「船級」は英語で、主に class や classification と表現されます。
ただし、日本語の「船級」を常に同じ英単語へ置き換えられるわけではありません。
船舶そのものに付与される船級を表すのか、船級制度や船級業務を表すのかによって、適切な英語表現が異なります。
また、「船級協会」「船級符号」「船級検査」「船級証書」などの関連用語にも、それぞれ専門的な英語表現があります。
船級関係の英文を正しく理解するためには、classとclassificationの違いを押さえたうえで、関連用語を文脈に応じて使い分けることが重要です。
船級は英語で「class」と表現する
個々の船舶に付与される「船級」を表す場合、基本となる英単語は class です。
IACS(International Association of Classification Societies:国際船級協会連合)でも、船舶に船級を付与することについて、
「Class is assigned to a vessel」
という表現が使用されています。
したがって、船舶が船級協会の規則に基づいて船級を与えられている状態を表す場合は、classを使うのが基本です。
classの主な使い方
船級関係では、次のような表現がよく使われます。
- class:船級
- assign class:船級を付与する
- maintain class:船級を維持する
- maintenance of class:船級維持
- in class:船級を維持している状態
- classed vessel:船級船
例えば、
「The vessel is in class.」
と表現した場合、
「その船舶は船級を維持している」
という意味になります。
また、
「The vessel is classed with ClassNK.」
とすれば、
「その船舶はClassNKの船級に入っている」
という意味になります。
「classification」は船級制度や船級業務を表す
一方、classificationは、個々の船舶に付与される船級そのものというより、船級を付与・維持する制度や業務、プロセスを表す場合によく使われます。
例えば、
- ship classification
- classification services
- classification system
- classification survey
などの表現があります。
classとclassificationの違い
大まかには、次のように考えると分かりやすいでしょう。
class
個々の船舶に付与される船級や、その船級状態
classification
船級制度、船級業務、船級付与・維持のプロセス
例えば、
「The vessel is in class.」
は自然な表現ですが、
「The vessel is in classification.」
とは通常表現しません。
反対に、
「ship classification services」
は自然ですが、
「ship class services」
では意味が分かりにくくなります。
ただし、classとclassificationの使い分けは完全に機械的なものではありません。
実際の技術文書では、船級協会ごとの用語や文脈を確認することが大切です。
「ship class」は使い方に注意する
「船級」を説明する際に、ship classという表現を見かける場合があります。
意味が通じることもありますが、専門的な文章では注意が必要です。
英語の class は、船級協会が付与する「船級」だけでなく、船舶や艦艇の「型」「級」を表す場合もあるからです。
例えば、
「Yamato-class battleship」
のclassは「大和型戦艦」の「型・艦級」という意味であり、船級協会による船級とは異なります。
そのため、船級協会が付与する船級について説明する場合は、文脈に応じて class または classification を使う方が誤解を避けやすくなります。
船級協会は「classification society」
「船級協会」は英語で、
classification society
と表現します。
複数形は、
classification societies
です。
日本海事協会(ClassNK)やDNV、Lloyd’s Register、ABSなどは、代表的なclassification societyです。
classification societyの役割
船級協会は、船舶や海洋構造物などを対象として技術規則を制定し、設計審査や建造中の検査、就航後の定期的な検査などを実施します。
これらの審査や検査を通じて規則への適合性が確認されると、船舶にclassが付与・維持されます。
例えば、
「The vessel is classed by a classification society.」
であれば、
「その船舶は船級協会によって船級を付与されている」
という意味になります。
参考サイト
「船級を取得する」の英語表現
日本語では「船級を取得する」という言い方をよく使います。
英語では、次のような表現が適しています。
be classed
be classedは、船級を取得している状態を表す代表的な表現です。
例えば、
「The vessel is classed with ClassNK.」
で、
「その船舶はClassNKの船級に入っている」
という意味になります。
be assigned class
be assigned classも正式性の高い表現です。
IACSでも、船舶に船級を付与することを、
「Class is assigned to a vessel」
と表現しています。
そのため、
「The vessel was assigned class.」
とすれば、
「その船舶には船級が付与された」
という意味になります。
「get a classification」は避けた方がよい
日本語の「船級を取得する」を直訳して、
「get a classification」
とするのは、船級の専門英語としては適切とはいえません。
船級関連の英文では、be classedやbe assigned classを使う方が自然です。
「classed」と「classified」の違い
船級の文脈では、classedという単語が非常に重要です。
classifiedは一般英語では「分類された」という意味になるため、船級協会によって船級を与えられた状態を表したい場合は、classedの方が明確です。
例えば、
「classed vessel」
は、
「船級船」
という意味になります。
また、
「ClassNK-classed vessel」
とすれば、
「ClassNKの船級を取得している船舶」
という意味になります。
船級維持は「maintenance of class」
船級は、一度取得すれば永久に維持できるものではありません。
船舶は、船級協会の規則に基づいて所定の検査を受け、必要な条件を満たし続ける必要があります。
この「船級維持」は英語で、
maintenance of class
と表現されます。
maintain class
動詞では、
maintain class
と表現できます。
例えば、
「The vessel must undergo periodic surveys to maintain class.」
とすれば、
「その船舶は船級を維持するため、定期的な検査を受けなければならない」
という意味になります。
in class
船級が有効に維持されている状態は、
in class
と表現されます。
したがって、
「The vessel remains in class.」
であれば、
「その船舶は引き続き船級を維持している」
という意味になります。
船級検査の英語表現
「船級検査」は、一般的には、
classification survey
と表現できます。
ただし、実務では検査の目的によって、より具体的な表現を使うことがあります。
survey for classification
船級を付与・登録するための検査は、
survey for classification
と表現されます。
survey for maintenance of class
船級維持のための検査は、
survey for maintenance of class
と表現できます。
また、実際には定期検査、中間検査、年次検査など、それぞれの正式名称が使われます。
そのため、「船級検査=classification survey」とだけ覚えるのではなく、技術文書では検査の目的や種類まで確認することが重要です。
船級規則の英語表現
「船級規則」は、一般的には、
classification rules
と表現できます。
また、船級協会の公式文書では、
Rules
や、
Rules of the Society
などと表現されることもあります。
例えば、
「The vessel complies with the Rules of the Society.」
であれば、
「その船舶は当該船級協会の規則に適合している」
という意味になります。
船級規則の正式名称は船級協会ごとに異なるため、契約書や技術文書では各協会の公式表記を優先することが大切です。
「船級符号」は船級協会によって表現が異なる
船級関係では、「船級符号」の英語表現にも注意が必要です。
ClassNKでは、「船級符号」に相当する用語として、
Classification Characters
が使用されています。
ClassNKではClassification Characters
ClassNKでは、船級登録船に対してClassification Charactersが付与されます。
したがって、ClassNKの用語体系では、
「船級符号=Classification Characters」
と理解できます。
ただし、この用語をすべての船級協会に共通する固定訳語として扱うのは適切ではありません。
船級符号やnotationの体系、名称、表記方法は船級協会によって異なるためです。
そのため、正確には、
「ClassNKでは船級符号をClassification Charactersと表現する」
と説明するのが適切です。
Class Notationとは
船級関連の文書では、
Class Notation
という表現も頻繁に登場します。
ClassNKでは、Classification Charactersに付加される各種の付記について、Class Notationという用語が使用されています。
Class Notationは船舶の特徴などを示す
Class Notationには、船種、用途、設備、構造、機能、航行条件などに関する情報が含まれる場合があります。
つまり、単純に「船級そのもの」を表す言葉ではありません。
ClassNKの体系では、
Classification CharactersにClass Notationが付加される
という関係で理解すると分かりやすいでしょう。
ただし、Class Notationの具体的な意味や付与方法は船級協会ごとに異なるため、各船級協会の規則を確認する必要があります。
船級証書は「Certificate of Classification」
「船級証書」を英語で表す場合、ClassNKでは、
Certificate of Classification
という正式名称が使用されています。
そのため、ClassNK関連の文章では、
「船級証書=Certificate of Classification」
とするのが最も正確です。
一般的に「class certificate」や「classification certificate」と表現される場合もありますが、正式文書では船級協会が定める名称を使用することが重要です。
船級番号の英語表現
ClassNKでは、船級番号について、
Classification No.
という表記が使用されています。
ただし、船級番号の名称は船級協会によって異なる可能性があります。
そのため、
「船級番号=Classification No.」
と世界共通の固定訳語として考えるのではなく、
「ClassNKではClassification No.と表記する」
と理解する方が正確です。
船級登録簿の英語表現
「船級登録簿」は、
Classification Register
と表現される場合があります。
ClassNKでもClassification Registerという用語が使用されています。
船級登録簿には、船名、船級符号、船主、主要寸法、船種など、船舶に関するさまざまな情報が記載されます。
船級停止は「suspension of class」
船級に必要な条件を満たせなくなった場合などには、船級が停止されることがあります。
この「船級停止」は、
suspension of class
と表現されます。
例えば、
「The vessel’s class was suspended.」
であれば、
「その船舶の船級は停止された」
という意味になります。
船級取消しは「withdrawal of class」
船級が取り消される場合は、
withdrawal of class
という表現が使われます。
動詞では、
withdraw class
や、
class is withdrawn
と表現できます。
関連表現として、
- suspension of class:船級停止
- withdrawal of class:船級取消し
- reinstatement of class:船級復帰
などがあります。
船級移管は「transfer of class」
ある船級協会から別の船級協会へ船級を移すことは、
transfer of class
と表現されます。
日本語では「船級移管」「船級転級」などと呼ばれる場合があります。
船級移管には各船級協会やIACSのルールが関係するため、実際の手続では正式な規則を確認することが必要です。
「船級」と「法定検査」は区別が必要
船級の英語を理解するうえでは、
classification
と、
statutory survey
を区別することも重要です。
船級協会は船級業務だけでなく、旗国政府から権限を与えられて、SOLASやMARPOLなどの国際条約に基づく法定検査を実施する場合があります。
しかし、
「船級協会が行う検査=すべて船級検査」
ではありません。
classification surveyとstatutory surveyの違い
classification surveyは、船級協会の規則に基づく船級上の検査です。
一方、
statutory survey
は、国際条約や国内法令などに基づく法定検査を意味します。
実務では同じ船級協会の検査員が両方を実施することもありますが、法的な位置付けは異なります。
技術文書や契約書を読む際には、この違いを区別することが重要です。
参考サイト
船級関連の主な英語表現一覧
船級に関する代表的な英語表現を整理すると、次のようになります。
| 日本語 | 主な英語表現 |
|---|---|
| 船級 | class |
| 船級制度・船級業務 | classification |
| 船級制度 | ship classification / classification system |
| 船級協会 | classification society |
| 船級船 | classed vessel / classed ship |
| 船級を付与する | assign class |
| 船級を取得する | be classed / be assigned class |
| 船級を維持する | maintain class |
| 船級を維持している | be in class |
| 船級維持 | maintenance of class |
| 船級検査 | classification survey |
| 船級登録のための検査 | survey for classification |
| 船級維持のための検査 | survey for maintenance of class |
| 船級規則 | classification rules / Rules of the Society |
| 船級符号 | Classification Characters ※ClassNK |
| 船級符号への付記 | Class Notation ※ClassNK |
| 船級証書 | Certificate of Classification ※ClassNK |
| 船級番号 | Classification No. ※ClassNK |
| 船級登録簿 | Classification Register |
| 船級停止 | suspension of class |
| 船級取消し | withdrawal of class |
| 船級復帰 | reinstatement of class |
| 船級移管 | transfer of class |
| 船級検査員 | surveyor / classification surveyor |
船級の英語表現では「class」と「classification」の使い分けが重要
船級の英語表現を理解するうえで、最も重要なのは classとclassificationを適切に使い分けることです。
個々の船舶に付与される船級や船級状態を表す場合は、基本的に class を使用します。
一方、船級制度や船級業務、船級を付与・維持するプロセスを表す場合は、classification が使われます。
また、
- classification society
- Classification Characters
- Class Notation
- Certificate of Classification
- maintenance of class
- suspension of class
- withdrawal of class
など、船級分野には数多くの専門表現があります。
特に、Classification CharactersやClass Notation、Certificate of Classificationなどは船級協会ごとに用語体系が異なる場合があります。
そのため、実際の契約書や図面、仕様書、船級規則などを翻訳する際には、単純な直訳ではなく、対象となる船級協会の公式英語表記を確認することが重要です。
船級の英語では、まず class=個々の船舶に付与される船級、classification=船級制度・船級業務 という基本を押さえておくと、多くの専門文書を理解しやすくなります。
以上、船級の英語表現についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









