JCIの船舶検査とは
JCIの船舶検査とは、小型船舶が安全に航行できる状態かどうかを確認するために行われる検査です。
JCIは「日本小型船舶検査機構」の略称で、主として総トン数20トン未満の小型船舶について、国に代わって検査や登録などの業務を行っています。
ただし、総トン数20トン以上でも一定の条件を満たす船舶が対象となる場合や、反対に総トン数20トン未満でも検査対象外となる船舶があります。
そのため、すべての船舶を単純に「20トン未満ならJCIの対象」と判断するのではなく、船舶の用途や大きさなども含めて確認することが重要です。
船舶検査では、船体やエンジンだけでなく、救命設備、消防設備、灯火、航海用具などについても、安全基準に適合しているか確認されます。
検査に合格すると、船舶検査証書や船舶検査手帳などが交付され、定められた条件の範囲内で航行できるようになります。
JCIの船舶検査には4つの種類がある
JCIが行う代表的な船舶検査には、主に次の4種類があります。
- 定期検査
- 中間検査
- 臨時検査
- 臨時航行検査
それぞれ検査を受けるタイミングや目的が異なるため、違いを理解しておくことが大切です。
定期検査
定期検査とは、船舶を初めて航行させる場合や、船舶検査証書の有効期間が満了するときに受ける検査です。
JCIの船舶検査の中では比較的広い範囲を確認する検査で、船体、機関、各種設備などについて総合的な確認が行われます。
一般的なプレジャーボートなど、旅客定員12人以下の旅客船以外の小型船舶では、原則として6年ごとに定期検査を受けます。
ただし、船舶の用途や旅客定員などによって検査周期が異なる場合があるため、実際の検査時期は船舶検査手帳で確認する必要があります。
中間検査
中間検査とは、定期検査と次の定期検査との間に行われる検査です。
一般の小型船舶では、6年間の定期検査周期の中間にあたる時期に中間検査を受けます。
そのため、一般的なプレジャーボートであれば、
「定期検査 → 約3年後に中間検査 → 約3年後に定期検査」
という流れになるのが基本です。
つまり、定期検査そのものは6年ごとですが、実際には約3年ごとに定期検査または中間検査を受けることになります。
中間検査は定期検査より確認範囲が限定されていますが、船舶の状態や設備などによって確認内容が追加される場合があります。
また、船舶検査証書の有効期間が残っていたとしても、所定の中間検査を受けずに検査時期を過ぎたまま航行することはできません。
臨時検査
臨時検査とは、船舶の構造や機関、設備などに重要な変更を行った場合などに受ける検査です。
たとえば、次のようなケースでは臨時検査が必要になる可能性があります。
- 船体の大規模な改造を行った
- 船体の強度や水密性に関係する修理を行った
- エンジンなど主要機関を交換した
- 操舵装置など重要な設備を変更した
- 航行区域を変更した
- 最大搭載人員など検査証書の記載内容を変更した
- 海難や火災などによって重大な損傷を受けた
ただし、エンジンや設備を交換したからといって、必ず臨時検査が必要になるとは限りません。
交換する機器の仕様や船舶検査手帳の記載内容などによって扱いが異なるため、大きな改造や機関交換を行う場合は事前にJCIへ確認すると安心です。
臨時航行検査
臨時航行検査とは、船舶検査証書がない船舶を、特定の目的で一時的に航行させるための検査です。
たとえば、
「検査を受けるために検査場所まで回航したい」
「修理や整備のために一定区間だけ航行したい」
といったケースで利用されることがあります。
通常の船舶検査に代わる制度ではなく、特定の目的や航路などに限定して一時的な航行を認めてもらうための仕組みです。
一般的なプレジャーボートの船舶検査周期
一般的なプレジャーボートなど、旅客定員12人以下の旅客船以外の小型船舶では、原則として6年ごとに定期検査を受けます。
その途中に中間検査があるため、実際の検査サイクルは次のようになります。
定期検査から約3年後に中間検査
定期検査に合格したあと、約3年後に中間検査の時期が来ます。
中間検査に合格すると、その後さらに約3年航行し、次の定期検査を受けます。
したがって、一般的な小型船舶では約3年ごとに何らかの船舶検査を受けると考えると分かりやすいでしょう。
正確な検査時期は船舶検査手帳で確認する
船舶ごとの正確な検査時期については、船舶検査手帳で確認できます。
また、船体には「次回検査時期指定票」が貼り付けられており、次回の検査時期を確認できるようになっています。
検査時期が近づくとJCIから受検案内が送られてくる場合もありますが、住所変更などによって届かない可能性もあります。
そのため、受検案内だけに頼らず、船舶検査手帳で検査時期を管理しておくことが大切です。
JCIの船舶検査を受ける流れ
JCIの定期検査や中間検査を自分で申し込む場合は、一般的に次のような流れで進めます。
船舶検査手帳で検査時期を確認する
まず、今回受ける検査が定期検査なのか中間検査なのかを確認します。
船舶検査手帳や次回検査時期指定票を確認し、受検可能な期間を把握しておきましょう。
船舶検査申請書を準備する
次に、船舶検査申請書などの必要書類を準備します。
継続検査の場合、JCIから送られてくる受検案内に、船舶情報が印字された申請書が同封されていることがあります。
申請書を紛失した場合などは、JCIの公式サイトから書式を入手することも可能です。
検査手数料を支払う
必要な検査手数料を支払います。
JCIでは、郵便局や指定銀行などから手数料を振り込む方法が案内されています。
船舶検査関係の法定手数料は非課税です。
振込み後に発行される手数料払込証明書などが必要になるため、紛失しないよう注意しましょう。
管轄するJCI支部へ申請する
必要書類をそろえたら、原則として船の保管場所を管轄するJCI支部へ提出します。
所有者の住所を基準にするのではなく、船舶の保管場所を基準として管轄支部を確認するのが基本です。
郵送で申請できる場合もあります。
検査日時と場所を調整する
申請後、担当検査員と検査日時や検査場所について調整します。
継続検査の場合、JCIでは検査の前日または前々日に、担当検査員から時間や場所を確認する連絡があると案内しています。
船舶の種類によっては、JCI支部への持込検査が利用できる場合もあります。
船体や法定備品を事前に確認する
検査当日までに、船体やエンジンだけでなく、必要な法定備品も点検しておきましょう。
代表的なものとしては、次のような設備があります。
- 救命胴衣
- 救命浮環などの救命設備
- 消火器などの消防設備
- 信号設備
- 航海用具
- 航海灯などの灯火設備
- バッテリー
- エンジン
- 操舵装置
ただし、必要な設備はすべての船舶で共通ではありません。
航行区域、用途、船の大きさ、最大搭載人員などによって必要な設備が異なるため、自分の船の船舶検査手帳やJCIの法定備品一覧を確認する必要があります。
実際に船舶検査を受ける
検査当日は、JCIの検査員が船体や機関、設備などを確認します。
必要な設備が不足していたり、機関や灯火類に不具合があったりすると、その場で合格できない場合があります。
検査前にエンジンの始動状態や灯火の点灯、法定備品の有効期限などを確認しておくと、スムーズに受検しやすくなります。
JCIの船舶検査にかかる費用
JCIの船舶検査手数料は、船の長さや旅客定員、検査の種類などによって異なります。
また、2026年7月1日以降の申請から手数料が改定されています。
そのため、古いWebサイトやブログに掲載されている金額をそのまま参考にしないよう注意が必要です。
旅客定員12人までの定期検査・中間検査料金
2026年7月1日以降の申請について、旅客定員12人までの小型船舶の主な検査手数料は次のとおりです。
| 船の長さ | 定期検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 13,100円 | 5,900円 |
| 3m以上5m未満 | 19,000円 | 9,500円 |
| 5m以上10m未満 | 27,800円 | 17,200円 |
| 10m以上20m未満 | 35,200円 | 22,200円 |
| 20m以上30m未満 | 49,800円 | 32,300円 |
たとえば、船の長さが5m以上10m未満で、旅客定員12人までの一般的なプレジャーボートなら、
定期検査は27,800円、
中間検査は17,200円です。
旅客定員13人以上の検査料金
旅客定員13人以上の船舶では、検査手数料が高くなります。
| 船の長さ | 定期検査 | 中間検査 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 18,700円 | 10,200円 |
| 3m以上5m未満 | 27,300円 | 15,400円 |
| 5m以上10m未満 | 39,100円 | 25,700円 |
| 10m以上20m未満 | 52,800円 | 34,000円 |
| 20m以上30m未満 | 72,200円 | 49,300円 |
旅客を多く乗せる船舶では、一般のプレジャーボートと検査周期や検査内容が異なることもあるため注意しましょう。
臨時検査・臨時航行検査の料金
臨時検査や臨時航行検査については、船の長さによって次の手数料が設定されています。
| 船の長さ | 手数料 |
|---|---|
| 3m未満 | 5,600円 |
| 3m以上5m未満 | 6,400円 |
| 5m以上10m未満 | 7,600円 |
| 10m以上20m未満 | 9,500円 |
これらはJCIの料金表上、「臨検回数1回につき」の手数料です。
臨時検査の内容によっては複数回の検査が必要になる可能性もあるため、実際の費用については申請前にJCIへ確認するとよいでしょう。
船舶検査ではJCIの手数料以外の費用もかかる
実際の船検費用は、JCIへ支払う検査手数料だけとは限りません。
船の状態や保管環境などによって、別途費用が発生する場合があります。
法定備品の購入・交換費用
救命設備や消防設備などが不足していたり、有効期限が切れていたりする場合は、新しいものを購入する必要があります。
特に消火器や信号設備などは、検査前に使用期限や状態を確認しておきましょう。
船体やエンジンの整備費用
エンジンに不具合があったり、操舵装置などに問題があったりする場合は、検査前に整備や修理が必要になります。
部品交換が必要になると、検査手数料より整備費の方が高くなるケースもあります。
マリーナの上架・下架費用
検査内容や船舶の状態によっては、船を陸上へ上架する必要が生じる場合があります。
マリーナなどで上架・下架を依頼すると、その費用が別途発生します。
申請代行や立会い費用
ボート販売店やマリーナ、専門業者などに船舶検査の申請や立会いを依頼する場合は、代行手数料が必要になることがあります。
自分で手続きを行えば代行費用はかかりませんが、書類作成やJCIとの日程調整などを任せたい場合には便利です。
検査に合格すると交付される書類
船舶検査に合格すると、検査内容に応じて各種書類などが交付されます。
代表的なものは次のとおりです。
- 船舶検査証書
- 船舶検査手帳
- 船舶検査済票
- 次回検査時期指定票
定期検査の場合には、船舶検査済票が交付されます。
船舶検査済票や次回検査時期指定票は、定められた位置に表示する必要があります。
また、航行する際には、船舶検査証書と船舶検査手帳を船内に備えておかなければなりません。
中古艇では船検と名義変更の両方を確認する
中古のプレジャーボートを購入した場合は、船舶検査だけでなく、登録や名義変更についても確認する必要があります。
船検の有効期間が残っていたとしても、所有者が変われば移転登録や船舶検査証書の書換えなどが必要になる場合があります。
船検が残っていても名義変更は別手続き
中古艇を購入するときに注意したいのが、
「船検が残っているから、そのまま何もしなくても乗れる」
とは限らない点です。
所有者が変われば、船舶の登録状況に応じて移転登録や証書の書換えなどが必要です。
そのため、中古艇を購入する場合には、
- 船舶検査証書
- 船舶検査手帳
- 次回検査時期
- 登録上の所有者
- 船籍港
- 船舶番号
などを確認しておきましょう。
検査時期と名義変更が重なる場合もある
中古艇購入時にちょうど定期検査や中間検査の時期を迎えている場合は、名義変更と船舶検査をあわせて進めるケースもあります。
必要な手続きは船の登録状況や検査時期によって異なるため、中古艇購入時には現在の船舶検査証書と船舶検査手帳を確認することが重要です。
JCIの船舶検査を受ける際の注意点
船舶検査をスムーズに終えるためには、検査当日だけでなく事前準備が重要です。
中間検査を忘れない
一般の小型船舶では、船舶検査証書の有効期間が6年間あるため、
「6年間は検査を受けなくてもよい」
と誤解されることがあります。
しかし、途中で中間検査を受ける必要があります。
所定の中間検査を受けずに検査時期を過ぎた場合は、船舶検査証書の有効期間が残っていても航行できません。
船舶検査手帳を確認し、検査時期を忘れないよう管理しましょう。
エンジン交換は自己判断しない
船外機などを交換するときは、
「同じくらいの馬力だから問題ない」
と自己判断しない方が安全です。
交換する機関の仕様や船舶検査手帳への記載内容によっては、臨時検査や証書関係の手続きが必要になる可能性があります。
エンジン交換や大きな改造を行う場合は、作業前にJCIへ確認すると安心です。
法定備品を事前に点検する
救命胴衣や消火器、信号設備などが不足していると、検査当日に指摘される可能性があります。
また、備品がそろっていても、有効期限切れや劣化によって使用できない状態では問題になることがあります。
検査前に船舶検査手帳と照合しながら、一つずつ確認しておくとよいでしょう。
JCIの船舶検査は約3年ごとの確認が基本
JCIの船舶検査には、定期検査、中間検査、臨時検査、臨時航行検査という主な4種類があります。
一般的なプレジャーボートでは、原則として6年ごとに定期検査を受け、その中間時期に中間検査を受けます。
そのため、実際には約3年ごとに定期検査または中間検査を受けることになります。
2026年7月1日以降は船舶検査手数料が改定されており、たとえば旅客定員12人まで、船の長さ5m以上10m未満の場合は、定期検査が27,800円、中間検査が17,200円です。
ただし、実際に必要となる総額には、法定備品の購入費、整備費、上架費、申請代行費などが加わる場合があります。
また、中古艇では船検だけでなく、名義変更や移転登録、船舶検査証書の書換えなどが必要になるケースもあります。
検査時期や必要書類は船舶ごとに異なるため、船舶検査手帳を確認し、不明な点がある場合は船の保管場所を管轄するJCI支部へ確認したうえで手続きを進めると安心です。
以上、JCIの船舶検査の種類や流れについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




