潜水艦に乗っている人数は、艦の大きさや推進方式、搭載している装備、任務、自動化の程度などによって異なります。
現代の軍用潜水艦では、数十人程度で運用されるものから、100人を超える乗員が乗り込む大型艦まであります。
日本の海上自衛隊が運用する潜水艦の場合は、1隻あたりおよそ65~70人が一つの目安です。
一方、アメリカやイギリスなどが運用する大型の原子力潜水艦では、100人以上が乗り込むケースも珍しくありません。
そのため、「潜水艦には何人乗っているのか」という質問に対しては、単純に一つの人数で答えるのではなく、潜水艦の種類によって大きく異なると考える必要があります。
日本の潜水艦には約65~70人が乗っている
海上自衛隊が運用してきた主要な潜水艦では、乗員数はおおむね65~70人程度です。
代表的な艦型を見ると、次のようになります。
- おやしお型:約70人
- そうりゅう型:約65人
- たいげい型:約70人
このことから、日本の潜水艦については「約70人が乗っている」と考えると、おおよその規模をイメージしやすいでしょう。
おやしお型は約70人
おやしお型潜水艦の乗員は約70人です。
おやしお型は海上自衛隊で長期間運用されてきた通常動力型潜水艦で、後継となるそうりゅう型やたいげい型にも技術的な流れが受け継がれています。
約70人の乗員が、航海、機関、ソナー、通信、武器、給養などの役割を分担しながら艦を運用します。
そうりゅう型は約65人
そうりゅう型潜水艦の乗員は約65人です。
そうりゅう型は全長84m、基準排水量約2,950トンの通常動力型潜水艦です。
全長80mを超える大型の潜水艦ですが、乗員数は約65人となっています。
これは、潜水艦の乗員数が単純に船体の大きさだけで決まるわけではないことを示す一例でもあります。
たいげい型は約70人
たいげい型潜水艦の乗員は約70人です。
たいげい型は全長84m、基準排水量約3,000トンで、海上自衛隊の新しい世代の通常動力型潜水艦です。
そうりゅう型と全長は同程度ですが、乗員数には若干の違いがあります。
このように、船体寸法が近い潜水艦でも、搭載設備や設計、運用方法などによって必要な人員は変わります。
海外の大型潜水艦では100人を超えることもある
海外では、100人以上の乗員を必要とする大型潜水艦も数多く運用されています。
特に原子力潜水艦は大型の艦が多く、原子炉関連設備に加えて、兵装、センサー、通信設備など多数のシステムを搭載しています。
そのため、結果として通常動力型潜水艦よりも多くの乗員を配置する例があります。
ただし、「原子力潜水艦だから必ず乗員が多い」というわけではありません。
必要な人数は、艦の規模や装備、自動化の程度、任務、各国海軍の運用思想などによって決まります。
アメリカのバージニア級は約130人
アメリカ海軍が運用するバージニア級攻撃型原子力潜水艦では、標準的な艦で約130人の乗員が配置されます。
代表的な公表例では、士官15人、下士官・兵117人の合計132人です。
日本の潜水艦が約65~70人であることと比較すると、およそ2倍近い人数になります。
また、バージニア級の中でも大型化されたタイプでは、135~145人程度になる例もあります。
そのため、バージニア級について説明する場合には、「標準的には約130人で、艦によってはさらに多くなる」と考えるとよいでしょう。
イギリスのアスチュート級は約100人
イギリス海軍が運用するアスチュート級攻撃型原子力潜水艦では、約100人が乗り込みます。
公表されている艦の中には、乗員98人とされている例があります。
そのため、「アスチュート級は約100人」と表現すれば、実際の規模を分かりやすく伝えられます。
潜水艦によって乗員数が大きく違う理由
潜水艦の乗員数は、単純に艦の大きさだけで決まるものではありません。
艦内に搭載する装置や兵器、任務内容、自動化の程度など、さまざまな条件によって必要な人数が変化します。
船体の大きさ
一般的には、大型の潜水艦ほど搭載する設備が増えるため、必要な乗員も多くなる傾向があります。
ただし、大型艦だから必ず乗員が多いとは限りません。
高度な自動化が行われている潜水艦では、以前より少ない人数で多くの設備を監視・操作できる場合があります。
推進方式
潜水艦には、大きく分けて通常動力型と原子力型があります。
通常動力型では、ディーゼルエンジン、発電機、蓄電池、電動機などを使用して航行します。
原子力潜水艦では原子炉を動力源として使用するため、原子炉や関連設備を安全に運用・管理するための専門要員も必要になります。
ただし、推進方式だけで最終的な乗員数が決まるわけではありません。
搭載する武器やセンサー
魚雷、ミサイル、ソナー、通信設備など、搭載するシステムが増えれば、それらを操作・整備する人員も必要になります。
特に大型の攻撃型原子力潜水艦や戦略原子力潜水艦では、非常に多くの装備を搭載するため、乗員数が多くなる場合があります。
自動化の程度
現代の潜水艦では、さまざまな作業が自動化されています。
以前は複数の乗員が監視や操作を行っていた設備でも、コンピューターによる統合管理が進めば、必要な人員を減らせる可能性があります。
そのため、同程度の大きさの潜水艦でも、設計思想や自動化の程度によって乗員数が異なることがあります。
任務や運用方法
潜水艦が担当する任務も乗員数に影響します。
敵艦の監視や対潜水艦戦を主な任務とする攻撃型潜水艦と、弾道ミサイルを搭載する戦略原子力潜水艦では、搭載設備や運用方法が異なります。
また、同じような規模の潜水艦でも、国や海軍によって職務分担や当直体制が異なるため、必要な人数にも差が生じます。
潜水艦ではどのような仕事を分担しているのか
潜水艦には数十人から100人以上が乗り込みますが、それぞれ異なる役割を担当しています。
潜水艦を24時間安全に運用するためには、航海、機関、情報収集、通信、武器、給養など幅広い仕事が必要です。
艦長や士官
潜水艦全体を指揮するのが艦長です。
さらに、艦長を補佐する士官が配置され、各部門の指揮や管理を担当します。
潜水艦では、航海や安全管理、任務遂行などについて迅速な判断が求められるため、明確な指揮系統が設けられています。
航海や操艦を担当する乗員
潜水艦を安全に航行させるため、航海や操艦を担当する乗員がいます。
潜水艦では、水上艦と同じように針路や速力を管理するだけでなく、深度や艦の姿勢も継続的に管理する必要があります。
そのため、水上航行とは異なる専門的な知識や技能が必要です。
ソナーを担当する乗員
潜航中の潜水艦にとって、ソナーは周囲の状況を把握するための重要な装置です。
ソナーでは水中の音を利用し、周辺の艦船や潜水艦などに関する情報を収集します。
特に深く潜航している状況では、ソナーが周囲を把握する主要な情報収集手段の一つになります。
ただし、潜水艦が周辺情報を得る方法はソナーだけではありません。
状況に応じて潜望鏡や電子光学マスト、航法システムなども使用されます。
機関や電気設備を担当する乗員
潜水艦には、推進装置、発電設備、蓄電池、電気設備、空調設備など多数の機器があります。
通常動力型潜水艦では、ディーゼルエンジンや発電機、蓄電池、電動機などを管理します。
原子力潜水艦では、原子炉や蒸気・推進系統などを管理する専門要員も必要になります。
艦内の機械や電気設備を正常な状態に維持することは、潜水艦を安全に運用するために欠かせません。
通信を担当する乗員
潜水艦も司令部などと情報をやり取りする必要があります。
しかし、水中では通常の無線通信に大きな制約があります。
そのため、潜水艦では専用の通信設備や運用方法が使用されます。
通信を担当する乗員は、必要な情報の受信や送信などを行います。
武器を担当する乗員
軍用潜水艦には、魚雷をはじめとする兵器が搭載されています。
艦種によっては巡航ミサイルや弾道ミサイルなどを搭載する場合もあります。
これらを安全に管理・運用するため、専門的な教育を受けた乗員が配置されます。
調理や給養を担当する乗員
潜水艦では、食事も艦内生活を支える重要な要素です。
長期間にわたる航海では、限られた厨房設備や食材を利用して、数十人分の食事を毎日用意する必要があります。
そのため、調理や給養を担当する乗員も潜水艦の運用には欠かせません。
潜水艦は24時間交代しながら運用される
潜水艦に約70人乗っているからといって、全員が常に同じ仕事をしているわけではありません。
潜水艦は昼夜を問わず航行を続けるため、乗員は当直を交代しながら艦を運用します。
当直する乗員と休息する乗員に分かれる
ある乗員が操艦や監視、機器の運用などを担当している間、別の乗員は休息したり、整備や訓練などを行ったりします。
一定時間ごとに役割を交代することで、24時間継続して潜水艦を運用できるようになっています。
ただし、具体的な当直制度や勤務時間は、国、潜水艦の種類、職種、任務などによって異なります。
そのため、「潜水艦は必ず○時間ごとの3交代制」といった形で一律に説明するのは適切ではありません。
約70人が限られた艦内で共同生活する
日本のたいげい型潜水艦は全長84mありますが、そのすべてを居住スペースとして利用できるわけではありません。
艦内には推進設備、蓄電池、ソナー関連機器、武器、通信設備、配管、電気ケーブル、食料など、非常に多くの装備や物資を収める必要があります。
そのため、乗員の生活スペースは限られています。
寝室や食堂もコンパクトに作られている
潜水艦には乗員が休むための寝台や、食事をするスペース、厨房、トイレなどがあります。
しかし、船内スペースには限りがあるため、地上の施設や一般的な大型船と比べれば非常にコンパクトです。
多くの乗員が限られた空間で長期間共同生活することになります。
プライバシーも限られる
潜水艦では、多くの設備と乗員を限られた船体内に収容する必要があります。
そのため、一人ひとりが自由に使える空間は限られています。
長期間にわたり狭い艦内で共同生活を続けることも、潜水艦乗員に求められる特徴の一つです。
潜水艦の乗員数を比較するとどのくらい違うのか
代表的な潜水艦の乗員数を比較すると、次のようになります。
| 潜水艦 | 国 | 推進方式 | 乗員数の目安 |
|---|---|---|---|
| おやしお型 | 日本 | 通常動力 | 約70人 |
| そうりゅう型 | 日本 | 通常動力 | 約65人 |
| たいげい型 | 日本 | 通常動力 | 約70人 |
| アスチュート級 | イギリス | 原子力 | 約100人 |
| バージニア級 | アメリカ | 原子力 | 標準的には約130人 |
このように、同じ潜水艦でも乗員数には大きな差があります。
小型・中型の通常動力型潜水艦では数十人程度で運用されることがありますが、大型の原子力潜水艦では100人を超えるケースもあります。
潜水艦の乗員数は艦の種類によって大きく異なる
潜水艦には、数十人程度から100人を超える人数が乗り込んでいます。
日本の海上自衛隊の潜水艦であれば、現在の主要な艦型では約65~70人程度と考えると分かりやすいでしょう。
一方、アメリカのバージニア級のような大型原子力潜水艦では、約130人が乗り込む例があります。
乗員数を左右するのは、単純な船体の大きさだけではありません。
推進方式、搭載設備、兵装、任務、自動化の程度、各国海軍の運用方式などによって必要な人数が変わります。
そして、乗員たちは航海、操艦、ソナー、機関、通信、武器、整備、給養などの仕事を分担し、当直を交代しながら24時間体制で潜水艦を運用しています。
以上、潜水艦には何人くらい乗っているのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
















