「ギャングウェイ(gangway)」とは、船と陸との間をつなぐ可動式の通路や階段のことで、乗客や乗組員が安全に船に乗り降りできるように設置される装置です。
特に港に停泊中の船で使われ、英語では「gangway」と書きますが、日本語でもそのまま「ギャングウェイ」と表記・呼称されることが多いです。
目次
ギャングウェイの役割と基本構造
役割
- 船と岸壁(陸地)との移動手段の確保
- 人員の乗船・下船のための通路
- 場合によっては貨物や手荷物の移動にも使われる
- 緊急時の脱出路として使われることもある
構造
ギャングウェイの構造はシンプルですが、以下のような要素を含みます。
部位 | 説明 |
---|---|
通路(スロープ状) | 船と岸を結ぶ通り道。金属製や木製、アルミ製のものが多い。 |
手すり(ハンドレール) | 安全のために両側に取り付けられている手すり。 |
固定部(ローラーや支点) | 船側と陸側で高低差があっても安定するように可動性を持たせている。 |
ネットやフェンス | 落下防止用。特に人が多い場所では必須。 |
ギャングウェイの種類
船の種類や使用目的に応じて、さまざまなタイプがあります。
可搬式ギャングウェイ
- 船に積まれており、停泊中に岸壁に向けて設置される
- 主に中型船や小型フェリー、クルーズ船で使用
- 金属フレーム+滑り止め付き床+手すり付きが一般的
岸壁常設型(陸側設置)
- 港の設備として常備されており、船のサイズに合わせて調整する
- コンテナ船など大きな商船でよく見られる
- 昇降機構がついていることもある
タラップ(トラップ)
- 船のサイドに垂直にかけられる階段型の簡易ギャングウェイ
- 小型船やヨット、漁船などで使われることが多い
- 「ラダー(ladder)」とも呼ばれるが、タラップは日本語化された呼称
ギャングウェイに関する用語・慣習
- 「ギャングウェイを降ろす」:船が接岸した際に最初に行う作業
- 「ギャングウェイオフィサー」:大型船では、乗降者の管理やセキュリティのためにギャングウェイ付近に人員を配置する
- 「ギャングウェイカード」:クルーズ船などでは、乗客の出入りを管理するためのIDカード(チェックイン・アウトに使用)
豆知識:名前の由来
「gangway」という語は、英語で「通路」「通り道」を意味します。
「gang」は集団や通る道、「way」は「道」。つまり「人が通る道」という意味合いが名前に込められています。
航海用語としての歴史は古く、帆船時代からすでに船の乗り降りにはこのような簡易通路が使用されていたとされています。
関連用語との違い
用語 | 違い |
---|---|
タラップ(trap) | 主に階段型で、より簡易な構造。ギャングウェイよりも狭いことが多い。 |
ランプロード(ramp road) | 車両や重機の積み込みに使われる大型のスロープ。人専用ではない。 |
ブリッジ(bridge) | 空港の搭乗橋(ボーディングブリッジ)に近い機能を果たすこともあるが、通常は船舶では使わない表現。 |
実際の運用例
- クルーズ船では、ギャングウェイは乗客の導線とセキュリティ確保のために厳重に管理され、港ごとに設置・撤去が行われます。
- 商船や貨物船では、乗組員の移動や関係者の上陸のための手段として設けられ、非常時には脱出経路にもなります。
まとめ
ギャングウェイとは
- 船と岸をつなぐ通路(階段またはスロープ)
- 船の種類や港の設備によって形状や構造が異なる
- 安全性・可動性・耐久性が求められる
- クルーズ船、貨物船、フェリーなどすべての船で不可欠な装備
以上、船のギャングウェイについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。