潜水艦の乗組員はどんなご飯を食べている?
潜水艦の乗組員が食べるご飯というと、缶詰や保存食ばかりを想像する人もいるかもしれません。
しかし、現代の潜水艦では調理設備が整えられており、艦種や海軍、任務内容によって違いはあるものの、肉料理や魚料理、野菜料理、米飯、パン、スープなど、比較的幅広い食事が提供されています。
潜水艦では数週間から長期間にわたって限られた空間で生活することがあるため、食事は栄養補給だけでなく、乗組員の士気や気分転換を支える重要な役割も担っています。
潜水艦には調理設備が備えられている
艦内の厨房で食事を調理する
現代の潜水艦には、乗組員の食事を作るための調理区画があります。
英語では一般に「galley(ギャレー)」と呼ばれる場所です。
潜水艦内部はスペースが限られているため、陸上の厨房ほど広くはありません。
それでも、艦の設計に応じて加熱調理や炊飯などに必要な設備が備えられています。
そのため、潜水艦では毎食レトルト食品や缶詰だけを食べているわけではありません。
保存している食材を組み合わせながら、できるだけ変化のある食事が作られます。
専門の調理担当者が食事を作る
潜水艦では、調理や食料管理を担当する乗組員がいます。
海上自衛隊では、艦艇などで給食業務を担当する隊員がおり、乗組員に必要な栄養を補給するための食事を準備します。
また、海外の海軍でも潜水艦に調理を専門とする乗組員が配置され、献立作成、調理、食材管理などを担当しています。
限られた食材と設備で多数の乗組員の食事を毎日準備するため、料理の技術だけでなく、食材を計画的に使用する能力も重要です。
潜水艦ではどのようなものを食べる?
米やパンなどの主食
主食は国や海軍の食文化によって異なります。
日本では米飯が中心となることがありますが、欧米の潜水艦ではパンやパスタ、ジャガイモなども一般的です。
米、乾燥パスタ、小麦粉などの乾燥食品は比較的長期間保存できるため、補給が限られる潜水艦でも扱いやすい食材です。
特に米は常温で保存しやすく、水と加熱設備があれば炊飯できるため、日本の潜水艦でも重要な主食の一つとなります。
肉や魚を使った料理
潜水艦では肉類や魚介類も食事に使用されます。
牛肉、豚肉、鶏肉などは、冷蔵または冷凍した状態で搭載することができます。
魚介類についても、保存期間を延ばすために冷凍品や加工品が利用されることがあります。
そのため、艦内では肉料理や魚料理なども作ることができます。
ただし、利用できる食材や料理の種類は、冷蔵・冷凍設備の容量、航海期間、補給計画などによって変わります。
野菜や果物も積み込まれる
出港時には、野菜や果物などの生鮮食品も搭載されることがあります。
例えば、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、キャベツなど、比較的保存しやすい野菜は長期間の食料管理にも向いています。
一方、葉物野菜など傷みやすい食品は長期保存が難しいため、航海が進むにつれて利用できる量が減っていきます。
その後は、冷凍野菜、乾燥野菜、缶詰など保存性の高い食品を組み合わせて献立を作ります。
航海の前半と後半では食事内容が変わる
出港直後は生鮮食品を利用しやすい
潜水艦は出港前に、任務期間を考慮して食料を積み込みます。
航海の序盤では、野菜や果物などの生鮮食品を比較的多く利用できます。
そのため、出港直後は陸上で食べる料理に近い献立を作りやすい傾向があります。
長期航海では保存食品の割合が増える
航海が長くなると、生鮮食品は徐々に少なくなっていきます。
そのため、冷凍食品、缶詰、乾燥食品など、長期間保存できる食材の重要性が高まります。
ただし、必ず「生鮮食品、冷蔵食品、冷凍食品、缶詰」という一定の順番ですべての食材を消費するわけではありません。
実際には、それぞれの食品の消費期限や保存状態、献立、航海予定などを考慮しながら、傷みやすい食材を優先して使用します。
潜水艦では食料をどこに保存する?
冷蔵庫や冷凍庫を使用する
現代の潜水艦には、食材を保存するための冷蔵・冷凍設備が備えられています。
肉や魚、乳製品などの保存にはこうした設備が欠かせません。
一方で、潜水艦内部のスペースには限界があるため、すべての食材を冷蔵・冷凍することはできません。
そのため、
常温で保存できる食材
冷蔵が必要な食材
冷凍して長期保存する食材
などを組み合わせて管理します。
限られた収納スペースを有効活用する
潜水艦では、食料以外にも機関、電子機器、兵器、乗組員の居住設備など、多くの設備を船体内部に収めなければなりません。
そのため、食料の収納スペースにも限りがあります。
長期間の任務に出る潜水艦では、専用の食料保管場所に加え、安全性や衛生、艦の運用に問題がない範囲で利用可能なスペースを活用する場合があります。
特に出港直後は多くの食料を積んでいるため、時間が経って食料が減るにつれて艦内の収納状況も変化していきます。
潜水艦の食事回数は1日3食とは限らない
24時間体制で乗組員が勤務している
潜水艦は、昼夜を問わず24時間体制で運用されます。
航海、機関、監視などの任務を常に継続しなければならないため、乗組員は交代で勤務します。
そのため、全員が一般家庭と同じ時間に朝食、昼食、夕食を取るとは限りません。
食事時間は勤務体系によって異なる
潜水艦でも朝食、昼食、夕食に相当する食事が用意されることはありますが、実際の提供回数や時間帯は海軍や艦の勤務体系によって異なります。
例えば英海軍では、潜水艦の調理担当者が一定間隔で乗組員に食事を用意する事例も紹介されています。
そのため、「潜水艦では必ず1日3食」と考えるのではなく、当直や勤務サイクルに合わせて食事が提供されると理解するほうが正確です。
潜水艦ではカレーも食べる?
海上自衛隊ではカレーが親しまれている
海上自衛隊の食事といえば、カレーが有名です。
潜水艦でもカレーは提供されており、防衛省・海上自衛隊では潜水艦ごとのカレーレシピが紹介されることもあります。
カレーは米、肉、野菜などを組み合わせて作ることができ、大人数分を調理しやすい料理でもあります。
金曜日にカレーを食べる習慣がある
現在の海上自衛隊では、金曜日にカレーを食べる習慣が広く知られています。
「海上では曜日感覚を失いやすいため、曜日を確認する目的でカレーを食べる」と説明されることもあります。
ただし、カレーを食べ始めた本来の理由が、最初から曜日感覚を保つことだけだったと単純に説明するのは正確ではありません。
長い歴史の中で海軍や海上自衛隊の食文化として定着し、現在では金曜日の定番メニューとして親しまれています。
潜水艦では水も重要な資源になる
調理や飲料に真水が必要
潜水艦では、飲料だけでなく炊飯、調理、洗浄などにも真水が必要です。
現代の潜水艦には、海水から真水を作る造水設備を備えているものがあります。
そのため、出港時に搭載した水だけですべての生活を賄うとは限りません。
水事情は潜水艦の種類によって異なる
利用できる水の量や造水能力は、潜水艦の種類や設備によって異なります。
特に原子力潜水艦と通常動力型潜水艦では、電力供給や航海期間などの条件が大きく異なります。
そのため、「潜水艦では常に水が不足する」と一律に考えるのは適切ではありません。
造水設備の能力や任務内容を考慮しながら、水が管理されています。
原子力潜水艦では食料が長期航海の重要な要素になる
原子炉の燃料だけでは航海期間は決まらない
原子力潜水艦は原子炉を動力源としているため、通常動力型潜水艦と比較すると非常に長期間活動できます。
しかし、原子力潜水艦だからといって無期限に航海できるわけではありません。
乗組員が生活するためには食料が必要だからです。
原子力潜水艦では推進用燃料の補給頻度が非常に少なくても、食料の搭載量や乗組員の健康、装備の整備など、さまざまな要因によって実際の任務期間が決まります。
通常動力型潜水艦でも食料管理は重要
通常動力型潜水艦でも、任務期間に応じて必要な食料を計画的に積載します。
通常動力型潜水艦と原子力潜水艦では航続性能や潜航方法などに違いがありますが、限られた艦内スペースで食料を管理する必要がある点は共通しています。
潜水艦では食事の栄養バランスも重要
長期間の任務を支える食事が求められる
潜水艦の乗組員は、閉鎖された艦内で長期間勤務する場合があります。
そのため、単に空腹を満たすだけではなく、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを考慮した食事が重要になります。
特に航海後半になると生鮮野菜や果物が少なくなることがあるため、冷凍食品や乾燥食品なども活用しながら栄養バランスを保つ必要があります。
おいしい食事は乗組員の士気にも関係する
食事は艦内生活の大きな楽しみになる
潜水艦では、乗組員が長期間にわたり限られた空間で共同生活を送ります。
自由に外出したり、好きな店で食事をしたりすることはできません。
そのため、日々の食事は乗組員にとって重要な楽しみの一つになります。
海外の海軍でも、潜水艦における食事の質が乗組員の士気を維持するうえで重要であるとされています。
献立に変化を持たせることも大切
毎日同じような料理では飽きてしまうため、限られた食材の中でも献立に変化を持たせる工夫が行われます。
艦や海軍によっては、菓子やデザートなどを献立に取り入れる場合もあります。
ただし、具体的にどのようなデザートや特別食が提供されるかは艦や任務によって異なるため、すべての潜水艦で同じ食事が提供されるわけではありません。
潜水艦のご飯は保存性とおいしさの両立が重要
潜水艦の乗組員が食べるご飯は、缶詰や非常食だけではありません。
現代の潜水艦には調理設備や冷蔵・冷凍設備があり、米飯、パン、肉料理、魚料理、野菜料理など、さまざまな食事を作ることができます。
一方、潜水艦では任務中に自由に食材を買い足すことができないため、保存性を考えた食料管理が欠かせません。
出港直後には生鮮食品を利用しやすいものの、航海が長くなるにつれて冷凍食品や乾燥食品、缶詰などの割合が高くなることがあります。
また、潜水艦では24時間体制の交代勤務が行われるため、食事回数や時間帯についても一般家庭と同じとは限りません。
さらに、閉鎖された環境で生活する乗組員にとって、おいしい食事は栄養補給だけでなく、気分転換や士気維持にも重要です。
潜水艦の食事は、限られたスペース、保存期間、栄養、勤務体系など多くの条件を考慮しながら、乗組員の長期間の任務を支えるよう工夫されています。
以上、潜水艦の乗組員が食べるご飯についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
















