コンテナ船の構造の名称について

コンテナ船,イメージ

コンテナ船は、標準化されたコンテナ(ISOコンテナ)を大量に効率よく運搬するために設計された貨物船です。

その構造は、耐久性・安定性・効率性・安全性を確保するために極めて合理的かつ機能的に設計されています。

以下では、コンテナ船の構造の各名称とその役割を詳しく解説します。

目次

コンテナ船の主な構造部名称とその説明

ハル(Hull:船体)

  • 船全体の「外殻」にあたる部分。浮力を得て航行するための基本構造。
  • ダブルハル構造が一般的で、外板と内板の二重構造により、座礁や衝突時の安全性を向上。

デッキ(Deck:甲板)

  • 船の最上面(通常はメインデッキと呼ばれる)。
  • コンテナはこのデッキ上にも積載されます(上部デッキスタック)。
  • 操作や積み降ろしのための通路や器具が配置されています。

ホールド(Hold:船倉)

  • 船の内部にあるコンテナの積み込みスペース。
  • コンテナを縦にスタック(積み重ね)して収納。通常、数層分の深さがあります。
  • 各ホールドは番号で区切られており、「ベイ(Bay)番号」が付与されます。

セルガイド(Cell Guide)

  • ホールド内にあるガイドレールのような構造。
  • コンテナをまっすぐ正確に積むための金属フレーム。スタッキング時のズレを防ぎ、迅速な積載を可能にする。
  • コンテナの幅に合わせて設計されている。

ハッチカバー(Hatch Cover:ハッチ蓋)

  • ホールドを覆う大型の蓋。
  • 荷役時にはクレーンで開閉し、航行中は水の侵入を防ぐために密閉されます。
  • 上部にもコンテナが積載されるため、蓋も強固な構造になっています。

ブリッジ(Bridge:船橋)

  • 操縦室・航海機器・通信設備などが集約された部分。
  • 通常、船体中央または後方に設けられています(後方配置が多い)。
  • 船長や航海士が船を操作する場所。

ファンネル(Funnel:煙突)

  • エンジンの排気を行う煙突。
  • ブリッジ後部に設けられていることが多く、航行中の安全性を考慮して高く設計されています。

エンジンルーム(Engine Room)

  • 船の心臓部で、主機関(ディーゼルエンジンなど)や発電機が配置されています。
  • 通常、船尾の下部に配置。

ラッシング・ブリッジ(Lashing Bridge)

  • デッキ上でコンテナを積み上げるための補強構造。
  • コンテナを固縛(ラッシング)するための設備が備えられており、風や波による荷崩れを防止。

ベイ(Bay)、ロー(Row)、ティア(Tier)

これはコンテナの位置を示す座標システムです。

  • Bay(ベイ)番号:船首から船尾方向に番号が振られる。
  • Row(ロー)番号:船の中央を基準に左右方向に番号が振られる。
  • Tier(ティア)番号:縦方向(上から下)への番号。デッキ上やホールド内の高さを表す。

例:Bay 10, Row 05, Tier 06 → 10番ベイの左側5列目、下から6段目にあるコンテナ。

その他の重要な構造・用語

名称説明
バルクヘッド(Bulkhead)防水・防火のための隔壁。ホールド間やエンジンルームなどを仕切る。
キール(Keel)船の最下部を通る「背骨」のような構造。船の骨格。
バラストタンク(Ballast Tank)安定性を調整するために海水を注入・排出するタンク。
クレーン(Cranes)港に設置されているガントリークレーンで荷役を行うが、セルフクレーン搭載型の船も存在する。
パイロットハウス操縦室。ブリッジ内に設置される。航海中の操船操作がここで行われる。

まとめ

コンテナ船の構造を理解することは、物流業界・造船業・港湾業務・海上保険など多くの分野で重要な意味を持ちます。特に以下の観点から重要です。

  • 安全性の確保:貨物の正確な積載位置や固定方法を知ることは、事故防止に直結。
  • 効率的な荷役作業:ベイ番号・セルガイドの仕組みを理解することで、港での積み下ろし作業がスムーズに。
  • 設計と整備の理解:船体設計・エンジン配置・構造補強などは、造船やメンテナンスに不可欠。

以上、コンテナ船の構造の名称についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

船の塗装や修理のご依頼は、東備ヤンマー株式会社にお任せください。

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