「ガンネル(gunwale)」は、船体構造の中でも特に重要な部位のひとつであり、船の上端に位置する強化部材です。
日本語では「舷側上縁材(げんそくじょうえんざい)」とも呼ばれます。
漁船やプレジャーボート、商船など、ほとんどすべての船に何らかの形で存在します。
目次
ガンネルとは?基本の役割
位置と構造
- 船の側面(舷側:げんそく)の最上部、デッキの外周に沿って取り付けられている帯状の部材。
- 多くは船体とデッキの接合部に取り付けられており、構造的な強度を増すと同時に、外部からの衝撃を吸収・緩和します。
主な役割
機能 | 説明 |
---|---|
構造強化 | 船体の上端部を一体化して剛性を高め、ねじれや歪みを防ぐ |
衝撃吸収 | 他の船・岸壁・浮桟橋などとの接触時に船体へのダメージを和らげる |
固定用 | ロープ・フェンダー・艤装品などを取り付けるための場所となる |
デザイン性 | 一部のプレジャーボートでは、見た目の仕上がりを美しくする装飾的役割もある |
材質の種類
ガンネルにはさまざまな素材が使用され、船の種類や目的によって選ばれます。
木製(伝統的な素材)
- 和船やヨット、一部のクラシックボートで使われる。
- 見た目が美しいが、定期的なメンテナンス(防腐・防水)が必要。
アルミニウム製
- 軽量で耐食性があり、アルミボートなどに多く採用。
- 剛性が高く、波や衝突への耐性にも優れる。
ゴム・PVC・ウレタン製(ラバーガンネル)
- プレジャーボートや漁船などで最も多く使われる。
- 弾性があり、衝撃緩和性能が高く、メンテナンスも容易。
- フェンダー一体型や交換可能な構造のものもある。
ステンレス製 / FRP製
- 豪華なボートやヨットで見られる高級感ある仕上げ。
- 耐久性に優れるが、コストは高め。
ガンネルの設計と交換・補修
取り付け方法
- ボルト留めやリベット固定、接着剤使用など、船体素材と用途によって異なります。
- 一部のガンネルは嵌合式で、脱着・交換がしやすい設計になっています。
メンテナンス
- ゴム製は経年劣化により硬化・亀裂が発生しやすく、定期的な点検・交換が必要。
- 木製は防腐塗装を定期的に塗り直す必要があります。
- ステンレス製やFRP製は比較的メンテナンスフリーですが、腐食・剥離の兆候には注意が必要です。
交換時の注意点
- 船体の型に合った規格品を選ぶ必要があります。
- DIYでの交換も可能ですが、シーリング処理や取付強度を確保しないと浸水の原因になることもあります。
フェンダーとの違い
- ガンネルは船体に固定された恒久的な構造材。
- フェンダーは航行時には取り外される緩衝材(クッション)で、係留中に岸壁などとの接触から守るためのもの。
- 多くのボートではガンネル上にフェンダーを吊るすためのアイやクリートが設置されています。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
ガンネルとは | 船体の最上部にある構造補強・衝撃緩和のための部材 |
素材 | 木、ゴム、アルミ、ステンレス、FRPなど |
主な機能 | 構造強化・衝撃吸収・艤装品の取り付け |
メンテナンス | 素材に応じた定期点検と補修が必要 |
交換の可否 | 一般船では交換可能。DIYも可だが施工品質が重要 |
以上、船のガンネルについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。