船の「ファンネル(funnel)」とは、船舶の煙突のことを指します。英語の「funnel」には「じょうご」や「煙突」という意味があり、船においては主にエンジンやボイラーの排気を外に出すための煙突構造物のことを意味します。
外観的にも機能的にも、船の象徴的な部位の一つで、特に大型の商船や客船ではそのデザインが非常に重要視されます。
ファンネルの役割
ファンネルは単なる排煙装置ではなく、次のような複数の重要な役割を担っています。
排煙(排気)
主機関(ディーゼルエンジンなど)や補助ボイラーで発生する燃焼ガスや排煙を高い位置から大気中に排出するのが基本的な役目です。
これにより、乗員や乗客が煙や臭いに晒されるのを防ぎます。
換気
煙突の内部構造によっては、エンジンルームなどの換気機能を兼ねていることもあります。
熱気を上昇気流で自然に排出させる効果があります。
安全確保
排煙を高い位置から出すことにより、船上の可燃物への影響や乗員の健康への被害を最小限に抑えます。
また、火災防止の観点からも非常に重要です。
デザイン面でのファンネルの重要性
ファンネルは船の「顔」ともいえる存在で、特にクルーズ船やフェリーなどでは独自のロゴやカラーリングが施されており、企業や船会社のブランドイメージを体現しています。
例
- キュナード・ラインの客船 → 赤と黒の象徴的なファンネル
- 日本のフェリー会社 → 各社独自のカラーとロゴ(例:太陽のマーク、波の模様など)
こうしたデザインは遠くから見てもどの船会社のものか一目でわかるようにするための「視覚的アイデンティティ」でもあります。
現代のファンネルとその進化
近年では、単なる排気だけでなく、環境対策機器が取り付けられるケースが増えています。
スクラバー(排ガス浄化装置)
排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)などの有害物質を除去する装置。
ファンネルの内部またはその直前に取り付けられる。
ノイズ対策
音を外部に漏らさないようにするための消音装置が組み込まれることも。
観光船などでは
一部のクルーズ船では、ファンネルをカバー状にデザインして、その中に煙突を隠してしまうこともあります。
これにより外観の美しさやデザイン性を高めることができます。
ファンネルマークとは?
船のファンネルには、その船会社を示す「ファンネルマーク(Funnel Mark)」」が描かれていることが多くあります。
これは企業のロゴマークやイメージカラー**などを組み合わせたデザインで、航空機の尾翼マークのようなものです。
たとえば
- 日本郵船(NYK)のファンネル:黒地に白線1本
- 商船三井(MOL):青地に白と赤のストライプ
- クルーズ会社のカーニバル・クルーズ:赤いくちばし型
まとめ
要素 | 説明 |
---|---|
ファンネルの意味 | 船の煙突部分、エンジンやボイラーの排煙用 |
主な役割 | 排気、換気、安全性の確保 |
デザイン面 | 船会社のブランド要素、シンボル的存在 |
近代的進化 | スクラバーや消音装置など環境・安全対策の導入 |
ファンネルマーク | 船会社のロゴ・カラーを表示するデザイン要素 |
以上、船のファンネルについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。