「錨(びょう)ってどう読むの?」「“いかり”じゃないの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、「錨」は一般的には“いかり”と読みますが、文脈や専門用語では“びょう”と読む場合もあります。
この記事では、
- 錨(びょう)の正しい意味と読み方
- “いかり”との違い
- どんな場面で“びょう”と読むのか
をわかりやすく解説します。
錨(びょう)とは?基本の意味と読み方
漢字の読み方
- 音読み:びょう
- 訓読み:いかり
意味
船を一定の場所にとどめるため、海底に下ろして固定するための金属製の器具(いかり)のこと。
つまり「錨(びょう)」とは、船を止めるために使う金属の“いかり”を意味します。
例文
- 錨(びょう)を下ろす。
- 錨(びょう)が岩に引っかかった。
- 錨(びょう)は船を守る命綱のような存在だ。
このように、漢字としての音読みが“びょう”であり、日常的な読み方(訓読み)が“いかり”です。
「錨(びょう)」と「錨(いかり)」の違い
| 読み方 | 種類 | 用途 | 備考 |
|---|---|---|---|
| びょう(音読み) | 漢語的表現 | 専門用語・文学的表現 | 文書・辞典などで使われることが多い |
| いかり(訓読み) | 和語的表現 | 日常会話・船用語 | 一般的な読み方。会話ではほぼこちら |
つまり、「錨(びょう)」は漢字の読みとして正しいが、日常語としては“いかり”が主流です。
「錨(びょう)」は辞書や古文書、造船・航海の専門資料などで使われることが多い表現です。
「錨(びょう)」という読み方が生まれた理由
「錨」は、金属を意味する「金(かねへん)」+音を表す「苗(びょう)」で構成されています。
この“苗(びょう)”部分が音読みのもととなり、「錨=びょう」という読み方が生まれました。
古代中国では「錨(びょう)」という発音で使われており、それが日本に伝わる過程で音読み(びょう)と訓読み(いかり)の両方が使われるようになったのです。
「錨(びょう)」が使われる熟語・関連語
音読み「びょう」を用いた熟語は少ないですが、一部の専門用語や文学作品では登場します。
| 熟語・表現 | 意味・用例 |
|---|---|
| 錨地(びょうち) | 船が錨を下ろして停泊する場所(=いかりち) |
| 投錨(とうびょう) | 錨を下ろして船を停めること(=投錨=いかりを下ろす) |
| 起錨(きびょう) | 錨を上げて出航すること(=いかりを上げる) |
たとえば、「投錨・起錨(とうびょう・きびょう)」は航海用語として正式に使われています。
このように、音読み“びょう”は専門用語で生き続けているのです。
「錨(びょう)」の使い方を文例で理解しよう
一般的な表現
- 船は港で投錨(とうびょう)した。
- 夜明けとともに起錨(きびょう)し、次の港へ向かう。
文語的・比喩的表現
- 彼の言葉が、私の心の錨(びょう)となった。
- 不安定な時代にこそ、信念という錨(びょう)が必要だ。
このように、「錨(びょう)」は実際の“いかり”だけでなく、「心を支える拠り所」や「安定の象徴」として比喩的に使われることもあります。
「錨(びょう)」と混同しやすい言葉
| 誤用 | 正しい言葉 |
|---|---|
| 錨びょう → 釘びょう(くぎ) | 「びょう」は釘を指す別の漢字(鋲・釘) |
| 鋲(びょう) | 壁や家具を留める小さな金具。錨とは別物。 |
| 碇(いかり) | 錨と同義。旧字表現。 |
「錨びょう」は「鋲(びょう)」と混同されがちですが、鋲=釘・留め具、錨=船を固定する器具とまったく異なります。
まとめ:錨(びょう)は音読み、“いかり”は日常読み
錨(びょう)という読み方は、漢字の音読みであり、専門的・文語的な場面で用いられる表現です。
- 日常会話では「錨(いかり)」
- 航海用語や熟語では「錨(びょう)」
このように使い分けられています。
つまり、錨(びょう)は正しい日本語表現ですが、一般的には「錨いかり」と読む方が自然です。
言葉の背景を知っておくと、ニュースや文学作品の理解もより深まります。
以上、錨の「びょう」読みについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。







