船の舷灯(げんとう)は、船舶が夜間や視界不良時に他の船舶から視認されやすくするために設置される航海灯(こうかいとう)の一種です。
国際的には「ナビゲーションライト(navigation lights)」と呼ばれ、国際海上衝突予防規則(COLREG:コルレグ)に基づいて装備・使用が義務付けられています。
目次
舷灯とは
舷灯は、船の左右の舷(船の側面)に取り付ける灯火で、それぞれ色が決まっており、他船に対して船の向きと航行状態を示す役割があります。
灯の名称 | 位置 | 色 | 照射角度 | 用途 |
---|---|---|---|---|
左舷灯(さげんとう) | 船の左舷(ポート側) | 赤 | 船首を中心に左112.5度 | 他船に「自船の左側を見せている」と示す |
右舷灯(うげんとう) | 船の右舷(スターボード側) | 緑 | 船首を中心に右112.5度 | 他船に「自船の右側を見せている」と示す |
この左右の舷灯は、船首から見て前方左右112.5度ずつを照らすようになっています。
つまり、前方225度の範囲に灯が見えることになります。
舷灯の目的と役割
舷灯の最大の目的は「衝突を避けること」です。
航行中の船は、相対位置と見えている灯の色をもとに以下のような判断をします。
片方の舷灯しか見えないとき
- 赤(左舷灯)だけが見える → 相手船の左側にいる
- 緑(右舷灯)だけが見える → 相手船の右側にいる
- この場合、自船がどちら側にいるかが明確になるため、優先権や回避行動が判断可能です。
両方の舷灯が見えるとき
- 前方に向かって進んでくる船の赤と緑が両方見える場合は、正面衝突の可能性が高くなります。
- お互いが避けなければならず、原則として右に回避します。
舷灯の設置位置と構造
- 船体の高さに応じて舷灯は船の両舷、船首近くに取り付けられます。
- 小型船舶の場合、左右の舷灯が一体型になっている「コンバインド・ナビゲーションライト」として、マストの先などに設置されることもあります。
- LEDを用いた省電力型の舷灯も近年では主流です。
舷灯の使用義務
- 全長7m以上の動力船(モーターボートなど)は、夜間・視界不良時に舷灯・マスト灯・船尾灯などの表示が義務付けられています。
- 帆船や小型漁船などでも条件に応じて舷灯の使用が必要です。
舷灯の使用に関する注意点
- 正しい角度と明るさで設置されていないと、誤認されて事故の原因になります。
- 視認性を確保するために、定期的な点検と清掃が重要です。
- バッテリー駆動の場合、航行中の電源切れにも注意が必要です。
舷灯に関連するその他の航海灯
灯の名称 | 役割 | 色 | 照射角度 |
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マスト灯(前部灯) | 船が動力で進行中であることを示す | 白 | 前方225度(左右112.5度ずつ) |
船尾灯(あとうとう) | 船の後方を示す | 白 | 後方135度 |
両色灯(舷灯の代替) | 小型船舶用。左右舷灯が一体型になっているもの | 赤+緑 | 前方225度 |
まとめ
- 左舷(ポート側)=赤灯、右舷(スターボード側)=緑灯
- 照射角度は各112.5度で、前方をカバー
- 見える灯の色で他船の向きが分かる
- 夜間・霧・悪天候時には必須の装備
- COLREG(国際海上衝突予防規則)に基づく義務
以上、船の舷灯についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。