タンカー船での仕事は、確かに過酷で体力的・精神的な負担が大きいとされています。
ただし、船員としてのキャリアや経験、乗る船の規模、勤務する会社、そして航海エリアによっても大きく異なります。
以下に、タンカー船で働くことが「きつい」とされる理由を詳しく解説し、その一方でどのようなやりがいや利点があるのかもご紹介します。
タンカー船の基本的な仕事内容
タンカー船は、原油、石油製品、化学薬品、LNG(液化天然ガス)などの液体貨物を輸送する特殊な船です。
そのため、作業内容は一般の貨物船とは異なり、より専門的な知識や技術、厳格な安全管理が求められます。
主な職種と仕事の例は以下の通りです。
航海士(デッキ部門)
- 航行中の操船・航海計画の立案
- 荷役(積み下ろし)時の監督、安全管理
- タンカー特有のガス検知や安全手順の確認
機関士(エンジン部門)
- エンジン、ポンプ、ボイラーなどの整備・監視
- 荷役中のポンプ運転(荷物の積み下ろしにはポンプを使用)
甲板員や機関員(クルー)
- デッキ清掃、ペンキ塗り、ロープ作業などの肉体労働
- 荷役中の見張り、安全監視
「きつい」とされる理由
危険物を扱うストレス
タンカー船は可燃性・有害な液体を運ぶため、常に火災・爆発・漏洩のリスクと隣り合わせです。
乗組員はその都度、防爆仕様の設備、特殊な安全手順、緊急時の避難訓練などを守らなければなりません。
荷役作業は昼夜を問わない
タンカーの積み下ろし作業は24時間体制で行われます。航海中よりも、港に停泊中の方が忙しい場合もあります。
真夜中でも作業に呼び出されることは日常茶飯事です。
長期の隔離生活
一度乗船すると3〜6か月以上の長期勤務になります。
外部との連絡は限られ、自由時間やプライベート空間も非常に限られています。
精神的な孤独やストレスが大きいのもこの仕事の特徴です。
船内環境が過酷
機関室は高温でうるさく、デッキ上は天候や気温に左右されます。
赤道直下の熱帯や、極寒の海域での作業もあり、体力が必要不可欠です。
厳格な国際規制
IMO(国際海事機関)のルールや、船舶安全法、環境規制(SOx規制など)に常に適応し続ける必要があります。
書類管理や報告業務など、事務作業も地味に多いのが現実です。
それでも働く価値がある理由
給料が高い
タンカー船は特殊な船であるため、一般商船よりも報酬が高めに設定されていることが多いです。
経験豊富な航海士や機関士は、月給で50〜100万円以上稼ぐことも可能です。
専門スキルが身につく
ポンプ操作や荷役計画、安全管理など、他の商船では得られない専門技術や資格が得られます。
キャリアアップや陸上勤務への転身にも有利です。
一体感のある職場環境
少人数で生活を共にするため、乗組員同士の絆は深くなります。
支え合いながら仕事をする中で、信頼関係やチームワークが強くなるという声も多いです。
実際の船員の声(例)
- 「危険だけど、その分プロとして誇りを持てる仕事です」
- 「最初はきつかったけど、慣れたら日常になります」
- 「下船後は長期休暇が取れるので、プライベートも充実します」
- 「収入面では陸上よりずっと良い」
向いている人・向いていない人
向いている人 | 向いていない人 |
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忍耐力がある | 家族と長く離れたくない |
危険を恐れず冷静に対処できる | ストレスに弱い |
専門スキルを磨きたい | ルーチン業務が苦手 |
海や船が好き | 閉鎖空間が苦手 |
さいごに
タンカー船の仕事は決して楽ではありません。
肉体的にも精神的にも、非常にハードな環境に身を置くことになります。
しかしその一方で、高度な専門性と高収入を両立できる数少ない職種であり、「海のプロフェッショナル」としてのやりがいも感じられます。
以上、タンカー船の仕事はきついのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。