「ジェットスキーで何海里まで行けるのか」という疑問は、① 法律(航行区域)、② 船の性能、③ 安全面・実務判断
この3つを切り分けないと、ほぼ必ず誤解が生じます。
特に日本では、「○海里まで行ける」という単純な上限距離が決められているわけではなく、船舶検査証書に記載された航行区域の条件によって判断されます。
以下、順に正確に整理します。
法律上の結論|「沖へ出られる距離」は原則2海里以内
最重要ポイント
一般的な水上オートバイ(ジェットスキー)が沖方向へ航行できる範囲は、
海岸から2海里以内(約3.7km)
が実質的な上限になります。
この点は、多くの利用者が混同しがちですが、免許の種類で決まっているのではなく、船舶検査証書に記載された「航行区域」によって定まります。
なぜ「2海里」が基準になるのか
水上オートバイは、小型船舶の中でも特殊小型船舶に分類されます。
この船種の航行区域は、多くの場合、次のいずれか(または組み合わせ)で記載されます。
平水区域
- 海岸から2海里以内の水域
- 港湾内・湾内・比較的閉鎖された海域を想定
沿海区域(制限付き・いわゆる限定沿海)
- 「安全に発着できる任意の地点」から15海里以内
- ただし、海岸から沖合2海里以内という条件が併記されるのが一般的
このため条文上は「15海里」という数字が出てきますが、沖方向への拡張を意味するものではありません。
実務上は「沿岸線に沿って移動するのは可/沖へ離れるのは2海里まで」という整理になります。
この考え方は、日本小型船舶検査機構(JCI)の公開資料・Q&Aでも一貫しています。
よくある誤解と、その正確な整理
誤解①:高性能モデルなら沖に出られる
→ 誤り
- GPS・無線・大容量タンクを搭載していても
- 航行区域が自動的に拡張されることはありません
航行区域は装備ではなく、船種と検査区分で決まります。
誤解②:島の近く2海里以内に入ればOK
→ 誤りになるケースが多い
判断基準は「目的地の海岸」ではなく、
出航した地点から沖合2海里を超えていないか
です。
そのため、
- 出発点と目的地がそれぞれ2海里以内でも
- 途中で沖合2海里を超えるラインを横切れば不可
というケースが実際にあります(典型例:半島〜近隣島)。
誤解③:免許があれば距離制限は緩い
→ 不正確
免許は「操縦できる資格」であり、どこまで行けるかは船の航行区域が決めます。
性能上はどこまで走れるのか(※法的可否とは別)
ここからは法律とは切り離した話です。
近年の4ストローク水上オートバイは、
- 燃料容量:60〜70L前後
- 条件が良ければ数十kmの連続航行が可能
というモデルも存在します。
ただしこれは、
- 無風
- 凪
- 一定速度
- 帰航燃料を無視
という理想条件下の理論値に過ぎません。
法的に許されるか実際に安全かとはまったく別問題です。
安全面から見た「現実的な限界」
水上オートバイは構造上、
- エンジン停止=即漂流
- 船体が軽く、風・波・潮流の影響を強く受ける
- 体力消耗が激しく、長時間航行に不向き
という特性があります。
そのため実務的には、
- 1海里以内:余裕あり
- 2海里以内:法的・実務的な上限
- それ以上:遭難リスクが急激に増加
という評価が一般的です。
まとめ
- 法的に沖へ出られる距離
→ 原則として 海岸から2海里以内 - これは免許ではなく、船舶検査証書の航行区域で決まる
- 装備や性能が良くても、航行区域は拡張されない
- 「行ける距離」ではなく「戻れる距離」で考えるべき乗り物
ジェットスキーは、
外洋を移動する交通手段ではなく、沿岸域を楽しむレジャー機材
という位置づけを外れると、一気に危険性が高まります。
以上、ジェットスキーは何海里までいけるのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。














