釣り船で釣りをする座席のことは、一般的に「釣り座(つりざ)」と呼ばれます。
乗合船では、決められた釣り座に入り、そこから仕掛けを投入して釣りをします。
釣り座は単なる座る場所ではなく、釣りやすさ・船酔いのしにくさ・周囲との距離感・釣果にも関わる重要なポイントです。
特に初心者の場合、どの場所に座るかによって快適さが大きく変わります。
「とにかく釣れそうな場所」を選ぶよりも、まずは安全に釣りができる場所、船酔いしにくい場所、船長やスタッフに相談しやすい場所を選ぶのがおすすめです。
釣り船の座席の呼び方
釣り船の座席は、船の前後左右によって呼び方が変わります。
まずは基本用語を覚えておくと、予約時や受付時に話がスムーズになります。
ミヨシ
ミヨシとは、船の前方、つまり船首側の釣り座のことです。
船の先端に近い場所なので見晴らしがよく、竿を出すスペースも取りやすいことがあります。
キャスティングをする釣りや、広く探りたい釣りでは有利になる場面もあります。
ただし、ミヨシは船の中でも揺れやすい場所です。
波がある日は船首が大きく上下するため、船に慣れていない人や船酔いしやすい人には負担が大きくなることがあります。
そのため、ミヨシはどちらかというと、船釣りに慣れている人、揺れに強い人、広いスペースを活かして釣りたい人向けの釣り座です。
胴の間
胴の間(どうのま)とは、船の中央付近の釣り座のことです。
船の中央は、前方や後方に比べて揺れが少ない傾向があります。
そのため、初心者や船酔いが心配な人には、胴の間が最も無難です。
また、胴の間は船長や中乗りさんに近いことも多く、分からないことを質問しやすいのもメリットです。
仕掛けの投入タイミング、タナの取り方、魚が掛かったときのやり取り、オマツリの対応など、初心者が不安になりやすい場面でもサポートを受けやすくなります。
初めて釣り船に乗る場合は、まず胴の間を希望すると安心です。
トモ
トモとは、船の後方、船尾側の釣り座のことです。
トモは人気のある釣り座の一つです。
特に一番後ろの角は大ドモと呼ばれ、釣りに慣れた人から好まれることもあります。
トモは後方にスペースが取りやすく、仕掛けを流しやすい場面もあります。
釣り方や船の流し方によっては、釣果につながりやすいこともあります。
ただし、トモが常に一番釣れるわけではありません。
釣り座の有利不利は、潮の流れ、風向き、船の流し方、釣り物、仕掛けの種類によって変わります。
また、船の構造や風向きによっては、トモ側で排気のにおいが気になる場合もあります。
においで酔いやすい人は、事前に船宿へ相談すると安心です。
右舷・左舷
船の左右にも呼び方があります。
船首、つまり船の進行方向を向いたとき、右側が右舷(うげん)、左側が左舷(さげん)です。
たとえば、船の右後ろなら「右舷トモ」、左前なら「左舷ミヨシ」と呼びます。
右舷と左舷のどちらが有利かは、その日の潮や風、船の流し方によって変わります。
初心者の場合は、自分で判断するよりも、船宿や船長におすすめの釣り座を聞くのが確実です。
初心者におすすめの座席は「胴の間」
初めて釣り船に乗る人や、船酔いが心配な人には、胴の間がおすすめです。
胴の間は船の中央付近にあるため、ミヨシに比べて揺れが少ない傾向があります。
船上での仕掛け作りやエサ付け、魚の取り込みなども落ち着いて行いやすくなります。
また、船長や中乗りさんに相談しやすい位置であることも大きなメリットです。
初心者は、仕掛けの扱い方や釣り方が分からない場面が多いため、すぐに質問できる場所にいるだけで安心感が違います。
船酔いが心配な人にも胴の間が無難
船酔いが不安な人は、できるだけ揺れの少ない場所を選びましょう。
一般的には、船の前方であるミヨシは揺れが大きく、中央付近の胴の間は比較的安定しやすいです。
もちろん、海況によってはどの席でも揺れることがあります。
しかし、少しでも酔いにくい場所を選ぶなら、胴の間が無難です。
酔い止めを事前に飲む、睡眠不足を避ける、空腹や満腹を避ける、スマートフォンを見すぎないといった対策も合わせて行うとよいでしょう。
船長に近い席はアドバイスを受けやすい
胴の間は、船長や中乗りさんに近い位置になることがあります。
そのため、初心者にとってはかなり心強い釣り座です。
船釣りでは、船長の合図に合わせて仕掛けを投入したり、指示された水深に仕掛けを合わせたりすることが大切です。
慣れていないうちは、こうした動作が遅れがちです。
船長やスタッフに近い席なら、分からないときにすぐ聞けるため、トラブルを減らしやすくなります。
ミヨシのメリット・デメリット
ミヨシは釣り船の前方にある釣り座です。
人気のある場所ではありますが、初心者には注意点もあります。
ミヨシのメリット
ミヨシのメリットは、前方が開けていて釣りやすい場面があることです。
竿を出す角度に余裕があり、キャストしやすいこともあります。
また、四隅に近い釣り座なので、隣の人との角度を取りやすく、仕掛けを操作しやすい場合もあります。
ルアー釣りやキャスティングを伴う釣りでは、ミヨシが好まれることもあります。
ミヨシのデメリット
ミヨシの最大のデメリットは、揺れやすいことです。
特に波が高い日や風が強い日は、船首が大きく上下します。
そのため、立って釣るのが難しくなったり、仕掛けの操作がしにくくなったりすることがあります。
船酔いしやすい人がミヨシに座ると、早い段階で気分が悪くなる可能性もあります。
初心者の場合、最初からミヨシを選ぶよりも、まずは胴の間で船釣りに慣れるほうが安心です。
トモのメリット・デメリット
トモは船の後方にある釣り座です。
人気が高い席の一つですが、こちらも万能ではありません。
トモのメリット
トモは後方にスペースが取りやすく、釣りやすいと感じる人が多い場所です。
仕掛けを流す釣りでは、船の流し方や潮の向きによって有利になることがあります。
また、船の角に近い場所であれば、隣との干渉が少なく、仕掛けを扱いやすい場合もあります。
そのため、釣りに慣れた人から人気が出やすい釣り座です。
トモのデメリット
トモが常に釣れるとは限りません。
釣果に有利な席は、その日の潮、風、船の流し方、釣り物によって変わります。
たとえば、ある時間帯はトモ側が有利でも、潮が変われば別の席が釣れやすくなることもあります。
また、船によっては後方に排気のにおいが流れてくる場合があります。
排気や燃料のにおいで酔いやすい人は、トモを避けたほうがよい場合もあります。
釣り座の有利不利は釣り物や流し方で変わる
釣り船の座席選びでよくある誤解が、「この席なら必ず釣れる」という考え方です。
実際には、釣り座の有利不利はかなり流動的です。
潮の流れで有利な席は変わる
船釣りでは、潮の流れによって仕掛けの入り方が変わります。
潮がどちらに流れているかによって、魚に先に仕掛けが届きやすい席も変わります。
そのため、右舷が有利な日もあれば、左舷が有利な日もあります。
また、同じ日でも潮止まりや潮変わりによって状況が変化します。
船の流し方でも変わる
釣り船は、釣り物やポイントに合わせてさまざまな流し方をします。
アンカーを打つ釣り、スパンカーで船を立てる釣り、風や潮に任せて流すドテラ流しなど、船の動かし方によって有利な釣り座は変わります。
そのため、単純に「ミヨシが有利」「トモが有利」とは言い切れません。
釣り物によっても適した席は違う
アジ、タチウオ、マダイ、イカ、カワハギ、青物、ルアー釣りなど、釣り物によって釣り方は異なります。
胴付き仕掛け、天秤仕掛け、テンヤ、ジギング、キャスティングなど、仕掛けや釣法によっても釣りやすい席は変わります。
初心者の場合は、釣り座の有利不利を自分で判断するのは難しいため、予約時に船宿へ相談するのが最も確実です。
釣り船の座席の決め方
釣り船の座席は、船宿によって決め方が異なります。
同じ地域でも船宿ごとにルールが違うことがあるため、初めて利用する場合は事前に確認しておきましょう。
先着順
受付や到着順で好きな釣り座を選ぶ方式です。
早く到着した人ほど希望の席を取りやすくなります。
人気のある釣り座を狙う人は、早めに船宿へ行くことが多いです。
ただし、船宿によっては早すぎる到着を推奨していない場合もあるため、ルールを確認しておきましょう。
予約順
予約した順番で釣り座を選べる方式です。
早めに予約すれば希望の席を取りやすくなります。
人気の釣り物や週末の釣行では、早めの予約が有利になることがあります。
抽選・くじ引き
公平性を重視して、当日に抽選やくじ引きで釣り座を決める船宿もあります。
この方式では、早く到着しても必ず希望の席に入れるわけではありません。
ただし、全員に平等なチャンスがあるため、人気船では採用されることがあります。
船長指定
船長が釣り座を指定する方式もあります。
人数、経験者と初心者のバランス、グループの配置、釣り物の特性、安全面などを考えて配置されます。
初心者や子ども連れの場合、船長指定のほうが安心できる席に入れてもらえることもあります。
グループで並べるように調整される場合もある
2人以上で乗る場合は、横並びや近い席にしてもらえることがあります。
ただし、混雑状況によっては希望通りにならないこともあります。
グループで行く場合は、予約時に「2人で横並び希望」「初心者がいるので近い席がよい」と伝えておきましょう。
目的別のおすすめ座席
釣り座は、何を重視するかによって選び方が変わります。
初心者、船酔いが心配な人、釣果を重視したい人など、目的別に考えると選びやすくなります。
初心者におすすめの座席
初心者におすすめなのは、胴の間です。
揺れが少なく、船長や中乗りさんにも相談しやすいため、初めての船釣りでも安心して釣りができます。
最初から人気の四隅を狙うよりも、まずは船の動きや釣りの流れに慣れることを優先したほうがよいでしょう。
船酔いが心配な人におすすめの座席
船酔いが心配な人にも、胴の間がおすすめです。
船の前方であるミヨシは揺れが大きくなりやすいため、船に慣れていない人には負担になることがあります。
また、排気のにおいが苦手な人は、船によってはトモも注意が必要です。
不安がある場合は、予約時に船宿へ「船酔いが心配です」と伝えておくとよいでしょう。
釣果を重視したい人におすすめの座席
釣果を重視する場合、必ずこの席がよいとは言い切れません。
ミヨシやトモなどの四隅は人気がありますが、釣り座の有利不利は潮や風、船の流し方によって変わります。
釣果を意識して席を選びたい場合は、船長や船宿に、
「今日の釣り物ならどの席が釣りやすいですか?」
「初心者でも釣りやすい席はありますか?」
と聞くのがおすすめです。
子ども連れ・家族連れにおすすめの座席
子ども連れや家族連れの場合も、胴の間が安心です。
揺れが少なく、船長やスタッフの目が届きやすい場所を選ぶと、安全面でも安心できます。
また、子どもは船上で動き回ると危険です。
座席の周りに荷物を広げすぎず、通路をふさがないように注意しましょう。
2人・グループにおすすめの座席
2人やグループで釣行する場合は、並んで座れるかどうかが重要です。
初心者同士で離れてしまうと、仕掛けの準備やトラブル対応が大変になることがあります。
予約時に、グループであること、できれば近くの席を希望することを伝えておきましょう。
船宿によっては、グループがまとまって釣れるように調整してくれる場合があります。
釣り座で注意したいマナー
釣り船では、限られたスペースで複数人が釣りをします。
快適に釣りを楽しむためには、釣り座でのマナーも大切です。
隣の人に挨拶する
乗合船では、知らない人同士が隣り合って釣りをします。
釣り座に入ったら、隣の人に軽く挨拶しておきましょう。
最初に一言あるだけで、仕掛けが絡んだときや魚の取り込みで協力が必要なときも、やり取りがしやすくなります。
荷物を広げすぎない
釣り船の上はスペースが限られています。
クーラーボックス、タックルボックス、ロッドケース、バッグなどを広げすぎると、隣の人の邪魔になったり、通路をふさいで危険になったりします。
荷物は自分の釣り座の範囲にまとめ、移動の妨げにならないようにしましょう。
船長の合図に合わせて投入する
船釣りでは、船長の合図に合わせて仕掛けを投入することが大切です。
周囲より大きく遅れて投入したり、勝手なタイミングで仕掛けを落としたりすると、隣の人と糸が絡む原因になります。
特に初心者は、船長のアナウンスをよく聞き、分からない場合は周囲の人や中乗りさんに確認しましょう。
オマツリしたら早めに声をかける
船釣りでは、仕掛けや道糸が隣の人と絡むことがあります。
これをオマツリと呼びます。
オマツリはどの釣り座でも起こる可能性があります。
大切なのは、絡んだときに放置しないことです。
糸が絡んだと感じたら、すぐに隣の人へ声をかけましょう。
無理に引っ張ると、仕掛けが切れたり、相手の道具を傷めたりすることがあります。
ほどけない場合は、自分たちだけで無理をせず、中乗りさんや船長に助けてもらいましょう。
釣り座選びで失敗しないコツ
釣り座選びで失敗しないためには、釣果だけを基準にしないことが大切です。
特に初心者は、釣れると言われる人気席よりも、安全で釣りやすく、船酔いしにくい席を選ぶほうが満足度が高くなります。
予約時に希望を伝える
初めて利用する船宿では、予約時に釣り座について確認しておくと安心です。
たとえば、次のように伝えるとよいでしょう。
「初心者ですが、おすすめの席はありますか?」
「船酔いが心配なので、揺れにくい席を希望できますか?」
「2人で行くので、できれば並びでお願いできますか?」
「釣り座は先着順ですか? 抽選ですか?」
船宿によってルールが違うため、事前確認はとても重要です。
無理に人気席を狙わない
ミヨシやトモなどの四隅は人気がありますが、初心者にとって必ずしも最適とは限りません。
ミヨシは揺れやすく、トモも船や風向きによってはにおいが気になることがあります。
また、釣果に有利な席は当日の状況によって変わります。
初心者はまず、胴の間で落ち着いて釣ることを優先しましょう。
当日の海況も考える
同じ釣り座でも、海況によって快適さは変わります。
凪の日であればミヨシでも釣りやすい場合がありますが、波がある日はかなり揺れることがあります。
風が強い日や波が高い日は、安定感のある胴の間を選んだほうが安心です。
釣り船の座席選びのまとめ
釣り船の座席は、船釣りでは釣り座と呼ばれます。
船の前方はミヨシ、中央付近は胴の間、後方はトモです。
また、船首を向いて右側を右舷、左側を左舷と呼びます。
初心者や船酔いが心配な人には、揺れが比較的少なく、船長や中乗りさんに相談しやすい胴の間がおすすめです。
ミヨシやトモなどの四隅は人気がありますが、常に釣果がよいとは限りません。
釣り座の有利不利は、潮、風、船の流し方、釣り物、仕掛けによって変わります。
そのため、初めて釣り船に乗る場合は、予約時に船宿へ相談するのが一番確実です。
迷ったときは、
- 初心者・船酔いが心配な人は胴の間
- 広く釣りたい人や慣れている人はミヨシやトモも選択肢
- 釣果重視なら船長や船宿に相談
という考え方で選ぶと失敗しにくいでしょう。
以上、釣り船の座席についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









