。
ただし、点検方法や部品の交換時期、正常なインジケーター表示などは製品によって異なります。
最終的には、使用しているライフジャケットの取扱説明書を確認し、メーカーが指定する方法で点検するようにしましょう。
以上、ライフジャケットの点検方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








