船の「右舷(うげん)」と「左舷(さげん)」は、船の進行方向を基準にした「右側・左側」のことを指します。
これは海上や船上での安全な航行や、船同士の正確な意思疎通を保つために非常に重要な概念です。
以下では、その定義、由来、識別方法、使われ方、そして覚え方について詳しく解説します。
目次
定義と基準
- 右舷(Starboard):船首(進行方向)に向かって右側のこと。
- 左舷(Port):船首に向かって左側のこと。
つまり、「船に乗って前(船首)を見ているときの右手側が右舷、左手側が左舷」と覚えるとよいでしょう。
これは、乗組員がそれぞれ異なる方向を向いていても、基準を統一するために使われます。
例えば、操舵手が後ろを向いていても、右舷・左舷は変わりません。
英語の由来
- Starboard(右舷)
古代の船は、操舵装置(舵)が船の右後方に取り付けられていました(多くの人が右利きであったため)。この操舵用のオールを「steer board」と呼んでいたのが語源です。 - Port(左舷)
船を港に横付けする際、舵が右側についていて邪魔になるため、船の左側を港側にして接岸していました。これが「port side(港側)」の由来です。
夜間の識別灯(航海灯)
夜間や視界の悪いときに、他の船と接近した際、どちら側を向いているかを判断するために灯火(航海灯)が使われます。
- 右舷灯(Green light / 緑)
- 左舷灯(Red light / 赤)
- 船尾灯(白)
例えば、相手の船が赤い灯を見せている場合は「自分の右側(右舷)を相手に向けて接近している」ことになります。
飛行機や鉄道にも応用
この「右舷・左舷」の概念は、船に限らず、航空機や鉄道車両でも同様に使われます。
航空機では機首を前方とした場合の「右側・左側」を、右舷・左舷と呼びます。
使われる場面の例
- 船の整備・点検
- 「左舷エンジンに異常あり」
- 操船の指示
- 「右舷30度に小型船あり」
- 航海中の通信
- 「こちらの左舷側をすり抜けてください」
- 軍艦での礼砲
- 通常、訪問者の乗る船が右舷に付けられる
覚え方のコツ
- 語呂合わせ
- 右舷は緑(みぎ → みどり)
- 左舷は赤(さけ → あか)
- 英語での記憶術
- 「Port は 4 文字、Left も 4 文字 → Port = Left」
- 「Starboard(星のボード)で航路を導く → Right」
その他:右舷・左舷の習慣的使い方
- 海軍や商船などでは、敬礼や礼式も右舷を優先する文化があります。
- 船を係留する際、「左舷付け」が一般的なのは、舵が右舷にある名残です。
- 客船などでは、客室の位置や景観を「右舷側キャビン」などで案内することもあります。
まとめ
項目 | 右舷(うげん) | 左舷(さげん) |
---|---|---|
英語表記 | Starboard | Port |
船首から見て | 右側 | 左側 |
航海灯 | 緑(Green) | 赤(Red) |
覚え方 | みぎ → みどり(緑) | ポートは4文字 → Leftと同じ |
歴史的背景 | 操舵装置が右にあった | 港に接岸する側(港側) |
以上、船の右舷と左舷についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。