ジェットスキー(水上バイク)は、事業で使用している実態と合理性が明確であれば、条件付きで経費(または損金)として認められる可能性があります。
一方で、趣味性が極めて強い資産であるため、税務署から厳しく確認されやすい代表例でもあります。
以下では、税務上の考え方に沿って、正確かつ実務的に整理します。
経費として認められるための大原則
ジェットスキーに限らず、経費性が認められるかどうかは、次の3点が軸になります。
事業との直接的な関連性
- 売上獲得・業務遂行のために必要であること
- 「あると便利」「趣味だが仕事にも使う」程度では不十分
使用実態を客観的に説明できること
- いつ、何の目的で、どの業務に使ったかを説明できる
- 第三者(税務署)が見ても合理的と判断できる
私的利用が明確に区分されていること
- 私用と混在する場合は、家事按分が必須
- 按分割合に合理的根拠があること
経費として認められやすいケース
マリン・海洋レジャー関連事業
- ジェットスキー販売・修理
- レンタル事業
- マリンツアー・スクール運営
この場合、ジェットスキーは主たる事業用資産となるため、購入費・維持費ともに経費性は高くなります。
広告・コンテンツ制作目的(条件付き)
- 動画制作
- SNS・Web広告用素材
- インフルエンサー・メディア運営
成立のポイントは以下です。
- 継続的にコンテンツ制作に使われている
- 実際に集客・広告・案件獲得につながっている
- 使用実績(撮影データ・掲載履歴)が残っている
「一度撮影しただけで、あとは私用」という形は否認リスクが高くなります。
否認されやすいケース
- 完全なレジャー・趣味目的
- 事業内容と明確な関係がない業種
- 使用記録や証拠が存在しない
- 「将来仕事に使う予定」という抽象的説明のみ
これらの場合、経費として認められる可能性は極めて低くなります。
勘定科目と資産区分(重要な修正点)
本体購入費の勘定科目
ジェットスキーは陸上車両ではないため、原則として「船舶」として資産計上するのが実務上自然です。
※会計ソフト上で「船舶」科目がない場合に「車両運搬具」で処理される例もありますが、税務上の説明としては「船舶」のほうが合理的です。
減価償却と耐用年数
耐用年数
ジェットスキーは、耐用年数表上の「モーターボート」区分に該当すると整理されることが多く、耐用年数4年とされるケースが一般的です。
ただし、これは資産の性状・区分が前提となるため、必ずしも一律ではありません。
「10万円以上=必ず償却」ではない点に注意
前回説明で誤解を招きやすかった点ですが、実際の扱いは次の通りです。
- 原則:10万円以上は資産計上・減価償却
- 例外:
- 20万円未満 → 一括償却資産(3年均等)
- 30万円未満 → 要件を満たせば少額減価償却資産の特例(青色申告等)
つまり、金額や申告区分によっては取得年度に全額費用処理できるケースもあります。
維持費の扱い
事業使用分に限り、以下は経費対象になります。
- 燃料費
- 修理・メンテナンス費(修繕費)
- 保管料・マリーナ使用料
- 保険料
私用が混在する場合は、使用割合に応じて按分します。
税務調査で特に見られるポイント
ジェットスキーは調査時に以下を重点確認されやすいです。
- 事業内容との整合性
- 実際の使用頻度
- 売上との結びつき
- 私的利用の割合
- 証拠資料の有無
有効な証拠例
- 使用日誌
- 撮影・制作データ
- Web掲載履歴
- 案件資料・契約書
法人のほうが有利か?
一般論として、法人のほうが説明の幅は広がりますが、法人だから自動的に認められるわけではありません。
役員の私的利用と判断されれば、法人であっても否認・役員賞与認定等のリスクがあります。
まとめ
- ジェットスキーは条件付きで経費計上可能
- 最大の判断基準は「事業関連性」と「説明可能性」
- 勘定科目は原則「船舶」
- 耐用年数は4年になるケースが多いが前提整理が必要
- 私的利用がある場合は必ず按分
- 証拠がないと否認リスクは極めて高い
以上、ジェットスキーが経費で落ちる条件についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。














