「船のデッキ」とは、船体の構造の一部であり、甲板(こうはん)とも呼ばれる、船の床や階層のことを指します。
特に人が歩いたり、作業をしたり、貨物を積んだりするための「平らな床の面」を意味し、船の中で非常に重要な構造の一部です。
以下に、デッキの基本的な意味から種類・役割・構造上の位置づけまで、詳しく解説します。
目次
デッキ(甲板)とは何か?
船のデッキとは、簡単にいえば「船の上にある床」です。
ビルでいえば「フロア」に相当し、船の内部構造を複数の層に分け、乗組員や乗客が移動したり作業したりするための「水平な構造部材」です。
デッキの主な役割
役割 | 内容 |
---|---|
安全な移動のため | 乗組員・乗客が船内外を移動するための通路になります。 |
構造的な強化 | 船体を強化し、全体のねじれや歪みを防ぎます。 |
居住・作業スペース | 乗組員の居住区、操舵室、エンジン室、貨物スペースなどの区分に利用されます。 |
荷物・設備の配置 | クレーン、ライフボート、アンテナ、煙突などの設備が設置される場所になります。 |
デッキの種類(階層別)
デッキは船の高さ(階層)によって、呼び方や機能が異なります。
メインデッキ(主甲板 / Main Deck)
- 船の構造上、最も重要なデッキ。
- 通常は船体を左右に完全に横切る最上部の連続したデッキ。
- 船の強度を担保する基準面になります。
アッパーデッキ(Upper Deck)
- メインデッキの上にあるデッキ。
- 客船などでは乗客用のスペースが多く、展望やデッキチェアなどが置かれることも。
- 航海中の眺望や風通しの良い場所。
ブリッジデッキ(Bridge Deck)
- 操舵室(ブリッジ)があるデッキ。
- 船の航行を司る指令室のフロアです。
ウェルデッキ(Well Deck)
- メインデッキよりも一段下がっているエリア。
- 船首と船尾の間に窪みのように位置する。
プロムナードデッキ(Promenade Deck)
- 客船で使われる用語。
- 乗客が散歩したり眺望を楽しめる開放的な通路。
エンジンデッキ(Engine Deck)
- 機関室(エンジンルーム)がある階層。
- 船の推進力を生み出す心臓部。
オープンデッキ(Open Deck)
- 屋根のない屋外デッキ。
- 船上で最も風や潮風を感じる場所。
船種別によるデッキの違い
貨物船
- デッキはコンテナや積み荷を効率よく積むために設計されています。
- メインデッキが広く平坦に作られており、クレーンや貨物ハッチも設置されています。
客船(クルーズ船)
- 多層構造のデッキを持ち、娯楽施設・レストラン・プール・カジノなどがそれぞれのデッキに分かれています。
- 各デッキはエレベーターや階段で接続されています。
漁船や小型船舶
- デッキは操業の場であり、作業効率と防水性が重視されます。
- 船種によっては、一つのオープンデッキのみのシンプルな構造もあります。
「デッキ」という言葉の派生用法
- 「デッキブラシ」:甲板を掃除するためのブラシ。語源は船のデッキから。
- 「デッキシューズ」:船上で滑らないように作られた靴。
- 「フライトデッキ」:航空母艦で飛行機の発着に使う甲板。
- 「カードデッキ」:カードゲームで「一組のカード(束)」を指す場合も「デッキ」と呼びますが、これは船とは直接関係ありません。
まとめ
船の「デッキ」は単なる「床」ではなく、船の運用・構造・安全に深く関わる非常に重要な要素です。
その位置や用途によって多様な名称や役割があり、船の種類ごとに異なる構成が見られます。
構造面でも機能面でも、船の中核にあるパーツといえるでしょう。
以上、船のデッキについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。