タンカーの燃料について詳しく知るためには、以下の4つの観点から考えると理解が深まります。
目次
タンカーの種類と燃料の関係
「タンカー」とひとくちに言っても、いくつかの種類があります。
これにより使用される燃料やエンジンも異なります。
タンカーの種類 | 内容物 | 使用される燃料の傾向 |
---|---|---|
原油タンカー(Oil Tanker) | 原油 | 重油(HFO)、近年は低硫黄燃料も |
製品タンカー(Product Tanker) | ガソリン、軽油など精製油 | 重油、ディーゼル、LNGなど |
ケミカルタンカー(Chemical Tanker) | 化学薬品 | 重油、マリンディーゼル、LNG |
LNGタンカー(LNG Carrier) | 液化天然ガス | LNG(搭載しているガスを利用) |
LPGタンカー(LPG Carrier) | 液化石油ガス | 重油、LPG、近年はLNGも |
主に使われる燃料の種類
タンカーの推進力を生み出す主機関(メインエンジン)は、以下のような燃料を使用します。
重油(HFO:Heavy Fuel Oil)
- 特徴:価格が安く、エネルギー密度が高い。
- 欠点:硫黄分が多く、大気汚染(SOx, NOx)の原因に。
- 用途:従来の大型タンカーで主に使用されてきた。
低硫黄燃料油(VLSFO:Very Low Sulfur Fuel Oil)
- 特徴:2020年の国際海事機関(IMO)規制により使用が拡大。
- 利点:硫黄分0.5%以下で環境負荷が低い。
- 用途:既存のHFO対応エンジンで燃焼可能。
軽油系燃料(MGO:Marine Gas Oil、MDO:Marine Diesel Oil)
- 特徴:硫黄分が少なく清浄。
- 利点:港湾近くや環境規制が厳しい海域で使用される。
- 欠点:価格が高い。
LNG(液化天然ガス)
- 特徴:硫黄・粒子・NOxの排出が非常に少ない。
- 利点:環境に優しく、IMOの環境規制に対応。
- 課題:燃料供給インフラの整備が必要、初期コストが高い。
国際的な環境規制の影響
2020年以降、タンカーの燃料事情は大きく変わりました。
- IMO2020規制:国際海事機関が、船舶燃料の硫黄分上限を3.5% → 0.5%に大幅引き下げ。
- ECA(排出規制海域)では、さらに厳しい0.1%の硫黄制限がある(北米沿岸、北欧海域など)。
この影響で、タンカーの運航会社は以下のような対応を迫られています。
- 低硫黄燃料(VLSFO、MGO)の使用
- スクラバー(排ガス洗浄装置)の搭載:重油を使い続けるための設備
- LNG燃料船の新造・改造
将来的な動向
次世代燃料
タンカー業界は「脱炭素」へ向けた燃料転換を進めています。
次世代燃料 | 特徴 |
---|---|
アンモニア | CO₂を出さず、燃焼可能。開発段階だが注目度高い。 |
メタノール | 燃焼時のSOxやNOxが少ない。すでに一部船で実用化。 |
水素 | 難易度は高いが、将来的にゼロエミッション実現のカギ。 |
ハイブリッド推進
ディーゼル+バッテリーや、風力・太陽光とのハイブリッド方式も研究中です。
まとめ
タンカーの燃料は従来、重油が主流でしたが、IMOの環境規制により、
- 低硫黄燃料
- LNG
- 代替エネルギー(アンモニア、水素)
と多様化しています。これにより船の設計・運航コスト・インフラ整備にも大きな影響が出ています。
今後は「脱炭素」「省エネ」「環境対応」を軸に、タンカーの燃料とエンジンはさらに進化していくでしょう。
以上、タンカーの燃料についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。