タンカー船の種類について

タンカー,イメージ

タンカー船(Tanker)は、液体貨物を大量に輸送するための専用船で、主に原油、石油製品、化学薬品、液化天然ガス(LNG)などの運搬に使われます。

一口に「タンカー」と言っても、その用途や積み荷の性質によってさまざまな種類があります。

以下に、主なタンカー船の種類を詳しくご紹介します。

目次

原油タンカー(Crude Oil Tanker)

特徴

  • 原油(精製されていない石油)を大量に運ぶ船。
  • 積荷は精製前の重質な液体で、特別なタンク構造が必要。
  • 船体は非常に大型で、100,000重量トン以上が一般的。

代表的なクラス

分類名載貨重量トン数(DWT)特徴
Aframax80,000~120,000主に地中海や北海向け、中距離輸送向け
Suezmax~160,000スエズ運河通過が可能な最大サイズ
VLCC(Very Large Crude Carrier)160,000~320,000中東~アジア間などの長距離輸送
ULCC(Ultra Large Crude Carrier)320,000以上世界最大級、限られた港しか寄港できない

プロダクトタンカー(Product Tanker)

特徴

  • 石油精製後の製品(ガソリン、軽油、灯油など)を運ぶ。
  • タンクが区切られており、複数の製品を同時に運べる構造。
  • 輸送する製品の品質を保つため、ステンレスや防食塗装が施されている。

サイズ分類

  • 一般的に3万~6万重量トンの中型船(MR:Medium Range)が多い。
  • 少量輸送向けの小型プロダクトタンカー(Handysize)も存在。

ケミカルタンカー(Chemical Tanker)

特徴

  • 酸、アルカリ、有機溶剤など、化学薬品を運ぶ。
  • 貨物が非常に危険であるため、タンクの材質・洗浄装置・バルブ設計が極めて厳格。
  • 多くのケミカルタンカーは独立した複数のタンクを備えており、コンパートメントごとに別の化学品を搭載可能。

特殊設計

  • タンク材質は高耐食性のステンレス鋼や特殊コーティング。
  • 毎航海後に入念な洗浄が必要(Cargo Tank Cleaning)。

LNGタンカー(Liquefied Natural Gas Tanker)

特徴

  • -162℃まで冷却された液化天然ガス(LNG)を輸送。
  • タンクは極低温・高気密構造で、高度な断熱技術が必要。
  • 球形または膜型の特殊タンクを備え、見た目もユニーク。

タンク構造のタイプ

種類特徴
モス型(MOSS)巨大な球体タンクが外から見える
メンブレン型(Membrane)タンクが船体と一体構造になっており、外観は通常の船と似る

LPGタンカー(Liquefied Petroleum Gas Tanker)

特徴

  • プロパン・ブタンなどを-40℃程度で加圧液化し輸送。
  • LNGほどの極低温ではないが、やはり気密性が極めて重要。
  • 化学タンカーと同様、特殊なガスタンクを内蔵。

シャトルタンカー(Shuttle Tanker)

特徴

  • 海上油田と陸上の港を往復するために設計された専用タンカー。
  • 通常のタンカーと異なり、ダイナミックポジショニングシステム(DPS)などで洋上施設に接岸可能。
  • パイプラインが引けない深海油田などで活躍。

OBO船(Ore-Bulk-Oil Carrier)

特徴

  • 鉱石(Ore)、バルク貨物(Bulk)、油(Oil)を積める多目的船
  • 一見便利だが、積み荷切替えの手間と設備維持コストが高く、現在はあまり普及していない。

FSO / FPSO(浮体式貯蔵・生産設備)

FSO(Floating Storage and Offloading Unit)

  • 原油を一時的に貯蔵し、他のタンカーに積み替える役割。

FPSO(Floating Production Storage and Offloading Unit)

  • 原油の生産から貯蔵、出荷までを洋上で完結する設備。
  • タンカーを改造して使用するケースも多い。

まとめ表

タンカーの種類主な貨物特徴
原油タンカー原油大型~超大型、長距離輸送
プロダクトタンカーガソリン・軽油などタンクが複数区分されている
ケミカルタンカー酸・溶剤など高度な安全設計が必要
LNGタンカー液化天然ガス低温・高断熱技術が重要
LPGタンカー液化石油ガス中温・高圧タンクを使用
シャトルタンカー原油洋上施設と港の往復
OBO船鉱石・石油など万能だが非効率
FSO/FPSO原油洋上での生産・貯蔵・出荷

補足:タンカーの安全・環境対策

現代のタンカーは、二重船殻構造(ダブルハル)を標準装備しており、座礁や衝突の際にも原油などの流出リスクを抑える設計になっています。

また、国際海事機関(IMO)の規定により、排出ガスやバラスト水の管理も厳格化されており、持続可能な海上輸送への取り組みが進んでいます。

以上、タンカー船の種類についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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