タンカー船員の給料について詳しく解説します。
タンカー船員の給与体系は、勤務する船の種類や航路、職種、経験年数、国籍(雇用形態)などによって大きく異なります。
また、陸上の職とは異なり「海上手当」「危険手当」などが加わることも特徴です。
タンカーとはどのような船か?
まず前提として「タンカー」とは、原油・石油製品・LNG(液化天然ガス)・化学薬品などの液体貨物を運ぶ専用の大型船舶を指します。
これらは危険物を積載しているため、非常に高い安全性と専門知識が求められます。
タンカーは大きく分けて以下の種類があります。
- 原油タンカー(VLCCなど)
- プロダクトタンカー(ガソリン・灯油・軽油など)
- ケミカルタンカー(化学薬品)
- LNGタンカー(液化天然ガス)
これにより船員の業務内容も変わり、給料にも差が出ます。
タンカー船員の主な職種と役職
船には大きく分けて「航海士系」「機関士系」「事務・調理系」の職種があります。
代表的なものは以下の通りです。
航海士系
- 船長(キャプテン)
- 一等航海士(チーフオフィサー)
- 二等航海士
- 三等航海士
機関士系
- 機関長(チーフエンジニア)
- 一等機関士
- 二等機関士
- 三等機関士
その他
- 無線通信士
- 甲板員(デッキハンド、ABなど)
- 機関員(モーター員)
- コック、調理員
- 事務員(大型船では稀)
タンカー船員の平均給与(日本人の場合)
一般的な月収の目安(外航船・日本人船員)
職種・役職 | 月収の目安 | 備考 |
---|---|---|
船長 | 120万〜180万円 | 経験20年以上のベテラン |
一等航海士/機関長 | 80万〜130万円 | 責任が非常に重いポジション |
二等航海士/一等機関士 | 60万〜90万円 | 勤務5〜15年程度 |
三等航海士/二等機関士 | 45万〜70万円 | 若手の中核層 |
甲板員・機関員 | 35万〜55万円 | 熟練度により変動 |
調理員 | 30万〜50万円 | 経験・語学力によって変動 |
※ 外航船=国際航路に従事する船
上記は「手取り」ではなく「総支給額」の目安で、ここから各種保険・税金が引かれることになりますが、多くの場合、乗船中は生活費がほとんどかからないため、貯金しやすい環境です。
外航 vs 内航での給与差
- 外航タンカー船員(国際航路)
→ 給与が非常に高い傾向。特にLNG・ケミカルタンカーなどは高待遇。外国籍船員と乗り組むことが多く、語学力も求められます。 - 内航タンカー船員(国内航路)
→ 比較的給与は低め。ただし定期的に下船でき、家族との時間が取りやすい。
月収は30〜70万円程度が一般的。
外国人船員との違い(フィリピン人など)
日本籍の船であっても、外国人船員(特にフィリピン、インドネシアなど)が多数乗っているケースがあります。
彼らは比較的低賃金(10万〜40万円程度)で働くことが多いため、日本人ベテランの給与水準との差が大きくなっています。
給与以外の待遇・福利厚生
- 乗船中は食事・光熱費無料
- 上陸時の手当(港湾滞在費)
- 年2〜3ヶ月の下船休暇
- 保険完備(海技士は国家資格)
- 昇進ごとの資格手当
- 海員組合によるサポート
船員という職業は「乗船期間」と「休暇期間」が明確に分かれており、半年乗船→3ヶ月休暇などのスケジュールが一般的です。
このため「1年の半分以上が休み」という見方もできます。
特殊手当について
タンカー船は、火災・爆発のリスクが高い危険物を運んでいるため、以下のような特殊手当が加算されます。
- 危険物手当
- 石油手当
- タンカー資格手当(タンカー特別教育修了者)
- 上陸禁止期間中の特別手当(コロナ禍で顕著)
これにより、同じランクの船員でもバルカー(ばら積み船)やコンテナ船よりも高給になる傾向があります。
キャリアパスと年収上昇のモデル
たとえば航海士系のキャリアパスは以下のようになります。
- 三等航海士(年収600万〜)
- 二等航海士(年収750万〜)
- 一等航海士(年収900万〜)
- 船長(年収1200万〜2000万円)
機関士系もほぼ同様の階層構造です。
まとめ
タンカー船員は「専門性が高く、危険度も高い」ことから、他の船種よりも高給を得られる傾向があります。
特に外航船の船長クラスでは、年収1,500万円を超えることも珍しくありません。
ただし、高給の裏には以下のような厳しさもあります。
- 長期間の隔離(乗船中は数ヶ月に及ぶ)
- 高度な英語力・技術力が必要
- 事故時のリスクが非常に高い
- 精神的ストレス(孤独感・閉鎖空間での生活)
それでも、「世界を舞台に働く」「若いうちから高収入を得る」「定年までのキャリアが安定している」などの魅力があり、海技士資格を持つ人材の市場価値は非常に高いです。
以上、タンカー船員の給料についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。