ライフジャケットの着用義務や対象となる場面について

目次

ライフジャケットの着用義務とは

日本では、小型船舶に乗る際、一定の条件に当てはまる場合にライフジャケットの着用が義務付けられています。

特に重要なのが、モーターボートやプレジャーボート、漁船、水上オートバイなど、小型船舶操縦士免許が必要となる船に乗る場合です。

2018年2月1日からライフジャケットの着用義務が拡大され、原則として、小型船舶の船室外にいる乗船者には、国の安全基準に適合したライフジャケットを着用させることが船長に義務付けられています。

そのため、船を操縦する船長だけでなく、家族や友人などの同乗者も対象になります。

ライフジャケットを着用させる責任は船長にある

ライフジャケットの着用義務は、単に乗船者本人だけに関係するものではありません。

小型船舶の船長には、対象となる乗船者に適切なライフジャケットを着用させる義務があります。

例えば、自分のプレジャーボートに友人を乗せる場合、友人が「着用したくない」と希望したとしても、それだけを理由にライフジャケットを着用させなくてもよいことにはなりません。

船長は、乗船者の安全を確保するため、法令に従って適切に着用させる必要があります。

ライフジャケットの着用義務がある主な船

ライフジャケットの着用義務は、原則として、操縦に小型船舶操縦士免許が必要となる小型船舶に適用されます。

代表的な船としては、次のようなものがあります。

  • モーターボート
  • プレジャーボート
  • 小型漁船
  • 釣り船
  • 水上オートバイ
  • 小型船舶操縦士免許が必要となるヨット

仕事で使用する船だけでなく、レジャー目的の船も対象になる点が重要です。

小型船舶ならすべて同じとは限らない

注意したいのは、「小型船舶」という言葉に当てはまれば、すべて同じ着用義務が適用されるわけではない点です。

操縦免許が不要となる一定のミニボートや、カヌーなどの手漕ぎ舟については、小型船舶操縦者に対する同じ着用義務が適用されない場合があります。

そのため、実際に着用義務があるかどうかは、船の大きさだけではなく、操縦免許の要否や船の種類なども含めて確認する必要があります。

プレジャーボートで釣りをする場合も原則として着用が必要

プレジャーボートに乗って釣りをする場合も、原則としてライフジャケットの着用義務があります。

船のデッキなど船室外で釣りをしている場合、船外へ転落する危険があるためです。

「釣りをしている」という理由だけで、着用義務が免除されるわけではありません。

港の近くでも着用義務がなくなるわけではない

次のような理由だけで、ライフジャケットを着用しなくてもよいとは判断できません。

  • 波が穏やか
  • 港の近くにいる
  • 座って釣りをしている
  • 航行距離が短い

ライフジャケットの着用義務は、単純に海の状態や航行距離だけで決まるものではありません。

船の種類や乗船場所、乗船者の状況などを総合的に確認する必要があります。

水上オートバイも着用義務の対象

ジェットスキーなどの水上オートバイも、ライフジャケットの着用義務の対象です。

水上オートバイは身体が船外に露出しており、走行中に落水する可能性も高いため、特にライフジャケットの着用が重要です。

水上オートバイでは一部の例外が適用されない

通常の小型船舶では、条件によって着用義務が努力義務になったり、適用除外になったりする場合があります。

しかし、水上オートバイについては、一部の例外規定が適用されません。

そのため、一般的なプレジャーボートと同じ感覚で「この状況なら脱いでもよい」と判断しないことが大切です。

12歳未満の子どもは特に注意が必要

12歳未満の子どもについては、大人よりも着用義務が厳しく扱われる場面があります。

大人であれば一定の条件下で努力義務となるケースでも、12歳未満の子どもにはその例外が適用されない場合があります。

12歳未満でもすべての例外がなくなるわけではない

注意したいのは、「12歳未満の子どもには一切例外がない」という意味ではないことです。

例えば、適切な船室内にいる場合など、子どもであっても着用義務の適用除外となるケースがあります。

一方で、防波堤内に係留している船や船長が指定した安全場所など、大人であれば努力義務となる一部の場面については、12歳未満には同じ緩和措置が適用されないことがあります。

そのため、子どもを乗船させる場合は、特に慎重に確認する必要があります。

子どもの体格に合ったライフジャケットを選ぶ

子どもにライフジャケットを着用させる場合、大人用をそのまま使用すればよいわけではありません。

身体に対してサイズが大きすぎると、落水した際にライフジャケットだけが抜けてしまうおそれがあります。

子どもの体重や体格に合った小児用ライフジャケットを選び、ベルトや股紐などを正しく調整することが重要です。

船室内では着用義務が適用されない場合がある

屋根と壁に囲まれた適切な船室内にいる場合は、原則としてライフジャケット着用義務の適用除外となります。

つまり、船に乗っている間ずっと必ずライフジャケットを着用しなければならないわけではありません。

屋根があるだけでは船室とは限らない

「屋根がある場所なら船室」と考えるのは適切ではありません。

屋根があっても、周囲が壁で囲まれておらず、風雨にさらされるようなデッキ部分などは、通常の船室として扱われないことがあります。

そのため、

「屋根の下だからライフジャケットを脱いでもよい」

と単純に判断するのは避けた方がよいでしょう。

防波堤内で係留している場合は努力義務になることがある

防波堤の内側にある岸壁や桟橋、係船くいなどに船を係留している場合、一定の条件を満たせば、ライフジャケットの着用が義務から努力義務に変わることがあります。

ただし、これは「自由に脱いでよい」という意味ではありません。

釣りや船外へ身を乗り出す場合は着用が必要になる

係留中であっても、次のような行為をする場合には、着用義務が生じることがあります。

  • 船外へ身を乗り出す
  • 船上で釣りをする
  • 転落するおそれのある作業をする

つまり、

「港に停泊しているからライフジャケットは不要」

とは限りません。

乗船者の行動や転落リスクによって扱いが変わります。

船長が指定した安全場所では努力義務になることがある

船上に一定の安全設備が設けられている場合、船長が「安全場所」として指定できることがあります。

その安全場所にいて、船長の了承を得ている場合には、ライフジャケットの着用が義務ではなく、努力義務となる場合があります。

安全場所には一定の条件がある

安全場所は、船長が自由に決められるものではありません。

例えば、船舶に固定された高さ75cm以上の手すりや、固定された堅牢な椅子などによって転落しにくい構造になっていることなど、一定の要件があります。

また、安全場所の範囲や注意事項について、乗船者が確認できるように表示する必要があります。

安全場所でも釣りをすると着用義務が生じる

安全場所にいたとしても、ライフジャケットを脱いだまま釣りなどを行えるわけではありません。

例えば、次のような場合には着用が必要です。

  • 釣りをする
  • 船外へ身を乗り出す
  • 椅子の上に立つ
  • 荒天によって船体が大きく揺れている

安全場所にいるかどうかだけでなく、実際の行動や海況も重要になります。

ダイビングなどでは適用除外になる場合がある

ダイビングや水上スキー、ウェイクボードなど、一部のマリンスポーツでは、ライフジャケットの着用義務が適用除外となる場合があります。

ただし、対象となるのは、専用装備の上からライフジャケットを着用することで、その装備本来の機能を妨げてしまうようなケースです。

ウェットスーツを着ていれば不要という意味ではない

ウェットスーツを着用しているだけで、ライフジャケットを着用しなくてもよいわけではありません。

あくまで、特定のスポーツやレクリエーションに必要な専用装備を使用しており、その上からライフジャケットを着用することが適切でない場合に限られます。

泳ぐために船外へ出る直前は適用除外になる場合がある

船から海へ入って泳ぐ場合、泳ぐためにライフジャケットを外す必要があります。

そのため、船外へ出るために必要な最小限の動作をしている間については、着用義務の適用除外となる場合があります。

ただし、

「このあと泳ぐ予定だから、しばらく前から脱いでおく」

ということまで認められているわけではありません。

適用除外となるのは、あくまで必要最小限の範囲です。

ヨットレースでは適用除外になる場合がある

一定の安全基準に基づいて実施されるヨットレースなどでは、ライフジャケットの着用義務が適用除外となることがあります。

対象となるのは、落水防止設備や救助設備、救助体制などが整えられている競技です。

同等の安全措置を講じた練習についても対象になる場合があります。

ただし、同じヨットを通常のクルージングなどに使用する場合まで自動的に適用除外になるわけではありません。

健康上や身体上の理由で適用除外になる場合もある

身体の状態によってライフジャケットの着用が適切ではない場合には、着用義務が適用されないことがあります。

例えば、次のようなケースです。

  • 負傷している
  • 障害などにより着用が困難
  • 妊娠している
  • 体格上、適切に着用できない
  • 大人が保護・監督している1歳未満の乳児

ただし、単に「暑い」「動きにくい」「着心地が悪い」といった理由だけで、自由に着用を免除できるわけではありません。

墜落制止用器具などを使用している場合

船外への転落を防ぐため、一定の墜落制止用器具などを使用している場合には、ライフジャケットの着用義務が適用除外となることがあります。

重要なのは、実際に転落防止の安全措置が講じられていることです。

単にベルトのような器具を身に着けていればよいわけではありません。

船上の神事や祭礼なども例外になる場合がある

船上で神事や祭礼などを行う際、儀式に必要な服装とライフジャケットを同時に着用することが難しい場合があります。

このようなケースでは、別の船による監視や救助体制など、必要な安全措置が講じられていれば、適用除外となることがあります。

無条件で認められるわけではなく、安全確保が前提になります。

カヌーやミニボートは同じ着用義務の対象とは限らない

小型船舶操縦士免許を必要としない一定のミニボートや、カヌーなどの手漕ぎ舟には、小型船舶操縦者法に基づく同じライフジャケット着用義務が適用されない場合があります。

しかし、法律上の義務がないからといって、安全上必要がないわけではありません。

義務がなくても着用することが望ましい

カヌーやSUP、手漕ぎボート、ミニボートなどでも、落水事故は起こります。

特に、水温が低い場所や流れの速い川、沖合などでは、泳ぎに自信がある人でも危険です。

施設やイベント、競技団体などが独自に着用ルールを設けている場合もあるため、利用前に確認しておきましょう。

岸や堤防からの釣りには同じ着用義務は適用されない

堤防や磯、岸壁などから釣りをする場合、小型船舶の乗船者に対するライフジャケット着用義務がそのまま適用されるわけではありません。

そのため、

「海釣りをする人は、法律ですべてライフジャケット着用が義務付けられている」

という説明は正確ではありません。

岸釣りでも安全面では着用した方がよい

法律上の義務がない場合でも、磯や防波堤などでは落水すると非常に危険です。

特に高い堤防や足場の悪い磯では、自力で陸上へ戻ることが難しくなることがあります。

安全性を考えると、岸釣りでもライフジャケットを着用することが望ましいでしょう。

着用するライフジャケットは何でもよいわけではない

ライフジャケットの着用義務がある場合、どのような製品でも使用できるわけではありません。

原則として、国の安全基準に適合したライフジャケットを使用する必要があります。

その目印として広く知られているのが「桜マーク」です。

桜マークがあればすべての船で使えるとは限らない

桜マーク付きのライフジャケットにも種類があります。

代表的なものとして、Type A、Type D、Type F、Type Gなどがあり、それぞれ使用できる船や航行区域などに条件があります。

そのため、

「桜マークが付いているから大丈夫」

と判断するのではなく、その船や航行区域に対応したタイプかどうかまで確認する必要があります。

Type Aは幅広い小型船舶で使用できますが、その他のタイプには使用条件があります。

自分で購入したライフジャケットを持ち込むこともできる

船に備え付けられているライフジャケットだけを使わなければならないわけではありません。

自分で購入して持ち込んだライフジャケットでも、その船で必要となる安全基準を満たしていれば使用できます。

釣りやマリンレジャーを頻繁に楽しむ場合は、自分の体格に合った製品を用意しておくのも一つの方法です。

ライフジャケットの着用義務に違反した場合

ライフジャケットを着用させる義務に違反した場合、船長に違反点数が付されることがあります。

救命胴衣等着用義務違反の違反点数は、原則として2点です。

また、その違反に関連して死傷事故が発生した場合には、通常より重い扱いになります。

2点だけですぐに免許停止になるわけではない

違反点数が2点付いたからといって、直ちに免許停止になるわけではありません。

過去の違反歴などを含めた累積点数が行政処分の基準に達した場合、戒告や業務停止などの処分対象となります。

条件によっては、最大6か月の業務停止となる場合があります。

また、一定の場合には再教育講習の対象となります。

そのため、ライフジャケットの着用義務を軽く考えるべきではありません。

ライフジャケットの着用義務を判断するときのポイント

実際に着用義務があるかどうかを確認するときは、単に「海に出るかどうか」だけで考えないことが大切です。

船の種類を確認する

まず、乗る船が小型船舶操縦士免許を必要とする船かどうかを確認します。

プレジャーボートや水上オートバイなどは、原則として着用義務の対象です。

船室内か船室外かを確認する

次に、乗船している場所を確認します。

屋根と壁に囲まれた船室内であれば適用除外となる場合がありますが、デッキなど船室外では原則として着用が必要です。

適用除外に当てはまるか確認する

ダイビングや一定の競技、健康上の事情など、法令上の適用除外に該当するケースもあります。

ただし、適用条件は細かく定められているため、自己判断だけでライフジャケットを脱ぐのは避けましょう。

使用するライフジャケットの種類を確認する

着用義務がある場合は、国の安全基準に適合しているかだけでなく、船や航行区域に対応したタイプかどうかも確認します。

まとめ

日本では、原則として、小型船舶操縦士免許が必要となる小型船舶の船室外にいる乗船者には、ライフジャケットを着用させることが船長に義務付けられています。

対象となるのは、モーターボートやプレジャーボート、小型漁船、水上オートバイなどです。

一方で、屋根と壁に囲まれた船室内や、一定のマリンスポーツ、健康上の事情など、適用除外となるケースもあります。

また、防波堤内に係留している場合や、一定の安全場所では、着用義務が努力義務に変わる場合があります。

ただし、釣りや船外へ身を乗り出す行為などをすると、再び着用義務が生じるケースがあるため注意が必要です。

さらに、免許不要のミニボートやカヌーなどには同じ法律上の着用義務が適用されない場合がありますが、安全面ではライフジャケットの着用が推奨されます。

ライフジャケットの着用義務を判断するときは、「船の種類」「船室内か船室外か」「乗船者の年齢」「行っている活動」「使用するライフジャケットの種類」をまとめて確認することが大切です。

法律上の義務だけを基準にするのではなく、水上では常に落水の可能性があることを考え、安全を優先して着用することが重要です。

以上、ライフジャケットの着用義務や対象となる場面についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次