タンカーの船員の生活について

タンカー,イメージ

タンカーの船員の生活について詳しくご説明します。

タンカー(油槽船や液化ガス運搬船など)は、原油、ガソリン、LNG(液化天然ガス)などの液体貨物を大量に運搬するための特殊な船です。

乗組員の生活は他の商船と似ている部分もありますが、危険物を取り扱う特性から、より厳格な安全管理や特殊な作業が求められます。

以下、乗船中の生活、勤務体制、仕事の内容、生活環境、メリット・デメリットなどを包括的に解説します。

目次

タンカー船員の勤務体系

乗船期間と休暇

  • 一般的に 3ヶ月~6ヶ月乗船し、その後1ヶ月~3ヶ月の休暇 というサイクルで働きます。
  • 契約期間は船主や船籍国、船の種類、所属会社によって異なります。
  • 特に外航タンカーでは、国際航路を航行するため、乗船中は基本的に陸に上がれない長期航海が続くこともあります。

ワッチ体制(当直)

  • 機関部と航海部の2部門で構成され、それぞれ3交代制(4時間ワッチ)で勤務。
    • 例えば:00:00-04:00 / 08:00-12:00 / 16:00-20:00など。
  • 船の安全運航を維持するため、昼夜問わず交代で勤務します。

主な職種と仕事内容

航海士(Deck Department)

  • 船の操船、航海計画、航路監視。
  • 積荷作業(バラスト操作、荷役)において中心的役割。
  • 航行中は航海当直、寄港時には積み下ろしの指揮を行う。
  • 上級航海士は荷役責任者として、積荷(原油や化学薬品など)の移送作業を安全に管理。

機関士(Engine Department)

  • 船のエンジン(主機・補機)の運転、点検、整備。
  • バラストポンプやカーゴポンプなどの荷役機器の整備も含まれる。
  • 電気系統、空調、ボイラーなど船内インフラの整備も行う。

船長・機関長

  • 船全体の管理責任者。安全運航と乗組員の指導、貨物の管理を総括。
  • 機関長は機関部の最高責任者で、エンジンや機器類の全体管理を行う。

日常生活

居住空間

  • 各船員には個室が与えられることが一般的(特に外航船)。
  • 部屋にはベッド、机、クローゼット、冷蔵庫、テレビ(衛星放送)などが設置されていることが多い。
  • インターネットは船によるが、通信衛星を使ったWi-Fiが提供されることもある。

食事

  • コックが常駐し、1日3食を提供。
  • 長期間の航海中は冷凍食品や保存食を使用。船会社によっては非常に充実した食事内容のところも。
  • 国際的な船では、乗組員の国籍に合わせて多国籍の料理が出ることもある。

レクリエーション

  • ジム、ビリヤード、カラオケルーム、テレビルームなどが備わっている場合もある。
  • ただし、設備の内容は船の規模と所有会社に大きく依存。
  • 映画鑑賞やゲーム、楽器演奏など、自室で趣味の時間を過ごすことも多い。

タンカー特有の要素

危険物の取り扱い

  • 原油やLPG、LNGなど、引火性や毒性のある貨物を運ぶため、IMOの安全基準に基づく厳格な規則がある。
  • 火気厳禁のため、喫煙場所も制限されている。
  • 積荷の移送時には「ガスフリー」「インナータンクの洗浄」など特殊作業が行われる。

防災訓練の頻度

  • 火災、油流出、ガス漏れ、救命ボートの操作など、定期的な安全訓練(ドリル)が義務。
  • 特に油流出事故のリスクがあるため、SOPEP(Shipboard Oil Pollution Emergency Plan)に基づいた訓練が行われる。

収入と待遇

年収の目安(外航船の場合)

  • 船長・機関長:1,200~1,500万円以上
  • 一等航海士・一等機関士:800~1,000万円程度
  • 若手士官・部員:400~700万円程度 ※外国人船員との混乗船の場合は、日本人船員の待遇が高めの傾向。

福利厚生

  • 海運会社によっては、乗船手当、無事故手当、休暇補助金などが支給。
  • 家族手当や住宅補助、通信補助(ネット回線費用)などもある。

タンカー船員のメリットとデメリット

メリット

  • 高収入で税制面でも優遇(乗船中は国外所得扱いとなるケースが多い)。
  • 長期休暇があり、旅行や資格取得、家族との時間を確保しやすい。
  • 貴重な技術職であり、経験が高く評価されやすい。

デメリット

  • 長期間家族と離れるため、家庭との両立が課題。
  • 天候や危険物の影響で、ストレスが大きい場面もある。
  • 外洋航行ではインターネットが使いにくい・通信が不安定な場合もある。

まとめ

タンカー船員の生活は、規則的な勤務体系の中に緊張感と責任感が強く求められる職務です。

特に危険物を扱うため、安全管理や設備メンテナンスには専門的知識と高い集中力が必要です。

一方で、収入面では非常に恵まれており、しっかりとした訓練と経験を積めば、国際的なキャリア形成も可能です。

もし興味がある場合は、商船大学や海技学校での訓練課程を経て、国家資格(海技免状)を取得することが第一歩になります。

以上、タンカーの船員の生活についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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