ヨットのブームについて

2024年10月10日

ヨットにおける「ブーム（boom）」は、帆を操作するための重要な装備の一つです。

ブームはマストの根元から伸び、主にメインセール（主帆）の下端を支える横木です。

ブームの役割、構造、操作方法、関連する安全上の注意点などについて詳しく説明します。

ブームの役割

ブームは、ヨットの帆走時にメインセールを適切に張るための重要な役割を果たします。

以下のような役割があります。

セールの形状を整える：ブームによりメインセールの下端が固定されるため、帆の形状を調整して風を効率よく受けることができます。風の方向や強さに応じてブームの位置を調整することで、最適な帆の形を維持します。
セールの角度を調整する：ブームは横に動かすことができ、これによりセールの角度を変えて風をより効果的に受けることが可能です。風向に対してブームの位置を変えることで、帆走のスピードと方向をコントロールします。

ブームは通常、軽量で丈夫な材料（アルミニウムや炭素繊維など）で作られています。

以下が主要な構造の要素です。

ブームの端部（ブームエンド）：ブームの両端には、セールを固定するための金具や調整用のシステムが装備されています。セールの下端（フット）を固定するための「フットクリュー」や、ブームの角度を調整するための「ブームバング」などが含まれます。
ブームバング：これはブームを下方向に引っ張る装置で、セールの形状を調整するために使用されます。ブームバングの調整により、帆のカーブや張り具合を変えることができます。
アウトホール：ブームの端にある調整用のロープで、セールの下端を引っ張り、帆の張り具合を調整する役割があります。アウトホールの引き具合によって、風を受ける面積や帆の形状を変えることができます。

ブームの操作は、ヨットの操船技術において重要な要素です。

風向やヨットの進行方向に応じてブームを動かすことで、効率的な帆走が可能になります。

タッキングとジャイビング：タッキング（風上方向にヨットを旋回する）やジャイビング（風下方向に旋回する）では、ブームが大きく移動します。このとき、ブームの動きを制御してセールを適切に切り替えることが必要です。
ブームシートの調整：ブームシート（ブームを固定するためのロープ）を調整することで、ブームの角度を変え、セールの風受けを調整します。強風時にはブームシートをしっかり締め、弱風時には緩めて風を受けやすくします。

ブームの動きは、ヨットに乗っている人の安全にも直接関わります。

特にジャイビングの際には、ブームが急激に移動するため、頭部や身体にぶつかる危険があります。

ブームに注意する：ブームが移動するときは頭上を通過するため、特にジャイビング中はブームの位置に注意することが重要です。予期しないタイミングでブームが動くと、怪我の原因になります。
ブームストッパーの使用：ブームストッパーはブームの移動を制御するための装置で、ジャイビング時の衝撃を和らげるために使います。これにより、ブームの急激な移動を防ぎ、安全性を高めることができます。